撮影教室

撮影領域を拡げる三脚

 写真撮影で「あんな重い三脚なんて必要がない」と、また、極端に三脚は記念写真で、自分も入りたいから「セルフタイマーを使用する時に必要なだけ」と、思っている方もいます。重たいのも事実ですし、持って歩くのも面倒なこと、この上ありませんが、しかし一度、使いだすと手放せなくなる人がたくさんおられます。その最大の理由は、カメラのブレ(手ブレ)を防ぐとともに、撮影のバリエーションを広げることができるからです。手持ちでは撮れない写真が得られるようになります。つまり、撮影には三脚が重要な存在にあるということです。

どんな時に三脚が役に立つのか

1)じっくり構えて写す、スローシャッターを使用する、望遠レンスを用いる場合、カメラ保持用具として、三脚の使用は最善の方法です。風景などの長時間撮影には手ブレ防止のための必須アイテムです。

三脚使用手持ちでブレている


2)被写界深度を深く取る(ピントの合う部分が深い)ために、絞り込むとフィルムに当たる光量が少なくなりますから、当然、シャッタースピードが遅くなります。特に低感度フィルムの使用では、晴天でも1/30秒よりも長くなるケースも生じますので、手持ちではシャープな写真が得られにくくなり、三脚が使用されます。例えば、建物撮影は一般的に被写界深度を深くとります。絞りf22 ともなりますと、三脚は必需品になります。

3)夜景の撮影には、長時間露光(数秒から数分) がシバシバ要求されますので、三脚は欠くことができません。

4)濃度調節するNDフィルターや反射を抑えるPLフィルターを使用しますと、露出倍数か大きくなり、意外とスローシャッターが要求されてきます。こんなときにも三脚があれば、思い通りの撮影ができます。

夜景に三脚は不可欠 三脚を使えば滝を
糸のように撮れる

 

5)花火大会にも三脚は「絶対に必要」という方が多くおられます。

6)花などの接写撮影も絞り込んで深度を深くしたい場合は三脚を使います。

7)何枚かをつなげたパノラマ写真を作るのにも、平行を保つ上で三脚は必需品です。

8)カメラを固定してインターバルタイマーなどで撮影する朝顔の花などを連続撮影するときにも、三脚が必要です。
 このほか、本などの複写にも三脚が活用されています。

三脚は一般的に

1)短時間露出よりも露出時間が長くなるほど必要性が高くなります。
2)広角、標準レンズよりも望遠系になるほど必要性が高くなります。
3)明るい場面よりも暗くなるほど必要性が高くなります。
4)35mmカメラよりも中判、大判カメラになるほど必要性が高くなります。

三脚に慣れることが撮影上達の秘訣

長時間露光の世界を撮影するには、三脚が必需品です。つまり手持ちでは撮れない分野が撮れるようになりますので、是非、購入したい用品といえるでしょう。

もっとも、三脚は撮影領域を拡げるなどのメリットがある反面、デメリットもあります。花などの接写で、三脚にこだわるとさまざまなアングルがとりにくい、また、景色などでも三脚に頼っていますと、35mmらしい動感ある写真が撮りにくい、といったことが挙げられます。三脚は万能ではありません。手持ちではできない撮影のときに三脚を活用することを念頭において、敢えて三脚の必要性のない場合は、手持ちで撮ることも大事です。 こうしたデメリットはともかくとして、三脚を味方にし、幅の広い撮影ができる三脚を活用していきたいものです。三脚に慣れ親しむことも、撮影上達のひとつの秘訣といえるでしょう。

写真協力:ベルボン(表題の三脚) ケンコー(滝の写真)

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