撮影教室



バックの景色をコントロールできる絞り優先モード

 レンズの絞り値によって、写真の内容が異なってきます。例えば、人物を撮った時に、バックに山があったはずなのに、ぼやけて写っていなかった経験があるでしょう。また、逆にバックの景色がクッキリ写っていることもあるでしょう。この違いは、絞り値が異なるためです。
 絞り値を小さくすればするほどレンズは大きく開き、被写体のバックの景色がぼやける傾向が強くなります。逆に絞り値を大きくすればするほど、レンズは小さく開き、バックの景色がクッキリ写るようになります。

 カメラが全自動の場合、暗い場所では光をより多く取り入れようとするために、レンズは大きく開き(シャッタースピードも遅くなる)バックの景色がぼやける傾向が強くなります。明るい場合は、この逆になって、バックの景色がクッキリ写ります。全自動のコンパクトカメラなどでは、カメラまかせになりますので、バックの景色をぼかしたり、クッキリさせたりするのは難しいいえます。

 それが一眼レフカメラならば、絞り値を変えて、簡単にコントロールできるようになります。自動露出機構が搭載されている一眼レフには、絞り優先モードがあります。これで、絞り値を決めて、バックの景色をぼかしたり、クッキリさせたりします。この場合、露出機構が働いて、絞りを大きく開くと、シャッタースピードが速くなり、絞りを小さく開くと、シャッタースピードが遅くなります。

 つまり、自動露出機構の場合、絞り値とシャッタースピードは相関関係にあるといえます。シャッター優先モードで撮影して、速度を変えると絞り値も変わってくるということです。

(1)バックがクッキリの写真(2)中間の写真(3)バックがぼけた写真

 上の写真3枚は、シャッター優先で1/30秒、 1/125秒、 1/500 秒の順で撮影したものです。速度が遅いと、絞りが小さく開きバックがクッキリしているのに対して、速いと絞りが大き開き、バックがぼけてきます。全自動カメラは、晴天の明るい状況では絞りも小さくなって、(1)のようにバックがクッキリとしてしまい、曇った天候では(3)のようにバックがぼける傾向になります。

 こうしたことから、一眼レフカメラでバックの景色をコントロールしたい時には、絞り優先モードで絞り値を決めてから撮影することになります。

「絞りと被写体界深度」 続く


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