【露出のマスターその2 適正露出とは】
被写体の条件で変化するカメラの適性露出
この露出については一眼レフカメラを対象にして述べています。
適正露出をひと口でいいますと「被写体の白は白く、黒は黒くフィルムに的確に表現できること」になります。しかし、この適正露出の判断基準にあいまいなところがあります。「この写真はアンダー気味のためによけいな部分がつぶれてメインの被写体が活きている」とか、「露出オーバーでハイキー調がおもしろい」といった表現がよく出てきます。こうなりますと、アンダー、オーバーでもその写真に限っては適正露光になってくることになります。そこで、このコーナーでの適正露光とは「肉眼に近い写真表現を指す」ことを重点に話を進めていきます。
被写体に応じて適正な露出を計算してくれるカメラがあれば、問題はないのですが、これがなかなかできないのです。被写体の条件、例えば、人物の後ろから太陽が当っている逆光や一画面の中で輝度差が大きい時には、単純な表現ですが、カメラの露出測光機能が何を基準にして測定すればよいのか迷ってしまいます。こうした場合、結局、カメラマン自身が被写体に合わせて決定することになります。
その被写体の場面ごとに、この明るさであれば、例えば絞りf8、シャッタースピード1/60といったように肉眼で見た状況で露出決定をできるのが基本です。それが簡単に分かれば苦労はないわけですが、最近のカメラの測光機構は飛躍的に向上していますから、これをフルに活かして適正な露出を得られるようにすれば問題は解決です。しかし、その測定機構にもそれぞれに長所と短所がありますから、それを見極めることが大事です。
下の写真はスポット測光でのデータを基に撮影したものです。
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帽子の測光値(1/10秒 f4)で撮影 | タンスの測光値(1/60秒f4.5)で撮影 | 陽の当たっている測光値(1/125秒f9.5)で撮影 |
測光機構の長所と短所を見極める
オートフォーカス一眼レフや高級なコンパクトカメラには、多分割測光、中央重点測光、スポット測光そしてプログラム測光があります。これらを駆使して適正な露出が得られるようにします。状況によって変化しますので、以下に記してある内容が全て適合するとは限りませんが、ほぼ適正な露光が得られるはずです。
多分割測光=画面をいくつかに分割し、それぞれの光の具合を測光して適正な露出を決定してくれます。この多分割測光は優れもので極端な輝度差がない限り、ほぼ適正な露出が得られます。カメラメーカー各社は特に力点を置いて開発してきた測光方法です。しかし、極端な輝度差のあるシーンでは機構そのものがすべてをきれいに撮ろうとするために、撮影者の思惑と違った色合いになることがあります。これは多分割測光の宿命といえるかもしれません。とはいえ、メーカーは様々なシーンを前提にして開発していますので、どの測光方式で撮影するか、迷ったらこの多分割は有効に働いてくれます。特にネガカラーフィルムならほぼ間違いなく、適正な露出が得られます。
中央重点測光=その名の通り中央を重点的に測光します。被写体が中央にあるポートレートなどで威力を発揮してくれます。周辺が多少明るかったり、暗かったりしても被写体が中央にあれば、その被写体に対しては適正な露出が得られます。
スポット測光=これも使い方によっては非常に便利な測光方式で、局部的な露光量を測定してくれます。使い方としてはある部分を測定して、そのままシャッターを切ると周辺が真っ暗になったり、白く飛んでしまうケースがしばしば生じます。このため、よく露出計がわりに使用されています。暗い部分と明るい部分を測定して、目的の被写体が生きてくるように露光量を決めると、被写体に対して適正な露光が得られることになります。
より正確に測るために、被写体の一部分を望遠レンズで測光している人も多く見られます。
プログラム測光=メーカーがシーンを想定して、レンズを通して入ってきた光と分散の状況がプログラムされており、その指示どおりに設定される測光方式です。多分割測光と同様に、ほぼ的確な露光量で失敗の少ない測光方式といえます。
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