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〈アメリカ:ペンシルべニア〉
※東芝テックのカレンダーに使用 |
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起伏と変化に富んだ自然景観、
それが日本の風景の特徴です。
そんなシュミッド氏に、日本とヨーロッパの自然景観の違いについてたずねてみました。
「日本の風景の特徴は、小さな集落や村があって、田んぼや畑があり、すぐ近くに山や川がある。それらが一つの絵の中に収まってしまうことではないでしょうか。ヨーロッパと比べると、起伏に富んだ景観なのです。ヨーロッパはもっと平坦ですね」。
こうした起伏と四季の変化が、日本の表情豊かな自然を育んできたのでしょう。また、シュミッド氏から日本とヨーロッパの写真の違いについて、興味深い指摘を受けました。
「ヨーロッパでは風景をモチーフにした写真集が少ないのですが、これは単に自然環境の違いというだけでなく、文化の違いではないかと思うのです。ヨーロッパでは古くから人物をモチーフとした絵が描かれてきました。日本のように、風景画が描かれはじめたのは比較的最近のことなのです」。 日本人の風景を愛する感情は、遠い昔から受け継がれてきたものかも知れません。
好きなものを撮り、気に入らないものを捨てる。それが自分のスタイルの近道です。
そんな世界中に被写体を求めているシュミッド氏に、日本のアマチュアカメラマンに向けて、アドバイスをいただきました。
「写真を撮るうえで大事なことは発見とひらめきだと思います。街の中にあるゴミや建物の壁など、あらゆるものが、見方を変えて写真として切り取れば、新しい世界の発見につながっていきます。
形式にこだわらずに自由に、自分が好きなものを撮ってほしいですね。その後で本当に自分が好きなもの、気に入ったものだけを残し、それ以外は思いきって捨ててしまう。そうすることが、自分のスタイルを築きあげていく近道だと思うのです。
また、最初は模倣からはじめてもいいと思いますが、いくら模倣しても模倣しきれない違いがあると思います。その違いこそがひとり一人の個性だと思うのです。その違う部分を大切にしてほしいと思います」。
偶然、ひらめき、発見。撮りたいものを撮り、捨てることで自分を見つけていく。それこそがベルンハルドM.シュミッド氏がめざす『写真道』のようです。 |