低照度や室内以外でもストロボを使えば写真がイキイキ
撮影で光が不足した時、ストロボを使用するのは常識化されていますが、最近ではこうした低照度や室内に使うだけでなく、日中でも使用するケースが多くなりました。
そこでストロボの役割は何かを改めて記してみます。
1.撮影で光量が不足した時
2.カラーをきれいに出したい時(例えば、蛍光灯の下でポートレート撮影すると顔に青みがかかるのを防ぐ)
3.明暗差が大きい時に光をコントロールする
4.早い動きを制止させる時(スポーツだけでなく、草花の揺れをストップさせる=手振れ防止にも)
5.キャッチライト(瞳の中に光源の反射を点像にして入れること=人物や動物撮影ではこれを入れるとイキイキしてくる)を入れたい時…などが挙げられます。
これらはストロボ内蔵カメラやカメラメーカー専用自動調光ストロボならば、プログラムモードでほとんど計算の必要なしできれいな写真が撮れるようになっています。しかし、それが自分の思い通りの光になっているかと言うと、必ずしもそうではないケースがしばしば生じることがあります。
その多くの例が逆光と夜景をバックにした人物撮影でしょう。
日中シンクロ(逆光の時に有効) 逆光や窓際の人物を撮影する時、オート撮影してもバックと人物の明暗差が大きく、どちらかが適正露出にはなりません。飛んでしまったり、シャドウ部がつぶれたりします。このような時はバックに露出を合わせながら、目的の人物にストロボ光を当て、バックも人物も適正露出にします。
この日中シンクロのマニュアル撮影では(1)シャッタースピードをストロボ同調スピードにセットする(レンズシャッターカメラはシャッタースピードの同調を考える必要はありません)(2)バックの絞りの適正露出をセットする(3)ストロボのガイドナンバーと絞りから被写体との距離を計算する……の方法で撮影しなければなりません。ちょっと面倒ですが、例えばバックを若干、オーバー気味にした方が自然さが出てくるといった場合、バックの絞りを自分なりに調節して、カメラまかせの日中シンクロモードよりも撮影意図が明確に出せる強みがあります。
スローシンクロ(バックが夜景の時に有効) 夜景を入れた人物を撮影したい時、通常のストロボ撮影では、光の当たった部分だけが適正露出で、バックが真っ黒になってしまいます。(写真上)これを解消するには、シャッター速度を1/30〜1/8秒のスローにしてストロボ撮影するとバックまで写り込んできます。(写真下)1/30〜1/8秒ならば、手持ちでも手振れはほとんど気にならない写真が得られます。これ以上遅い時は、三脚を用意して下さい。
スローシンクロでは被写体よりバックが明る過ぎると、不自然なイメージになることが多くあります。 自分の思い通りの撮影をしたい時には、ガイドナンバー(GN)によるF値の計算方式(ISO感度100の時)を覚えておくと、確実性の高い撮影が可能性になります。
GN÷撮影距離(m)=F値 GN÷F値=撮影距離(m)
多くのストロボ内蔵カメラではGNが12以下ですが、12として計算するとF4では3m、F8では1.5mまでしか光は届きません。オートで撮影しているのだから「適正露出のハズ」なのにアンダー写真が多いのは「光の届く範囲だけがオートであって、その範囲を以外は側光不能である」ことを忘れているためです。
なお、ISO感度400のフィルムを使用するときはガイドナンバーはその倍で計算します。 一般的なコンパクトカメラではストロボ光のコントロールはでき難い面もありますが、一眼レフを使用している人はGN、撮影距離、F値をマスターしてイキイキした、思い通りの写真を撮っていただきたい。是非、挑戦してみて下さい。
写真提供=板倉 有士郎
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