種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.05.25【Vol.065】
今回はTTL測光方式の露出計を備えた一眼レフカメラとしては世界で2番目のペンタックスSP(スポットマチック)をご紹介します。電池を使用したカメラも果たしてクラシックカメラの仲間に入るのだろうかといささか不安ではあるのですが、はっきりとした定義もなく、すでに発表から約50年近く経っているので、ここではその仲間ということにしておきます。
ペンタックスSPは1964年の発売です。現ペンタックスリコーイメージング株式会社の前身、旭光学工業株式会社が発売したTTL測光方式の露出計を内蔵した一眼レフカメラです。旭光学は1954年には世界初のクイックリターンミラー搭載の市販型一眼レフであるアサヒフレックスⅡを発売したりと、早くから一眼レフの分野に進出していた大手カメラメーカーです。
最大の特徴である露出計は絞込み測光といわれる測光方式ですので、露出計のスイッチを入れるとレンズでセットした絞り数値まで絞りが絞られてしまい、場合によってはファインダーが暗すぎてほとんど被写体が見えないなんてことになります。
今ではAEが当然ですので、比較的光の変化があるシーンでもタイムリーにカメラの露出計は答えてくれますが、SPのような絞込み測光だと操作が煩雑になりすぎて、そのようなシーンではなかなかうまく露出を得られなかったのではないかと考えてしまいます。
その他の操作部分はB.1~1/1000までのシャッター、セルフタイマーに限られていて大変シンプルです。それとレンズさえあれば写真を撮影するには必要十分な機能なわけです。そして何よりもレンズマウントにプラクチカマウント(M42とも呼ばれます)を採用しているので、ペンタックス純正の交換レンズもさることながら、世界のたくさんの種類のレンズが今なお使用できることが大きな魅力です。カメラ本体の生産台数も非常に多くまたその後のバリエーションも豊富で、ペンタックスのロングセラーカメラシリーズへと発展していきます。
そんなペンタックスSPですが、機械式横走りフォーカルプレーンシャッターのシンプルな構造のおかげか、50年近く経った今でも機械的な動きが比較的しっかりしたものが多いようです。