修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.07.21
久しくウインドーにペンF系を見ないですね。寂しいと同僚が申すのです。
外観の状態が宜しい。では、修理をしましょうね!と、分解しましたら、考えた方法でプリズムの修繕がしてありました。
プリズムを使用した民具は、我が国の過酷な気候条件により、防湿塗料をかいくぐりました湿気は蒸着面に腐食を起こします。使用してありますモルトにも原因がある場合があります。風呂場の鏡の周辺に発生する腐食と同じで原理です。
腐食した面の防湿塗料を剥がし、蒸着面の剥離に時間を掛けて研磨したのでしょうね。
この、蒸着面を化学的に剥がす薬品が無いものでしょうか?
知識を持たれた方が読まれましたら、ご教授戴ければ大変嬉しいと思います。
ペンFのシャター切れずの現象が多々見られます。ミラー駆動部に原因がありますが、ブレーキ部分にも原因があります。高速回転したシャター羽根回転軸を止める役目をしています。高速回転で塗布してあるグリスが蒸発してしまっているからです。
又、ブレーキゴムが収まっていますブレ-キゴム保持環に発生しました錆の問題があります。
ブレーキ環とブレーキゴム保持環が錆び付きますと、ブレーキゴム保持環の内径が太くなりブレーキゴムを内側から押し出します。そうなりますと、ブレーキ環との間の摩擦係数が大きくなり、ブレ-キが効きすぎ、ミラー駆動部のシャターミラー係止レバーの解除をしないのです。結果、次の動作が出来なくなるのです。
ブレーキゴム保持環に発生しました錆を除去して綺麗になりました。
本当の所、分解をしている過程で異変に気付いたのです。
前板は5本のネジで固定してあります。2本は短いネジ、3本のネジは長いのです。
長いネジを短いネジの位置に締めますと、足が出てしまいます。
ネジも暑いのでしょうか?飛び出したネジは戴けませんネ。
スプール室に飛び出ました足はフィルムのベース面を傷つけます。と、な訳で部品の仕様の違いには理由があるのです。
話を元に戻します。前板を組み込みましたが、ネジ穴の位置がしっくりこないのです。
理由は、プリズムに張り付けました鏡の厚さです。米谷さんが限られた寸法の中で戦い完成させた民具は、僅か2mmの厚さの鏡を受け入れることを許さなかったのです。
無理は禁物です。この後、プリズムを手当てしまして完成させることが出来ました。
日本橋店 田口由明
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