修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.06.02
FTを含むFVは、Fとガバナの仕様が大きく変わりました。
全速度を作り出すガバナを利用する機構は、レンズシャッターの機構と同じ原理です。
低速が時々ダダをこねてしまうと言うのです。
セルフレバー釦に傷を付けないよう外します。セルフ釦には、ネジ切りの違で二種類があります。外し方は個人秘密ですが、ヤットコで摘んだり、挙げ句の果てはセルフ釦に穴を開けてしまうのを見受けます。残念な方法です。
米谷さんが泣いております。
本体と前板部とに分離します。
シャッター機構部を分離したところです。シャッター制御の細かな部品が整然と収められています。
巻上治具に取り付けてガバナを外します。
外したガバナです。
裏を返し、歯車を動かして目視をしてみました。
右下の拡大画像を参照下さい。F系に共通する歯車の山が崩れています。
通常ですと、ガバナの補修部品がありませんから此処で万事窮すになります。
ですが、依頼人の心情を考えますと何とかしてあげたいのです。
崩れた山には、彗星の如く尾を引いたバリがあります。バリを除けば山同士が咬合する物と思います。
材質に焼が入っていますからダイヤモンド鑢で慎重にバリを除きます。
シャッター機構部に組み込み、チリ~チリ~と小気味よき作動音に聞き耳を立てます。
規則正しい音がします。恒久対策ではありませんが、暫くは民具として働いてくれるものと思います。
日本橋店中古売場 田口由明
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