【露出のマスターその1 総論】
写真は奥が深くて面白い
この露出については一眼レフカメラを対象にして述べています。
撮影技術の中で感性を必要とする構図や色合い、シャッターチャンスは別にして、カメラがかなりの部分でカバーできるようになっています。ピント合わせにしてもオートフォーカス(AF)化が進展して、その性能はすばらしく視線入力ができるカメラもあります。これに対して露出測定も新製品が発売される度に、精度がアップされていますが、まだカメラ任せにできない部分がかなり残っています。特にネガカラーフィルムからリバーサルカラーフィルムに切り替えた人達の間で「改めて露出の難しさを知らされた」と、語る方が多くいます。
ネガの場合はラチチュード(露出許容量)が広く、加えて焼き付けの段階で、ある程度、補正されますので、さほど露出に神経を遣わなくてもきれいな画像が得られます。これに対してリバーサルは撮影内容がダイレクトに現れ、しかもラチチュードが狭いために、ネガで慣れていた人には露出の失敗が目立ちます。
「露出の失敗」といった場合、撮影目的とした被写体の露出が適正でなかったことを指すのがほとんどでしょう。この失敗を防ぐためにカメラは露出に対して様々な機構を備えています。
露出の決定に役立つ測光モード
一般的なAF一眼レフの露出決定には測光モードとして、多分割測光、中央重点測光、スポット測光があります。これに絞り優先、シャッター優先があって、さらに各メーカーが独自で「このシーンの光の具合ではこのモードを使用すれば適切である」と判断予想をしたプログラムモードがあります。加えてカメラマンが自分で判断するマニュアルモードもあります。
下の2枚の写真はほぼ同じ露光量のはずです。バックのあしらいをどうするかを決めてシャッター優先か、絞り優先かを判断します。ボカしたいのであれば、絞り優先で開放に近い(数字の少ない)f値で、シャッタースピードはカメラ任せになります。
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シャッター優先1/30秒、オートで撮影 | 絞り優先f4、オートで撮影 |
プログラムモードを除いたこれらのモードを組合せて、被写体の状況合わせて、あるいは「このように撮りたい」と思う目的の適正露出を確保します。また情景をより強く訴えるために、時としてこの適正露出を無視して撮影する人もいます。
このように記しますと「撮影とは難しいものだ」と思われるかもしれませんが、最近の一眼レフはオートモード(プログラムモード)で撮影していても、素晴らしい写真が得られるようになっていますので、被写体にカメラを向けてシャッターを押せば、適正な露出できれいな写真が得られますからご安心ください。
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バックを白でスポット撮影 | バックを黒でスポット撮影 |
上の2枚の写真は同じ条件で、ただ単にバックを変えただけにすぎませんが、花の色を比べて見てください。随分と違うことがお分かりでしょう。同じスポット測光であってもこのように変化します。これを同じ色調で撮るにはそれなりの経験が必要になります。写真の面白さはこんなところにもあります。
さらにステップアップして、自分ならば「このように撮影してみたい」「ここを特に強調してみたい」といった場合、今まで述べてきた露出モードを駆使してより高度な写真が得られるということになります。
次回は【露出のマスターその2 適正露出とは】を予定しています。
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