日常風景ウォッチング
面白いコトをやっていた人たちとの出会いが、
「路上観察学会」へと発展してしまったんです。

 路上観察の楽しみといえば、やはり私も南さんと同じように、自分が見つけた面白い物件の写真を人に見てもらい、あれこれ言い合うといったことですねぇ。いい物件を見つけたら、コレクター的な意識としては、自分のモノとして囲っておきたいという気持ちもあるんだけど、一方で人に自慢したいという一面もある。だから「人に見てもらいたい」という気持ちは、我々「路上観察学会」のメンバーたちは皆もっていますよね。自分のコレクションだけで終わらせてはつまらないと思うんですよ。


『恐怖のドブ板』以前にフィクションで“丸ノコを敷きつめた床”なんてものを考えて、小説に書いたことがあったけど、実際にあってビックリ! 香川県の牟礼町にて。


『新旧』新世代と旧世代の消火器。若い方があどけない顔を傾けて自信なさそうだけど、旧世代の方は姿勢も正しく毅然として、やっぱり根性が違う。埼玉県の川越にて。

『愛の三輪車』物でもふたつ並ぶと、その間に愛があるような雰囲気が生まれる。かわいらしい愛の三輪車。主婦の真似して世間話してるようにも見える。埼玉県の川越にて。

「路上観察学会」が作られた経緯を話すとちょっと長くなるんですが、藤森さんの「東京建築探偵団」にしろ林さんのマンホールにしろ、それぞれ面白いコトをやっているヒトがいるなぁって感じで、面識はないけど以前から知ってはいたんですよ。そんな折、林さんの著書に書評を書く依頼を受けたんですが、それが縁で、林さんがヨーロッパで撮ってきたマンホールのふたを発表するスライド上映会に行く機会にも恵まれたんです。そこへ藤森さんたちも来るというので喜んで行ったんですが、会っていろいろ話してみると、どうも林さんの本の書評は最初、藤森さんのところに依頼がいったようなんです。藤森さんはその頃まだ、真面目な学者さんだったんで(笑)、こういうものに興味はあっても立場上引き受けられなかったんでしょう。それでトマソンなんかをやっているアイツにやらせたらどうだってんで、僕のところに話が来たらしいんです。