スタジオで撮らないショットの確保も
成人式の写真
最近は和服を着る方が少なくなりました。この和服は、振り袖はミセスが着てはならないとか、この季節には「この生地を・・・」などといろいろと「きまり」があって、敬遠されても仕方がない面もありますが、こうした中で、成人式は意外と着る方が多くおられます。
日頃、和服に接したことがないために、頼まれたりすると「どのように撮ってよいか判らない」と、いった話をよく耳にします。そこで、いくつかの撮影ポイントを紹介してみましょう。
和服を撮るということは、その着物のもっている優雅さ、豪華さに加え、全体の形も考えなければなりません。ポーズのとり方で着物の雰囲気を壊してしまうこともあります。和服の撮影は基本的には静的な雰囲気描写が要求されます。もっとも、こうした“きまり”を無視して自由に撮影しても一向に構いませんが、何カットかを“きまりポーズ”で抑えてあげると喜ばれること間違いなしです。
内股が基本中の基本
和服を着ているのですから、おしとやかさも表現してあげるべきでしょう。
1】和服のポーズでもっとも気をつけることは足の位置です。極端にする必要はありませんが、両足のつま先を、若干、内股にして撮ります。椅子に座っている場合も同様で、つま先の方向が外に向かっていては、サマになりません。このつま先の方向さえ、気を付けていれば、写真館やスタジオでの撮影ではないのですから、及第点といったところでしょう。
2】振り袖の柄を見せるには、帯より下で広げます。肩まで上げて広げたのでは案山子になってしまいます。
3】帯を撮るには、真横からでは帯締めなどが見えてしまいますので、バックの斜めから顔を向けてもらうなどして撮りますが、ファインダーを覗いてみっともない部分が見えない角度を選びましょう。
4】バッグなどの小物は、体の真ん中に持ってこないようにします。また、バッグをダラリと垂らさないように、若干、腕のヒジを曲げる程度に持ってもらいます。
5】正面ばかりでなく、ちょっとした仕種なども撮るとベターです。
6】全身、七分身、上半身の3種類は、最低限、撮ってあげたいところです。
撮影を頼まれたら、写真館などでは「撮れないホーズや場所で撮ってやろう」ぐらいの意識で、のぞみたいものです。とはいっても、前エリや後ろエリを拡げるのは、振り袖ではだらしなく感じますので、避けた方が無難です。
背景選びも重要です。
和服では背景も重要なポイントです。洋服ならば、バックがコンクリート塀であってもそれなりに決められますが、和服の場合はやはり雰囲気作りが重要になってきます。神社仏閣で、鳥居や和式の屋根をあしらってみるのも理想的なひとつのパターンでしょう。着物の柄にもよりますが、赤系統ならば、緑色系統をバックにすると人物、着物が浮き立ってきます。
とはいえ、冬場は緑が少なく、成人式などではそうした場所に連れていくのも大変な場合は、成人式式場の玄関、その人の家の玄関で記念写真的に撮るのも手です。振り袖などは着物の柄自体が派手ですから、なるべくシンプルな背景を選びます。また明るいバックよりも暗い目の方が和服を一段と引き立たせます。
レンズは中望遠が有利
中望遠レンズで、バックのボケ効果をうまく活かして撮影すると、人も和服も引き立ちます。ただし、着物をきれいに撮る場合には、絞り込んで撮ります。
和服撮影はどちらかというと、動きが少ないのですから、シャッター優先よりも絞り優先モードで撮影することをお勧めします。
ソフトフォーカスを使う手もありますが、ボケ写真と勘違いされるケースが多々ありますので、弱いソフトがよいでしょう。
成人式で和服を着て来るには、美容院でヘアメイク、着付けをしてもらうなど“苦労”されています。その和服を撮るのですから、カメラマンとしてはきれいに撮ってあげたいものです。撮られる側もそれを期待しています。
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