修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.02.17
中判の品揃えが寂しい。中古販売価格のデフレで売る側としては厳しさがある。
正にデフレは経済を停滞させる。
その様な中、個体数の少ないSEKOR 55/4.5 が入院してきました。
所見は、両眼に初期の白内障。天の岩戸は開かない。
上下の前玉を外し、シャッターを分離します。
外しました前玉は、撮影用とファインダー用を間違えないようにします。
羽根の重なり際に油分の湿潤の痕跡(赤点線)が見えます。
天の岩戸が開かないのは油分の悪戯のようです。
レリーズレバー作用バネの一方はシャッター後室側壁に係り、もう一方はBレバー(赤矢印)に位置する。逃がしながらレリーズレバーを外す。
係止レバー作用バネの一方は、同じようにBレバーの切り欠けに位置する。細いバネであるからして変形させないよう係止レバーを外す。
多重防止レバーには細いバネが作用しており、逃がして外す。
シンクロ接点を外す。
楊枝で掛レバーの動きを阻害する。シャッター後室側壁に位置する作用バネを逃がしながらシンクロモ-ドレバーを外す。
赤丸部のネジは2本の棒状バネを止めている。一つは、MX切替時のクリックの役目をしており、シャッター後室側壁とMX切替レバーとの間に入る。
もう一方は、常に開閉環を閉じる方向に作用している。
Mバネの掛を外し、開閉カムを外す。開閉カム軸と共に古いグリスを清掃後、モリブデングリスを塗布する。
絞り羽根作動板を外し、1から3のネジを外すとシャッターが前後に分離される。
最後に重ねました羽根をずらせてみると油分がベットリの二色羽根になっています。
レンズ取り付け剤座を外しますと機構部台座に油分の痕跡(帯状の黒い部分)があります。
シャッター羽根の洗浄に止めますと、時間の経過と共に油分がじゅ~わじゅ~わと湿潤してくるのです。
仕分けをせずにキチンと仕事をします。
日本橋店中古売場 田口由明
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