ただの写真展では面白くない。 ちょっとした工夫で楽しくなるんです。
そのときにパリはいいところだな、と思いました。ネクタイをしめずに仕事ができるような雰囲気がありました。ワインも飲めるし(笑)。それで会社を辞めてから、パリに行ったんです。
当時のパリは、ちょうど日本人のファッション・デザイナーの三宅一生さんや山本寛斉さんの名前が出始めた頃。日本の新進デザイナーがパリコレをされていて、そうしたファッション写真を撮っていました。パパラッチもやりましたよ。吉永小百合さんが新婚旅行に来るという連絡を受けたので、空港で待っていました。それから、ずっと後を追っかけたんです(笑)。 ●パリから帰ってこられた後、東京に事務所をかまえられたのですね? そうです。その当時は広告写真がほとんどで、時間を作っては自分の作品を写していました。 ●それで「凝視」という写真展を開き始めるわけですね。先生はその後、毎年この「凝視」という写真展を開き続けておられますが、そもそも写真展を開き始めたきっかけといいますと、どのような理由からなのですか? 写真展を開いた理由は、自分の名前を何とかみんなに知ってもらいたかったのと、自己主張もしたかったのです。そのためには写真展が一番いいと考えました。テーマも自分の自由になりますし、レイアウトも好きなようにできますし。最初の頃は借金をしてでも写真展を開いていました。 今でも写真展を続けているのは、ちょうどファッション・デザイナーが毎年コレクションを開くように、今年の私はこういう写真でいきますよ、という発表をしていきたいからなんです。発表していない作品がたくさんありますので、機会があったら、いつでも写真展を開きたいですね。