撮影教室


フィルムの種類を知ろう

目的別に使い分けるのがポイント

 皆さんはいつもどんなフィルムを使用していますか。フィルムを大きく分けますと、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、白黒フィルムになります。さらに35mmフィルムに限ってみても感度や光源の違いなどで、市販されているだけでも60〜70種類ぐらいあります。それぞれの特性、利点を知って、被写体に応じてフィルムを使い分けることも撮影上達のひとつの手段といえます。いつも1種類しか使っていないのでしたら、写真の世界を狭めているといっても過言ではありません。いろいろなフィルムを使用すれば、今までにない広い世界の写真が得られます。

 基本的にはカラープリントにしたいのであればネガカラーフィルム、スライドにするのならカラーリバーサルフィルム、白黒プリントならば当然、白黒フィルムを使用します。とはいえ、リバーサルフィルムからもプリント(ダイレクトプリントと呼称)ができますし、ネガからでもスライド(ラッシュと呼称)にできます。

*カラーネガフィルム
 カラーネガフィルムはもっとも一般的に使用されているフィルムです。プリントにするためのフィルムといえます。現像されたフィルムはオレンジ色の陰画(ネガ)で、明暗が逆になっていますから、フィルムを見ただけでは何がどのように写っているのかの判断はアマチュアではほとんどできません。プリントにして始めて写真として完成されます。

 露出が多少アンダーやオーバーであってもプリント(焼き付け)の段階で色あいや濃さを調節してもらえますので、正常な色が得られます。通常、同時プリントはオートの機械で焼き付けされますが、コンテストなどに応募したい写真は手焼きといって、ネガの状況を見ながらオペレーターが焼き付けを行いますので、色や濃度についても多少の注文が可能です。

*カラーリバサルフィルム
 このフィルムは現像が済むとそのままの状態が完成品です。陽画(ポジ)ですから透過光できれいな画像で、立体感のある写真が見られます。こうしたことからリバサールをポジフィルムと呼ぶ人もいます。カラースライドで多くの人が同時に見ることが可能です。スライドを通常のカメラでは写せないと思っている方もおられますが、コンパクトカメラでも撮れます。但し、ネガのように色や濃度を調節してもらえませんので、撮影の上手下手がダイレクトに現れます。露出をピッタリ決めないときれいに写りません。特に露出オーバーは見られたものではありません。ネガに比べてシビアな撮影が要求されます。しかし、最近はカメラが良くなっていますので、以前ほど神経を遣わなくても失敗は少なくなっています。

 プロカメラマンが印刷原稿用に使用するほとんどがこのリバーサルです。フィルムには製造ロットごとにエマルジョンナンバーが打ち込まれていますが、プロの間ではロットによって「このナンバーは良ったとか悪かった」などの話が出るほどシビアです。ネガでも同じような話が出ますが、ポジほどではありません。

 撮影時の露出がそのままスライド画像として現れますから、リバーサルはしっかり撮影しなければなりませんが、それだけに使いこなせるようになれば、写真の腕が上がったことにもなります。

*白黒フィルム
 現在はカラー全盛の時代ですが、白黒写真が見直され、独特の個性とカラーにはない芸術性で改めてファンとなる人達が増えています。また、カラーよりも現像・焼き付けが簡単ですから、自分で好みのプリントを制作することも容易です。

*被写体にあったフィルムを選ぶ
 フィルムの選び方はまずネガかリバーサルかを決めます。次いで、撮影時の光が自然光(太陽光)なのか、電灯光(人工光=タングステン)なのかでフィルムのタイプを選びます。人間の目は自然光でも人工光でも白は白、赤は赤を判断できますが、カラーフィルムにはその能力がありません。つまり色温度(K=ケルビン)によってタイプを決めます。

★デーライト(5500K前後)タイプのフィルム=太陽光、昼光、ストロボ、ブルーフラッ= シュの撮影に使用します。
★タングステン(3200K前後)タイプのフィルム=電灯光での撮影に使用します。

 一般的にはこの2種類のフィルムを使い分けますが、様々な効果を出すためにデーライトタイプを使用して電灯光下で撮影する場合もあります。光源の合わないフィルムで人間の目に近い色合いを出したい場合にはフィルターで補正することもできます。自分でいろいろとテストして、イメージに合ったフィルム選びをするとおもしろい効果が得られます。皆さんが通常、写真店で「フィルムをください」といって購入するフィルムのほとんどがデーライトタイプのフィルムです。異なったタイプのフィルムで挑戦するのもまた楽しいものです。

*感度を選ぶ
 さらに重要なのが感度の選定です。フィルムの感度とは光に対して感じる度合いのことです。以前はASAで表示されていましたが、現在はISOが使用されています。数値が大きいほど感度が高くなります。ISO= 100と200では2倍の感度になります(但し、カメラの感度設定は「100から2倍になったのだから、絞りを8から16にしてシャッタースピードも1/60秒から1/125秒にして使用する」というわけにはいきません。この露出倍数については改めて記します)。

 感度の高いフィルムを使用しますと、少ない光量でも適正な露光量が得られます。例えばストロボ禁止の劇場でピアノ発表会を撮影する場合、100のフィルムでは暗い写真にな= りますが、感度の高い400とか1600のフィルムを使用すると見た目の通りに撮ることがで= きます。また昼間に動きの速い列車とかスポーツを撮る時にも高感度フィルムであれば、速いシャタースピードを使えますので、ピタリと止まった写真が得られます。

 このように高感度フィルムは厳しい条件下でも適正な露光量が得られますが、一般的に感度が高くなると、画像のキメ細かさが低下し、写真の粒状性、鮮鋭度が落ちます。逆に感度が低いフィルムほど粒状性のきれいな写真が得られることになり、大伸しプリントにするのにも最適ということになります。

★低感度フィルム(ISO 25〜64)
1.粒状性が細かく、シャープな写真が得られます。
2.写真を大きく引き伸ばしても良質の画質が得られます。
3.晴天下など十分な光が得られる時に使用します。
4.景色や静物を撮影するのに適しています。

★中感度フィルム(ISO 100〜200)
1.一般的に使われているフィルムで幅広く、使いやすいフィルムです。
2.画質も優れています。
3.多少の露出間違いでも適正なプリントが得られます。
4.一般的な撮影に適しています。

★高感度・超高感度フィルム(ISO 400以上)
1.ISO= 400は、以前には特殊な部類のフィルムでしたが、現在ではレンズ付きフィルムに= も使用され、一般的なフィルムになっています。
2.化学の発達でE、Lサイズ程度あればしっかりした画質が得られます。
3.多少の露出間違いでも適正なプリントが得られます。
4.写真の知識がない主婦や子供にも適し、万能フィルムといえます。
5.速いシャッターが切れ、スポーツなど動きの速い被写体に適しています。
6.望遠レンズの撮影にも適しています。
7.超高感度のISO感度は1000から3200まであります。
8.リバーサルでは増感といって、現像段階で感度アップを図ることができますが、不慣れですと失敗することが多々ありますので、やはり撮影状況に合わせたフィルムを使用した方が無難です。

*フィルムサイズの違い
 フィルムの面積が大きいほどプリントにする時の拡大率が低くなりますから、画質の低下も少なくなります。つまりフィルムは面積が広いほど画質の良い写真が得られます。どのフィルムサイズをどの程度拡大してプリントにできるかの定義はありませんが、全紙などの大伸しにするなら大きなフィルムが適していることはいうまでもありません。

  35mmサイズを1として6×4.5判は2.68倍 6×6判は3.62倍 6×7は4.40倍 4×5インチは13倍の大きさ= になります。

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