修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.12.10
隠居に当たり最後に残されましたのがチノンベラミでした。過去に入賞した写真を撮影した思い出のある民具との事で、秋田から人を介して送られてきたのです。
指図書にはスプロケット空転とあります。現役時代に手掛けたことが無く、機構のカラクリを知りませんで、空転の原因が掴めません。分解方法を探りながら上カバーを外しました。
おいおい。リード線が走っているよ!この状態を見ただけで殆どの方は引いちゃいます。
何はさておきスプロケットとスプロケット軸の関係を調べなくてはなりません。
想像する組み立て方は、巻き上げ機構部を組み込んだ後にシャター類を取り付けたと思うのね!組み立てと逆の順序を見つけるのは大変です。逃げ道が無いのかと探って行ったのが枚数計部からの分解でした。Cリングを外します。
枚数計解除レバーの止めネジを外し、枚数計送り歯車を外します。
スプロケット軸を抜きたいのですが、軸に歯車が打ち込みで取り付けてあります。
歯車は抜けないね!暫し長考です。スプロケット軸受けはネジ込みではなさそうな。。。
軸受けと本体の隙間にヘラを差し込み少しずつ上に引っ張り上げました。圧封と言う方法ですね。之は困りものなのですよ。でも、スプロケット軸は完全に抜けません。
底カバーを外し、スプロケット下歯車を外しました。
お~っ。抜けましたよ!
スプロケットの素材は樹脂。スプロケット軸は金属。A―Rの繰り返しでスプロケット軸の落ち込み溝が摩耗してしまったのです。此処で万事窮すかと、可能性のある方に御願いしましたが、返事を貰えず、時だけが刻まれたのです。
その間、作業机上にありますベラミを見られているお客様が、馬車は何時走るのかな~ぁ。と、言われ続けたのです。最後の神頼みの願いが叶い部品取りベラミが届いたのです。
両者を同時分解して、元気なスプロケットが移植出来ました。
フロントカバーを外してみました。スライドSWが2ヶ所(赤○部)あります。特にファインダー下部スライドSWが汚れますと具合が悪くなるようです。
ようやく完成しました。
完成しましたら、お客様が飾りの馬車が無いから馬車が走らないと言われていましたので、最後の願いを叶えるべく部品取り民具の飾り馬車を差し上げたのです。
お客様の馬車も走り、小生は44年7ヶ月の勤めを終え、花束を抱え、馬車で送られたのです。
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