撮影教室


雪景色は露出オーバーの撮影がポイント


明るいスキー場でまぶしい景色の時に
 雪景色といっても、光線が異なるとその撮影方法も大きく異なってきます。朝夕の斜光、順光、逆光とさまざまです。スキーへ行っての撮影もあるでしょう。今回は広々としたゲレンデでの撮影にポイントをおいてみます。

 まず第1に挙げられるのが露出補正です。通常のカメラを光物や真っ白い雪に向けると、反射した光で露出測定に狂いが生じ、見た通りには写ってくれません。いつもなら、カメラを向けてシャッターを押すだけで、ほとんど問題なく撮れますが、雪で真っ白なゲレンデ、太陽がサンサンとしている雪渓では、露出不足になって暗い画面になってしまいます。このために露出補正を行います。光の状態でこの補正値も大きく異なりますので、「晴れていて雪景色がまぶしい状態の時」の条件を想定して話を進めます。

 こうしたことから、露出補正のできるカメラが対象になります。コンパクトカメラでも補正できるカメラがありますので、説明書をよく呼んでください。

 真っ白い雪景色では、そのまま撮ると、灰色のくすんだ色になってしまいます。それを補正するには、景色にカメラを向けると、カメラは瞬時に適正露光を計算してくれます。明るい雪景色ではその適正露光よりもプラス側で撮影します。ファインダー内で示している適正露光値よりもオーバー側にします。例えば絞りがF16 、シャッタースピードが 1/250秒をさしていたら、F11 にするか、1/125 秒にします。これをプラス補正といいます。この両方を補正してしまうと2絞りオーバーになってしまいますので、どちらかにして1り補正ぐらいがいいでしょう。

 また、カメラによって補正ダイヤルのある位置や設定方法が異なりますが、もっと細かく 1/3絞り 1/2絞り単位で調節できる機構を持っているケースもあります。+1、+2、-1、-2と書かれたマークがあって、ダイヤル式ならば0の位置から+1へ回転させます。それで1絞りオーバーに撮影ができます。この露出補正機構を使えば F絞り値やシャッタースピードを変更することなく、スピーディにオーバー目に撮影できます。このように露出オーバーに撮影すると、雪が白く撮れます。景色の明るさによって+1/2、+1絞りにするか、あるいはもっとオーバーにするかを決定していきます。

 数人の記念写真や人物スナップ撮影でも、周囲が明るいと顔が真っ黒になってしまいますので、+1か+1/2オーバーにするとよいでしょう。

シャッタースピードをコントロールして傑作も
 また、ゲレンデを滑降したり、ジャンプしたりの撮影では、ISO 400 のフィルムを使用て高速シャッターを駆使したいですね。右側の写真は1/2000秒で撮影しています。人物がピタリと止まっている写真が撮れます。こうした時の被写体は、カメラマンが座ったりて低い位置からの方が迫力ある写真が得られやすいものです。

 逆にスローシャッターでの流し撮りもありますが、バックが白いと流れているようには見えず、その効果は半減してしまうこともあります。木々をバックにするなど、被写体の背景に注意をはらってください。撮影モードはシャッター優先で撮影します。

 楽しく明るいスキーの写真が暗くなってはつまりません。是非、露出をコントロールして傑作を撮ってください。

寒冷地での注意事項
 スキー場などの寒冷地で、写真撮影する場合、電池が正常に作動しなくなることがあります。最近のカメラは、露出からシャッター制御まで電池がなければ作動しませんので、電池の機能が失われては撮影が不可能になります。目安として0℃になるとアルカリマンガン電池では急速に電圧が落ちてしまいます。また、作動しても常温の時と比較して、電池の消耗も激しくなり、長持ちしませんので注意してください。さらにマイナス10℃以下になりますと、電池だけでなくカメラのギア部分に使用しているオイルが凍結して作動しなくなることもあります。マイナス10℃以下の寒冷地では、撮影できない条件が生じると思ってください。

 低温対策としては、カメラ、バッテリーを温めながら使用してください。 スキー場などではスキーウエアなど防寒着の下にカメラを入れておけば、体温で温められだいたいは作動します。マイナス10℃前後では、体に近い防寒着のポケットなどに電池を入れておき、撮影直前に電池をセットする方法が無難です。 外部電源でパワーパック、アダプターを使用すると、電源部だけを温めておくことになりますが、それでもカメラを冷気にあてたままの状態ではよくありません。また、電池がなくてもシャッターが切れるメカニカルシャッターを使用したカメラの場合、露出を計るLED や発光部分が作動しなくなりますが、マイナス10℃程度ならば、撮影が可能です。但し、マニュアル操作になりますので、自分で撮影条件を設定して適正露出を判断しなければなりません。この場合もカメラを長時間、寒冷にさらすとトラブルの要因になります。

注意点のまとめ
1.寒冷地では電池の消耗が激しいことから、予備の電池は必ず持参してください。
2.カメラに電池を入れっぱなしにしないこと。
3.マイナス5℃以下の寒冷状態ではカメラを2時間以上使用しないこと。長時間、寒冷にさらすと、作動しなくなる部分が生じる可能性があります。
4.コンパクトカメラは0℃以下になりますと、作動しなくなる可能性が高くなりますので、胸からブラ下げ外気にあてたまま、スキーをすることは避けたほうが無難です。これは冷気に多少強い一眼レフにもいえます。
5.カイロを使用して保温する方もありますが、電池は熱しすぎると不測の事故につながりかねませんので、あまりお勧めはできません。
6.寒いところから急に暖かい部屋に入ると、カメラ内部、フィルムに露が付着して思わぬアクシデントが起きます。特に外から帰ってきてストーブの側に置かないようにしてください。

 寒冷地での注意事項に気を付けて、すばらしい思い出を写真に残してください。