種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.05.20【Vol.012】
古いカメラの話や、インスタント写真の話を行った流れで、今回は写真用フィルムの話をしてみます。
一口にフィルムと呼んでいてもそれにはいろいろな種類のフィルムがあって、映画用の35mm、16mm、8mmフィルムもあれば、写真用の35mmフィルム、シートフィルム、ロールフィルムといったものが存在します。そしてそれぞれにカラーやモノクロといった種類分け、ネガフィルム、ポジフィルムといった区分けがあります。
一番皆さんに馴染みがあるフィルムとして考えられるのが、使い捨てカメラ(レンズ付きフィルム)で使われている写真用の35mmカラーネガフィルムでしょう。写真が写っている小さなコマがいくつか連続した細長いフィルムです。コマの上下部分、平行に無数の孔(パーフォレーション)が空いているのも特徴です。もっとも、このフィルムを使用するカメラが一般に普及したために写真を趣味にしない人にも広く知られることとなったわけですが、もともとは映画用の35mmフィルムをカメラに転用したのが始まりです。最初は24枚撮りや36枚撮りといった考えではなく、大体1m50センチぐらいの長さに適当に切ってカメラに収めていました。すでに存在していたフィルムにカメラを合わして開発され、その後カメラの進化とともにフィルムも進歩していったわけです。
フィルムの進歩といえばもっとも大きなものにカラーフィルムの開発、そして難燃性能が挙げられます。今では当たり前のカラーフィルムですが、製品として発売されたのは1935年発売のコダクローム(1935~2009)です。どのようにしてカラー画像が得られるかの研究自体は、もっと以前から行っており、すでにカラーとしてプリントを仕上げる技術はありました。ただ、カラーフィルムとして一般に手に入るようになったのはまだ80年にも満たない歴史の浅いものなのです。
次にフィルムの安全性ですが、先に述べたようにフィルムの難燃性は製品の取り扱い上必須でした。もともとフィルムの支持体はセルロイドを使用しており、大変燃えやすいものでした。昭和30年代では普通に燃えやすいフィルムが販売されており、条件が悪ければ、発火、爆発事故もあったようです。現在ではフィルムのベースがトリアセテート(三酢酸セルロース)等に変わり燃えにくくなっています。
そんな写真用フィルムですが、カメラと同様デジタル化によって使用、生産量ともに激減しています。ただ、特殊なものを除いても40数種類のフィルムが現在入手できます。フィルム主流の時代にはならないかもしれませんが、ただ一ついえるのはさらにフィルム使用量が減り続ければ、今よりもっとフィルムで撮影するのが困難になってくるのではないでしょうか。