●風景写真でもプロの先生の作品には、当然のことながらオリジナリティがあります。他のどの写真家が撮った作品でもなく、その先生独自の風景写真、見てすぐにそれとわかるオリジナリティがあるわけですが、アマチュアの場合ですと、自分の写真にオリジナリティを出す方法がわからない方が多いと思うのです。
竹内先生の風景写真には特にオリジナリティが強くうかがえるわけですが、竹内先生ご自身は先生の作品のオリジナリティをどのような点に求めておられるのですか。
私の風景写真のオリジナリティは、まず技術的な問題で言うと、基本が35mmの機動力を活かした風景写真を撮っているということです。それはいい場所があって、それを写真に写しとるという風景写真ではなく、その時その時の自分の気持ち、あるいは自分の生き方を風景写真を通して表現しているんです。ですから、自分の生き方に応じた風景に出会ったときに、はじめて作品が成立する。自分個人の感情や生き方が風景と接したときに、どういう表現が成立してくるのかということを追求している、それが私の風景写真なんです。
以前は風景写真というのは大型カメラを使って撮られていました。しかし私のように、自分の生き方を自然の風景を通して表現する、つまり自然観を表現するということになると、サイズの問題ではなくなってしまう。特に日本人の自然感には、長い歴史を通じて、自分の生き方や感情を素材にたくして表現し続けてきた伝統があるんです。
たとえば俳句でも、自分の感情を風景にたくしてうたっている。そうした日本の伝統的な表現方法を写真で引き継いでいくには、機動力があり、レンズワークが多彩に使えて、自分の気持ちの動きに応じて風景を切り取っていける35mmの方が有利なんです。
しかし35mmだけに捕らわれていたのでは写真表現の幅が狭くなる。ですから中判の6×7や大判の4×5まで使います。それぞれのカメラの機能に応じた表現が当然あるので、それに応じて自分の表現の幅を広げているんです。
私の写真のオリジナリティで重要な点は、もう一つ、テーマ性があります。私は単に風景がきれいだから撮っているわけではありません。
日本の風景というものは、すべて日本人の原風景なんです。日本人が日本列島の中に住んで、日本の風景をどのような気持ちで眺めてきたか、あるいはどういう形で表してきたか、どういうふうに組み替えてきたか。それを写真を通して見届けたい。私はその日本人の原風景を追求するために写真を撮っているんです。
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