修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.10.04
絞り羽根が油分の湿潤により、童謡の「むすんでひらいて」を歌えなくなった民具です。
無理をして動かそうとしますと絞り羽根ダボのカシメが飛んでしまいます。
速やかな修理が必要ですね。
ヘリコイドを最短距離に致しますと前枠の緩みを防止するセットネジが現れます。
セットネジを緩め前枠を外し、前玉群をを外します。
レンズマウントを固定している3本のネジを外します。
ネジは緩み防止の為にロックタイト(空気遮断硬化型)と言う接着剤が使われています。
ネジの十字にあいますビットを使います。
それでも取れにくい場合は、ハンダ鏝で加熱しますと良いでしょう。
舐めて仕舞うと「甘かったか!」と後悔します。
絞り値環を外します。
これから外す部品の位置画像。
絞り作動レバー・添え板・支点ネジ・戻しバネ&ネジを外し、後玉群を外します。
絞り羽根に油分の湿潤が確認できますね。引っ張りバネの片方を逃がします。
絞り羽根固定盤を止めている2本のネジを外しますと絞り羽根部が外れます。
2本のネジで絞り羽根固定盤を固定してあるわけですが、絞り羽根固定盤にはネジ切りがされてありません。楕円の穴(赤両矢印)があるだけです。組み込む時に開放位置を調整します。
絞りを開放にした場合、絞り羽根は絞り羽根固定盤の内径より内側に絞り込まれてはいけないのです。
絞り部を分解する前に最小絞り径も確認しておきます。
開放位置・最小位置を確認することで正しい絞り羽根組み込み位置がなされるのです。
Aベンジンで洗浄します。
ヘリコイド環には複数の線条が刻まれています。安易に抜いてしまいますと、全ての線条の入り口が一致しませんと組み込むことが出来ません。お互いが接する線条にはグリスが塗布されており、滑らかな動きを作り出します。その作用により線条はグリスを運んで仕舞います。送り出されたグリスは経年変化による湿潤を起こし、直進キー等を経由し、毛細管現象により絞り羽根に油分の湿潤をおこしてしまいます。
日本橋店 田口由明
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