修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.10.06
高価なレンズでしたね!買い取った時には気が付かなかったクモリが酷くなり、何とかならないかと入院をしてきました。
初めての試み(Biogon 28/2.8 編)
https://www.kitamura.jp/photo/repairer/2010/re553.html
で学習しましたから挑んでみました。
絞り値環を最小絞り側にします。
前群レンズ・前枠を外します。
絞り値環を最小絞り位置にすることにより、ヘリコイド駆動部にあります切り掛けが、レンズ部内筒から突出しています絞り作動レバーが当たらない位置になります。
レンズ部内筒を持ち上げますと、ヘリコイド駆動部から分離できます。
レンズマウト側にありますAFカプラーをマイナスドライバーで回しますとヘリコイドの作動確認が出来ます。
レンズの性能にクモリやカビは影響を与えますね!特にクモリは厄介な症状です。
レンズに光を透過させ、斜めから見ますとクモリレンズの位置が分かります。
此度のレンズのクモリは風紋の様に見え、唯のクモリとは思えませんでした。
コーティングの腐食によるクモリとは明らかに違うのです。
真ん中に位置するレンズにクモリがありました。このレンズは張り合わせで化学糊により貼り合わせてある物と思います。レンズ単体ではクモリの程度は分かりません程綺麗です。
光源に晒し、斜めから見ますと接合面に風紋が確認できます。旧来の松ヤニを精製したバルサムには見受けられない症状です。何時の頃か?化学糊(紫外線硬化型)を使用してからと思うのです。
時として技術の進歩は、民具の寿命を縮めて仕舞うようです。
戦後の食糧難を救いました民具の物語が、飽食の時代に一つ二つと消えていくのは悲しいと追憶するのは私だけでしょうか?
日本橋店 田口由明
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