動く被写体の一瞬を写し止めるスポーツ写真
スポーツ写真は瞬間の連続でドラマが生じます。その時々に人物であれば、あふれる躍動感、スピード性、華麗さ、激しい競い合いそして常には見られない表情などなど、シャッターチャンスは無限にありますが、ポートレートや景色と違って、動いている被写体の一瞬を撮るのですから、それなりのテクニックが必要となってきます。そのポイントは大きく分けると、二つのテクニックに集約されます。
その一つは雄姿が宙の一点で静止している写真です。スキーやサッカーなどで飛んだ瞬間の、ピタリと静止した写真がそうです。フォトワークでは高速シャッターで静止画像を作ります。アップでなければ、人間の走るスピードならば1/500秒で止まった写真ができます。1/250秒でも静止画像は得られますが、撮影距離によります。被写体との距離が近くなればなるほど高速シャッターが要求されます。
今一つのテクニックは走っているイメージ、スピード感、躍動感を表現するために、被写体の背景を流れるように撮る方法です。一般的に“流し撮り”といわれているテクニックです。モータースポーツ(レーシングカーなど)写真では「流し撮りが命」ともいわれているぐらい多用されています。やはり、被写体のスピードと撮影距離によって、シャッター速度を変えます。背景を流れたように撮影するには被写体をカメラで追いかけます。人間のスピードなら1/15〜1/30秒ぐらいを目安にして下さい。レーシングカーやオートバイなどでは時速200キロ以上のスピードで突っ走りますから、1/125 秒でも流し撮りになります。
この流し撮りの注意点としては一眼レフの場合、シャッターを切るとファインダー内で画面確認ができないことです。例えば、1/15秒ではこの間、予測で追うことになります。見えない時間を正確に追っていなければ、被写体がブレてしまいます。シャッターを切る前に「追う」練習することをお薦めします。
以上のように二つのテクニックはシャッター速度によってコントロールするのがポイントになります。
ピント合わせのコツは運動会や野球で走るコースがだいたい決まっていますから、ここに来たら「撮ろう」と決めておき、あらかじめピントを合わせておきます(通常“置きピン”と呼ばれています)。その地点を通過した時、シャッターを押します。また、AF一眼レフで動体予測機能がある場合、被写体の動きと速さを読み取ってくれますから、ピントを合わせが楽です。一方、露出面ではプログラムAEの撮影で、バックが明るいと目的の被写体がアンダーになるため2絞りぐらいのプラス補正が必要となります。また、背景がゴチャゴチャしている場合は絞りを開放に近い値で撮ると被写体が浮かび上がります。
このほかのポイントとしては
1.撮る位置は上から撮るより選手と同じ高さで撮影した方が迫力が出やすい。
2.サッカーや野球で表情を撮る場合、スタンドからでは300mm以上の望遠が必要。
3.スポーツ写真であっても、目をキャッチできると一段と表情豊かに撮れる。
4.走っている被写体ならば、前方に空間を求めた方が「前進している」雰囲気が表現しやすくなる。但し、AFでの撮影はピントの中ヌケに注意。
スポーツによって動きや表情は様々で、素早く撮影しますが、これを自在にこなせるようになったら、あなたも一流カメラマンの仲間入りです。
写真説明
上:ボールがピタリと静止している高速シャッター
下:1/30秒で背景をぼかして撮影
© KITAMURA Co., Ltd. All Rights Reserved.
|