Google Pixel 4 レビュー|搭載されたデュアルレンズ、進化した写りと機能を探る
はじめに
グーグルから最新のAndroidスマートフォン「Pixel 4」が登場した。前モデル「Pixel 3」はシングルカメラながら高性能な夜間モード「Night Sight」と、ボケ味が美しい「ポートレートモード」、そして劣化が少ないデジタルズーム「超解像ズーム」を搭載して大きな話題となった。そしていよいよデュアルレンズを搭載し「Pixel 4」と進化してスマートフォン・カメラNo.1の座を狙いに来たのだ。
昨年登場した「Pixel 3」には本当に驚かされた。スマートフォンでは今まで撮影することができなかったシーンを「AI」を活用して撮れるようにしてくれたからだ。例えば肉眼ではほぼ真っ暗にしか見えないわずかな照明の室内でも、夜間モード「Night Sight」を使えば、まるでライティングしたかのように明るくクッキリとした写真を撮れた。数秒間端末をホールドしているのに手ブレもしないことも確認した。また背景をぼかせるポートレートモードでは1つのレンズしかないのに、しっかりと被写体を浮かび上がらせて背景をぼかすことができた。
以前掲載したGoogle Pixel3の記事 でこのように解説した。
「さて気になる背面カメラの写りだが「素晴らしい!」のひと言である。ただシャッターを切るだけで、ほとんどのシーンにおいて色彩豊かでメリハリのある美しい写真の撮影が可能だ。
そしてすごいのはシングルカメラなのに背景をぼかすことが可能なのである。一般的には2つのカメラを搭載して、それらの「視差」を利用して深度を測りボケを擬似的に作り出しているのだが、「Pixel 3」は1回のシャッター中に得られた高速かつ連写した写真を、「AI」によって計算し前景と背景に分離、次にデュアルピクセルによる位相差を使ってボケ味を決定し、最終的に写真として仕上げているのだ。そのため、近距離の撮影でも背景をぼかすことができるし、細い被写体が背景に溶け込んでしまうようなことがない。
また撮影後に「フォト」アプリ上でピントの位置を変えることや、ボケの効果を変更することもできるのである。そして一番スゴいのが夜景モード(Night Sight)だ。これも「AI」によって1回のシャッターレリーズ中に得られた複数枚の写真を解析、計算。ノイズ低減やホワイトバランス調整などを施したのちに写真としてアウトプットしてくれるものなのだが、その仕上がりがとても美しく、スマホでかつ手持ちで撮ったとは思えないような写りなのだ。この機能のためだけに「Pixel 3」を手に入れたくなるような素晴らしいものになっている。「超解像ズーム」も同様な技術を用いており、デジタルズームしても画質劣化が最低限に抑えられるのだ。「Pixel 3」はこれからの「Computational Photography」を牽引する目が離せないスマートフォンに仕上がっていると感じた。」
このように、すでに素晴らしい機能を有していたところに、デュアルレンズを搭載して、さらに進化したのが今回登場する「Pixel 4」なのである。その写りを確認していこうではないか。
Google Pixel4スペック
まずはラインナップやスペックを見ていこう。
機種ラインナップ
「Pixel 4」は2つのラインナップがある。
ディスプレイサイズが5.7インチの「Pixel 4」と、6.3インチの「Pixel 4 XL」だ。それぞれ162gと193gとなっているが、カメラ性能に違いはない。
プロセッサはQualcomm Snapdragon 855 2.84 GHz + 1.78 GHz、64 ビット オクタコアだ。RAMは6GBも搭載されており高速で快適な操作を実現しているのが特徴である。
ROMは64GBと128GB(Just Black、Clearly White) の2タイプ。なお限定色のOh So Orangeはさわやかでポップな色合いで目を引くカラーになっている。OSはAndroid 10だ。
