撮影教室


露出のプラス補正で撮影する雪景色

  風景写真を撮る場合、天候が気になりますが、特に雪景色は見慣れた場所を素晴らしい被写体に変えてくれます。太平洋側の雪の少ない地方では、見逃すことのできないシャッターチャンスです。雪が降っている最中景色の奥にあるうるさい邪魔物を消してくれることも多く、意外と撮りたい被写体が主役として引き出されるがあります。逆に降雪後の晴天では、空気が澄んでいて遠くの景色まで見渡せます。このように雪景色は撮影の露出領域が非常に広いことで、プロの間でも露出決定が意外と難しいといわれています。雪景色はカメラのオート露出のままでは見た目と大きく異なる場合がしばしば起こります。

雪を白く撮りたい

  もっとも多いのが「白い雪を撮ったのに白くなかった」でしょう。「なぜ雪が白く写らないのか」というと、カメラの露出計が雪(白)に過剰反応するためです。白が全面的にある被写体では、露出がアンダーになります。こうした時には露出補正を行ないます。露出オートよりも1絞りか1.5絞りプラス側に補正します。マニュアルカメラでは雪景色にカメラを向けて、カメラが判断した適正な露出値が、仮に絞りがf8シャッタースピードが1/250 秒の場合、1絞り開けます。つまりf5.6にします。これで1絞りプラスしたことになり、露出計の針は適性よりもプラス側になります。

  オートの一眼レフではだいたい補正ダイアルがありますので、それをプラス側に調節します。一般的なコンパクトカメラにはこの機能がついているものもありますが、ほとんどついていないと考えたほうが無難でしょう。参考までに黒い被写体は反射率が少ないので、露出をアンダーにして撮影します。
露出をプラス調節して画面全体が真っ白では、ただの露出オーバーな写真になりかねませんので、雪景色ではシャドー部分をアクセントに使うことがポイントです。

山の高さを強調したい

 また、真っ白な山の景色は雄大で、写欲にそそられますが、その雄大さが撮れずにガッカリした経験を持った方も多いことでしょう。そうしたケースはだいたい雄大さに引かれて、広角系のレンズで撮影していたのではないでしょうか。その結果、山が低くなったしまったと考えられます。50〜100mm で撮影すると山の高さもある程度強調され、広角よりも迫力が出る可能性が高くなります。一度、試してみて下さい。

スキー場での人物撮影

  スキー場での人物、記念撮影は意外と難しいのです。周囲が白ですから逆光ぎみになりがちで、このため顔が黒くなることがしばしば生じます。解消策として、プラス補正するか、顔に露出を合わせ、背景の雪景色を多少犠牲にするぐらいの気持ちで撮影すると良いでしょう。極端な逆光は避けて撮影することをお勧めします。

  雪景色はプロでも失敗することがよくあります。プラス補正を頭に入れて撮ることをポイントに楽しく、傑作な写真を手中に納めて下さい。

写真提供 板倉有士郎

写真説明
上:雪が降っている時には特に露出に注意
下:いつもの道も雰囲気が違います。