修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.12.17
毎月、第二日曜日はカメラ修理教室の講義日です。
講義前の休息をしているところへ職員に案内された男性が見えられました。
唯一の受講生であります女性のご主人です。ご主人が話されたのは奥様が亡くなられた事実でした。余りに若い旅立ちに返す言葉もありません。
今年の春に体調不良で休会する旨のメールを受け取ってはおりましたが、それ程の大病とは思いもよりませんでした。
「田口 様
ようやく日ざしに春らしいあたたかさが感じられるようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、私は、不本意ながら、私自身のオーバーホールをすることになり、しばらくの間、休会することになりました。
毎回、新しい発見、楽しい話、が聞けないのがとても残念です。
また、新品とは言いませんが、”使える程度” になりましたら、是非、受講したいと望んでいます。
ブログを楽しみにしています。
ありがとうございました。」(2010/03/19)
受け取ってありましたメールを読み返せば、何でもない文末の「ありがとうございました」が、この日を暗示させていたようにも思ってしまいました。切ない気持ちで一杯です。
開講以来の受講生であり、並み居る男性陣より腕が良いのです。講義の話を良く聞き、配布したテキストに自分なりに加筆をしていました。自宅でも楽しんでおられたようで、不明な点をメールで質問をしてきました努力家でもありました。
「 田口先生 こんばんは
今日は雨のせいかとても寒く感じました。
レンズ清掃をやってみました。
2ページ目の最後で止まってしまいました。
外鏡筒と内鏡筒の分離に所です。
ネジ3本がわかりません。
私が預かったレンズには外鏡筒がないようにも思えます。
前レンズ脇にセットネジを外すと前玉が緩んで外れました。
そうすると3ページ目に進めるような気がします。
このまま進んでも良いですか・・・
それと、
この間の講座で分けて頂いた注射器はまだ余分にありますか。
主人に自慢したところ 以前から仕事用に探して欲しかったそうです。
もう2本ありますか・・」(2006/09/28)
そして、ご主人から受講生への手紙と闘病にも関わらず、体調の良いときに作りましたペンダントを人数分渡されたのです。
以前にも愛犬クイーポのペンダントを戴きました。今も、USBに取り付けてあります。
https://www.kitamura.jp/photo/repairer/2008/re177.html(2008年7月10日Vol.177)
ご主人から託されましたペンダントには、カメラGETからの抜粋した顔写真と「東武カルチャースクール田口由明カメラ修理教室」の文字が、光に翳しますと浮き上がります。
毎年、8月末に幕張メッセで開催されるホームセンターショーにも出掛けましたね!
そして、三条鍛冶道場の包丁作りに夫婦で参加され、使われていた由。
お蕎麦も、今ほど上手に打てませんのに喜んで頂き有り難う御座いました。
余りにも、思い出が走馬灯のように駆けめぐります。
13日は、友と故お茶の水先生へ香華を手向ける約束をしていました。
冷たい雨の中、故お茶の水先生の墓前に報告をして参りました。
又、1月の講義日の帰りに受講生の方々と、しのぶ会を致す予定で御座います。
安らかにお眠り下さい。ご冥福をお祈り致します。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。