修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.01.29
上カバーを外したところです。ファインダー採光硝子は緑の瞳から青い瞳に代っています。
兄弟が太平洋を渡った頃の為替は360円でした。小生がグアムに赴任した時代は円が強くなりつつある時期でした。給与はドル支給でしたから円高は、財布の中身が否応なしに目減りしたのです。働けど倉が建たない時代でした。
1から4のネジを外したら本体から分離できました。社名環をゴムアダプターで取り去るとヘリコイドが、こんにちは、と顔を出します。
集光レンズは光彩をイメージした文様になっており、中心に位置するレンズは梅島の漆黒の瞳と言ったところでしょうか。それとも、南半球の台風の渦でしょうか。
この後、悩むこととなりました。
前板の裏側にシャッタースピードモードレバー・絞り作動盤・レリーズレバーが本体側と咬合しているのね!
本体側にシャッタースピードモードピン・絞り作動ピン・レリーズピンがあります。
明るさに応じて電流計の振れ具合でシャッタースピードと絞りの値が決まる機構になっています。任意選択の手動仕様でありません。これから先に進むに当たり組み込み要領を模索することになります。何度か試みましたが、上手く咬合が出来ないのです。
一つ二つ。その先はいっぱいの小生です。
そこで、前板側をあ~じゃない。こ~じゃないと動かしたのです。絞りを任意設定の位置にして行きますと絞り作動盤が動きレリーズレバーと重なってきたのです。
これで、咬合させるのが二っになりまして組み込むことが出来ました。
後玉・押え環・押さえ盤と外していきます。(少しルンルン気分です)
現われましたシャッター制御部です。何か似ているな~と記憶を辿ればミノルタレポのシャッターです。チャージ環の内径部を清掃してモリブデングリスを塗布します。
内径部が接するシャッター前室側も清掃いたします
では、どの様にシャッターを分解するかをレポのシャッターで見習、1から3のネジを緩めてみました。シャッター前室が動きましたからネジを外したのです。
仕様の情報を持たない場合はネジを外さず、緩めて様子を見ることが肝要です。
間違いであれば沈没ですからね!航海途中の沈没は心残りですから。
シャッターが前後に外れました。
動きの悪い開閉環を外し洗浄いたします。開閉環溝部へは二硫化モリブデン微粉末を塗布してあげます。
良い動きとなりました。
カメラケースには黄色に彩色されたPETRIのエンブレム。お洒落です。
昼食後、散歩がてらお店に寄られるお客様がおられます。
お客様:あ~れ。珍しいカメラを直しているね!
小生;初めてのPETRI 7ハーフです。
お客様:私も見たことがない~ね。グリーンはよく見かけますが。。。
小生:どう直すか悩んでいます。予約をなさりますか?直りましたらお声掛け致します。
で、予約を戴いちゃいました。
完成した青い瞳は、黒い瞳の方の手に渡ったのです。
日本橋店中古売場 田口由明
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