初夏の新緑をイメージ通りに撮ろう
調和、光、露出の3点がポイント
見た目にはきれいだったのにいざッ写真にしてみると、何の変哲もないつまらない写真になってしまった、そんな例を多く感じさせるのが風景写真です。ところがプロカメラマンの写真はそれなりに見せる風景写真を撮ります。プロもアマチュアカメラマンも、自然の大きなスタジオで同じ条件で撮影しているのにこの差が生じるのは、いろいろな要因が挙げられますが、もっとも大きな違いは「調和」を考えているどうかにかかっているようです。
風景写真の中で魅力的な存在として『新緑の撮影』があります。冬から覚めて木々の若い芽が淡く透けているように見えたり、これから濃い緑に変化していくエネルギーのようなものも感じます。また紅葉と違って、有名な場所でなくても近隣の公園、家族と出掛けたちょっと林でもどこでも撮れます。
邪魔な物体をファインダーに入れない
新緑の世界を撮るための「調和」を少し考えてみましょう。新緑は自然のみずみずしさを撮るのが大きなポイントになります。まずこの「みずみずしさ」を妨げる物体を画面の中に入れないことでしょう。
例えば、電柱や電線、ガードレールなどです。カメラ雑誌などでプロの撮影した自然をテーマにした風景写真を見て下さい。徹底して電柱や電線は入っていません。人工的な被写体が入っている場合は、古いお寺、茅葺(かやぶき)の家など、また人物も新緑を物語るのにふさわしい農作業をしている姿を点景に入れる程度です。新緑に「調和」しそうな対象物を考えています。こうした調和を考えて撮るだけで、新緑のイメージに近い写真が得られるようになります。
斜光での撮影が傑作を生む
第2としては、光を上手に使うことです。自然の中での写真の光には、順光・斜光・逆光、強い光・弱い光などがあります(ちなみに、スタジオに入ると硬い光・柔らかい光、暖かい光・冷たい光がよく使われます)。「風景は斜光で撮る」が基本とされていますが、これは「風景写真は斜光にシャッターチャンスあり」ともいえるでしょう。新緑を撮る場合も同じです。
「斜光」といえば、朝夕の光線になります。斜めから射す光は被写体を立体的に見せてくれますし、輪郭を明確にしてくれます。また、撮影のバリエーションも拡げてくれます。具体的にはバックを暗くしたい場合、斜光ならば簡単にできますが、太陽がカメラマンの真上からの新緑の景色を照らしている場合ですと、そうしたテクニックを使うことが難しくなり、立体感の乏しい写真になりがちです。その点、斜光ならば、場所を選ぶことによって太陽を背にした順光や逆光撮影も容易にできます。
明るい部分の露出に気をつけよう
第3としては「露出」が挙げられます。特にファインダーの中で、明るい部分がスポットで、周囲が暗い場合は露出補正をしないと思った通りの写真はほとんど得られないと考えてよいでしょう。
例えば森や林に入って、木の葉の間からもれてさす日の光、木漏れ日は被写体としてよく使われますが、露出補正をしない限り、日の当たっている部分が飛んでしまいます。周囲が暗いとカメラはその暗さを優先して露出を判断しますから、明るい部分は白ッぽくなってしまいます。カメラを向けて仮にf5.6、1/60 のデータならば、f8にするか1/125 にしますが、場合によってはさらにアンダー(マイナス補正)にして撮影します。スポット測光ができるカメラならば、明るい部分に露出を合わせて撮ります。
以上の3点を頭に入れて撮影すれば、イメージにかなり近い写真が得られるはずです。初夏の木々の緑をあなたのイメージで「モノ」にして下さい。
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