撮影教室


ポートレート その1

写された人に喜ばれるポートレートを

 ポートレートを撮る目的を考えた場合、突き詰めてみますと、女性ならば「きれい」に、男性ならば個性の強い「男らしさ」を引き出すようにするのが重要なポイントになります。通常のポートレートでは雑誌に掲載するとか、オーディションを受けるために撮る、衣装を中心にして撮るなどといったようなケースはごく稀れで、友人、近隣の人を撮って自分も、撮られた人も満足するのがほとんどではないでしょうか。撮影した写真を特殊な使い方をしない限り、写された人に喜びを与えるポートレートにするのがカメラマンの役目といえるでしょう。
 ポートレートの主役は人物です。当たり前のことですが、意外とこれを無視した写真が多々あります。その大きな要因は余計なモノが写し込まれているからです。家族写真ならば、背景にいろいろなモノがあっても、そのモノが暮らしぶりを語ってくれますので思い出になりますが、ポートレートの目的はいかにその人の良さを引き出すかにありますので、まず、背景をスッキリさせて置くことがポイントといえます。どうしても背景やモノが必要ならば、あくまでも写される人を引き出すための小道具的として扱うようにするのが基本です。
 今回は女性を対象にした、外光でのポートレートを中心にして記します。
 女性を美しく見せるためにはそれなりのライティング、ポーズ、カメラアングルに配慮しなければなりません。
 ライティングについては、スタジオで光源を自由に使えるケースはほとんどないでしょうが、太陽光の下であってもライティングを考慮した撮影に心がけます。ストロボを使用する場合、メインライトは太陽光で、ストロボは補助光として捉えたライティングを考えます。メイン、サブのライトとも顔を中心にして決定していくのが通常です。

拡散光の曇り空を選びたい
 女性を撮るライトは拡散光が理想的です。拡散光とは光の当っていない部分との境目があまり目立たない柔らかい光のことです。雲がディフューザーの役目をしてくれますので、曇りの日が拡散光を作ってくれます。ピーカンの直射日光下よりも曇り空の方がポートレートには適した光になります。スタジオでのメインライトは被写体の位置よりも高くして、カメラと被写体とを結んだ線に対して45°前後の位置に置きますが、外光では顔のテカリ具合を見ながら、きれいに見える位置に動いてもらいます。
 外光でほしいのはレフ板です。このレフ1枚が写真を大きく変えます。今まで、ポートレートは「どうも……」という方は、是非、レフを使用してみてください。30cm四方の発砲スチロール1枚あるだけでかなり違った写真が得られます。斜め下からあごに向けて当てるだけで、表情が活き活きとしてきます。角度にもよりますが、あまり気にせずにあごの陰りを消す程度に考えて当ててみてください。ビックリするほど変わります。
 ポーズ、アングルについては次回に説明します。



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