●最近風景写真を撮る方たちのマナーが悪くなっているのではないか、という声も聞かれますが、先生はこの点についてどう思っておられますか。
風景写真を撮る方は、自分の楽しみだけで撮っていると思ってはいけません。撮らさせていただいているんだという有り難さを感じてほしい。
日本に住んでいる私たちは細やかな樹林に囲まれて、四季の変化が顕著で、それぞれの美を眺めることができます。こんな民族は世界中にいません。日本だけなんです。そういう意味では、日本人は世界的に貴重な財産を預かっているんです。そのことに対する自覚が日本人には少なすぎると思います。
そうした日本に住んで、その紅葉を撮らさせていただくという有り難さを感じていれば、自ずとマナーもよくなってくるはずです。
写真表現というのは素材の力を借りているわけですから、素材あっての自分の写真なんです。ですから素材から学ぶことが多い。それなのに素材を傷つけてくる行為などは言語道断です。そうした姿勢では素材から学ぶこともできないでしょうし、自分自身の写真活動を蝕んでいっているのと同じです。そういう方は風景写真の一番大事なことがわかっていないんです。
撮らさせていただいてる有り難さを理解することが、風景写真の第一歩なんです。風景写真を撮っているからこそ、自然に親しんで素晴らしい風景が見られるのであって、それが作品として残り、人々にも伝えられる。この有り難さを理解して、自然に対して謙虚になってほしいですね。
●最後に竹内先生からカメラのキタムラに、あるいはキタムラのフォトコンに対して何かコメントをいただければ幸いです。
カメラのキタムラは購入しやすい値段で全国展開をしていて、社会的に意味がある企業だと思います。また写真コンテストをやりながら、写真を撮ることの意味、面白さ、価値などを消費者に伝え続けている、そうした姿勢が評価できると思います。
地域の人たちの生き方や文化性に密接に結びついているのが写真業界ですから、そうしたコンテストなどの活動から、その時代の文化が生み出されていくんです。
そうした環境としてはより安く、より多くの機材が揃えられる方がいいわけですから、その部分でのカメラのキタムラの貢献度は大きいと思います。今まで量販店というと東京や大阪といった大都市部でしかなかったんですが、キタムラはきめ細かく全国展開をしていますから、全国規模で消費者のニーズに応えていますね。
写真コンテストも持続して作品が記録され、残っていくものを生み出していくといいと思います。歴史の中で積み重ねられていったものには大きな価値が出てくるものです。
|