種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.06.08【Vol.067】
カメラを見ているとISO100とかISO800、もしくはISO AUTOといったような表示を見かけたことはないでしょうか。写真を撮影する上で必ず出てくる「露出」の要素にシャッタースピード、絞りが挙げられますがもうひとつ、このISO感度といわれるものも重要な要素として出てきます。ISO感度とは「ISO」(国際標準化機構)が策定したフィルムの感光度(光の感じやすさ)の指標のことで、数値が低くなれば低感度、高くなれば高感度という呼び方をします。低感度、高感度という目安は時代によって変化していきますが、デジタルの時代になり、概ねISO100を基準にしたカメラがその殆どとなりそれ以下を低感度と呼び、ISO800~を高感度と呼ぶことが一般的になっています。
フィルムカメラの場合はフィルムそのものを変更するか、もしくは現像の段階で感度を調整する必要があり、いずれにしてもフィルム1本分すべてを同一の感度で撮影することが基本でした。デジタルカメラの場合ですと、撮影一枚ごとにISO感度を変更できるので、暗い室内の次は明るい屋外といったように撮影環境の明るさがそのつど変化する場合でも、露出を柔軟にコントロールすることができます。デジタルカメラの大きなメリットのひとつと考えて良いでしょう。
ISO100~ISO12800とデジタルカメラの説明書やパンフレットに書かれているものが「常用ISO感度」とよばれ、通常撮影する場合において安定した画質が期待できる目安の感度になります。そのうち一番低い感度がベース感度と呼ばれ、ISO100を基準にしたカメラが多い現状、もっともそのカメラの性能が発揮できる感度としても捉えることができます。
ただ、たとえ常用感度といっても当然ISO6400など高感度側にセットするとノイズが目立ってくるのは事実です。感度が高ければシャッター速度を早くしたり、絞って撮影できるのでいろいろと便利なこともありますが、やはり被写体に応じて適切なISO感度をセレクトできるようになりたいものです。
それと最後に、デジタルカメラでは感度拡張という機能を持つ機種が増えていて、常用ISO感度以外、たとえばISO100などのベース感度以下、もしくは常用最高感度以上に設定することができます。ただ、感度が低くなる=ノイズが減る、ダイナミックレンジの広がりが期待できるというわけでもなく、ベース感度がISO100に設定されているカメラであればその感度がそのカメラで得られる最適な画質になると考えてください。