修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.09.17
道具として可成り使い込まれました民具です。
作業をしておりますとニコン製品の辞書とも証されますお客様が話されました。
「絞り羽根が動かないのですね!」油分の湿潤の疾病を抱えている個体のようです。
完成後、値札の特記事項をメンテナンスしておりまして気が付いたのです。自店の登録商品では無かったのです。不具合の為に処分商品として任された民具でした。
自店のかと思い作業をしちゃいましたヨ。登録店は大喜びと思います。
ヘリコイドを最短距離にすると赤○のセットネジが現れる。セットネジを外し、ヘリコイドを無限位置に戻す。ヘリコイド部と前玉群筒を握りながら回すと分離する。
マウント環の3本のネジを外す。
奥を覗くと真鍮色の位置固定ネジが確認できるが、外してはならない。
撮影位置の関係から3本ある内の1本のネジしか画像では写ってはいない。
(右下のレイヤー画像が、外すべき3本のプラスネジです)
ネジ頭のプラス溝に接着剤が入り込んでいる場合は、アルコールで溶かしてから外す。
無精をしますとドライバーを滑らせネジ頭の溝を舐めてしまいます。
絞り羽根収納筒が分離されます。赤○の3本のネジを外します。
外すに当たっては、アルコールを垂らし接着剤を緩めることを忘れない。セットネジ頭の破損は万事窮すとなります。
油分の湿潤で張り付いています絞り羽根が現れました。Aベンジンで洗浄を致します。
絞り作動盤の突起にバネが掛かります。(両矢印の関係)
絞り作動盤(黄色○部)にはピンが取り付けられており、絞り羽根収納筒に戻す際に咬合させます。
洗浄し、仕事をするようになりました絞り羽根収納筒をヘリコイド部に組み込む際に約束事があります。
1)位置固定ネジをヘリコイド部の切り掛けと合わせます。
2)同じように絞り値カム盤の突起を絞り値環の凹みに咬合させます。
(1)と(2)を満足させますと絞り羽根収納筒・ヘリコイド部が合わさります。
設計の哲学と申しましょうか、作業がしやすいですね。
日本橋店 田口由明
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