スナップショットで自然な表情、しぐさ、雰囲気を撮ろう
スナップ写真、よく耳にする言葉です。街を歩いていると、レンズを向けて誰彼なしに撮影しているカメラマンを見かけますね。こうしたカメラマンも主に人物のスナップ写真を狙っています。このスナップ写真とは、自然な表情、しぐさ、雰囲気を表現するために、被写体の瞬間的な動作を素早く写した写真を言います。この撮影方法はスナップショットと呼ばれています。「素早く撮る」をさすのですから厳密にいうと、スナップ写真は人物だけではないのですが、通常、スナップと言えば、人物の自然な表情や姿の入った写真をいいます。
撮影会の時、モデルをパチパチと忙しそうに早撮りをしているカメラマンがいますが、これもひとつのナップ写真を狙っている場合が多いのです。モデルもカメラを向けると、それを意識します。その表情以外の、意識になる瞬間を狙っていることがよくあります。その方が美しいと感じたからこそ、そうした撮影方法をとるわけです。もちろん、撮影会の時にはそればかりではありませんが……。
スナップ写真の上達法
このスナップ写真の上手に撮る方法はあたりまえのことですが、次の3点が挙げられます。
1.写す相手に気づかれないように撮る。
2.写す相手を徹底的にカメラに慣れさす。
3.写す相手が気づいた時には撮ったあと。
この3点を実行するには素早く撮ることが大きなポイントになります。その昔「撮影の上手な人はスナップ写真が得意」と言われたこともあります。素早くピントが合わせられ、シャッターチャンスを心得ていて「撮影に慣れている人だ」と見られていたからです。
街中で、田舎の道で「この人を撮りたい」と思ったら、まず失礼にあたらないように、敬意を持ってカメラを向けたいものです。相手が「写された」と感じて顔を合わせた時、この敬意の心があればカメラマンの心を読んでくれることでしょう。写したい一心だけや何か下心があると敏感に相手に伝わり、失礼にあたります。できる限り撮影の目的と身分をあかして、他意のないことを理解してもらい、会話している中で自然な姿を引き出したいものです。人物スナップの達人と言われた木村伊兵衛さんは「写真は人との出会い」と、語っていたそうです。敬意を持ってスナップで人との出会いを大切にしたいですね。
テクニックとしてはズームレンズ(35〜105mm)で狙うと便利です。スナップの基本であるワイド側で人物を浮き出たさせながら周囲の状況を入れて撮り、消極的ですが、望遠側で気づかれないようにも撮れます。早撮りでは手ブレ、ピンボケ、被写体 のブレなどを起こしやすいためにフィルムはISO 400 が向いています。逆光や薄暗い時も多々ありますからストロボもあると便利です。
友人や家族にもカメラを向けると、いつも同じ笑顔であったり、ちょっと曲げた首のしぐさまでもハンコで押したようになったしまう人、特に女性に現れがちです。こんな人にはスナップショットで自然な表情や姿を撮ってあげて、喜んでもらいたいで すね。誰にでも喜んでもらえるようなスナップが撮れれば、一流カメラマンの仲間入りです。
写真提供:板倉有士郎
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