撮影教室


スローシャッターで味わいある写真を

周囲が暗い時に使用
 シャッタースピード(速度)はカメラによって異なりますが、高級一眼レフにもなりますと、1/8000秒の高速から30秒の低速まで幅広くあります。コンパクトカメラではだいたい1/2〜1/500秒程度ですが、ほとんどのカメラはシャッタースピードをコントロールできません。しかし、スローシャツターになる場合がしばしばあります(以下のデータはISO 100を基準にして述べてあります)。

 まず、スローシャッターはどの程度からいうのか、いろいろ意見の別れるところですが、手持ち、標準レンズで撮影して手ブレが生じない限界が1/60秒といわれています。この手ブレを基準にして一般的には1/30秒以下をスローシャッターと解釈しているようです。
 また、なぜスローシャッターにするのか、その理由は通常、フィルムにより多くの光を当てて露光する場合です。多用するケースとしては、暗い場所での撮影になります。

 コンパクトカメラの場合、暗い場所では自動的にスローシャッターになります。もちろん一眼レフでもプログラムモードを暗い場所で使用したら好むと好まざるとにかかわらず、スローシャッターになります。カメラをしっかり持って撮影しなければなりません。手ブレ対策として三脚を使用しての撮影になります。また、スポット測光の時など周囲が明るいのに暗い部分に合わせたため、思わぬ時にスローシャッターになって手ブレをしてしまうこともあります。

川や滝の水の流れを糸状に表現
 意図的にスローシャッターを使用するケースとしては、被写体の背景までハッキリ写し込みたい、つまり被写界深度を取りたい時に使用します。周囲の明るさにもよりますが、曇天ではレンズの絞り値を F16にしますと、1/30秒以下になりがちです。

 また、川の流れや滝を撮影する時にしばしば使用されます。川や滝が糸状になっている写真がありますが、流れや落下する水を表現するためにスローシャッターが使われています。流れの速さによりますが、通常、山間部の清流ではシャッタースピードを1/2秒、滝では1/15〜1/30秒で確実に糸状になります。

 但し、川や滝に日光が当たっている場合、1/2秒にもすると絞りがF16でも露出オーバーになるケース多々あり、イメージとはほど遠い写真になってしまいます。さらに絞り込まなければなりませんが、一眼レフ用のレンズではほとんどがF16〜22が限界でしょう。こうした強い光の中では、光量調節ができるフィルターを使用し、スローシャッターでも撮れるようにします。

スピード感を出す時にも使用
 このほか、バイクやカーレースにもスピード感を出すために被写体の後ろを流したようにする時に使用されます。疾走する被写体にピントを合わせカメラで追いながら、1/15〜1/30秒のスローシャッターで撮ります。これを「流し撮り」といいます(但し、近距離で撮影する場合は 1/125秒でも背景が流れたように撮ることができますし、どのように表現するかで、シャッタースピードは大きく異なります)。このテクニックは子供の運動会の時にも我が子を目立たせるために活用することができます。

 流し撮りとは逆に、カメラを固定させておいて、人物や列車などの被写体を走って「るように見せるために、ブラしたように撮影する時にも使用します。

  このようにスローシャッターはいろいろな場面で使用できますので、是非、そのテクニックを身につけて味わいのある写真を撮ってください。

  なお、スローシャッターの使い方の中でストロボを使用したスローシンクロもありますが、ストロボの撮影の時に改めて記します。
 (滝の写真はカメラのキタムラ「フォトライフ四季 vol.21 永瀬嘉平氏の滝を撮る」から)

© KITAMURA Co., Ltd. All Rights Reserved.