前モデルの指紋認証から顔認証に変更されたのも大きなトピックだろう。ロック解除はとても高速でストレスを感じることが少ない。
気になるカメラのスペック
広角カメラ:35mm判換算 26mm相当 F1.7 1,200万画素
望遠カメラ:35mm判換算 44mm相当 F2.4 1,600万画素
端末背面に四角くて黒く縁取られた部分に2つのレンズはマウントされている。同じエリアにはセンサーやライトも埋め込まれている。
・超解像ズーム
今回の「Pixel 4」もとても素晴らしい写りを見せてくれた。シングルレンズカメラでもデジタルズームとは思えない描写を見せてくれたのだが、デュアルレンズカメラ化されてさらにその精細感に磨きがかかったのだ。
秋の夕暮れ時に浅草にあるビルから東京スカイツリー方面を広角カメラで撮ったのがこのカットだ。「Pixel 4」は赤く染まった隅田川沿いの光景を自然に写し出してくれた。タワーの骨格やビルのシャープさ、橋の上を行き交う観光客の様子などがよくわかる
次は2倍にズームしたカット。35mm換算だとほぼ標準域の画角に近い。右手前にあるビルの外壁タイルの解像感に驚かされる。対岸の首都高下に座っている人の姿も確認でき、超解像ズームの威力を思い知ることができた
今度は4倍までズームインした。アサヒビールタワーがググッと迫ってきたが、ビールジョッキを模したデザインがよく分かる。最上階付近の泡部分に相当する箇所の立体感にがメリハリがあっていい感じだ
ラストに最大8倍までデジタルズームした。夕陽を浴びるタワーにここまで迫れるのが驚きである。窓1枚1枚の解像と自然な色再現に脱帽だ。ズーム操作は画面をピンチイン・ピンチアウトするか、画面をタップして表示されるズームスライダーを動かすようになっている
・ポートレートモード
定評あるポートレートモード。ライバル機と違って浮かび上がらせたい被写体の境界をきちんと判別できるのが強みだ。また撮影する距離に制限がないので、広角望遠レンズともに自由に撮影できるのもうれしい。さらにボケ量を前ボケと後ボケ別々に撮影後に調整が可能。ピント位置さえもあとから変えることができるのがスゴいのである。
写真の学校のスタッフをポートレートモードで撮らせてもらった。撮影時のレスポンスも良好で話している様子を狙い通りに撮れた。注目のボケもスムーズで美しく、境界もしっかりと判別されている。「顔加工(ナチュラル)」でスキントーンもキレイな仕上がりになった
渋谷川沿いのライトアップ照明を撮った。ランタンがくっきりと宙にうかびあがって幻想的なカットになった。背景に見える点光源がいわゆる玉ボケになっていて美しい。人だけでなくさまざまなものを撮影して背景ボケを楽しめるのが「Pixel 4」のポートレートモードだ
・夜間モード「Night Sight」
「Pixel」シリーズの一番の武器はやはりこの夜間モード「Night Sight」だろう。他メーカーも似たような機能を搭載しているモデルがあるが、やはりパイオニアであるるGoogleの力はスゴい。低照度の暗所もネオンきらめく繁華街も、自然かつ圧倒的な描写で写し出してくれるからだ。夜のフォトウォークが楽しくなってしまうほどカンタンかつ美しい夜景が誰にでも撮影可能だ。
再開発が進み渋谷駅前。バスターミナルはひっきりなしに都バスが行き交っている。その様子を広角カメラの夜間モード「Night Sight」で撮影した。右手前の停まっているバスの行き先表示灯も欠けずにしっかりと写り、なおかつ背景にそびえ立つ新しいビルのサイネージから窓ガラスまでしっかりとそしてクッキリと写しとられている。色合いも記憶色に近く、これが手軽に撮れるのが本当にスゴい
明るく発光しているものだけでなく、照らし出されているものも夜間モード「Night Sight」は克明に写し出す。神社のおみくじ売り場を撮ったが、五色幕の色再現と表面の描写が実に素晴らしい。またその下に並んでいる引き出しの数字表示まで、低照度下で撮影したとは思えないシャープさだ
再開発著しい渋谷川エリア。橋の上から何気なく撮ったカットだが、手ブレもせず明るく色彩感溢れるカットになった。照明のハイライト部分から奥にそびえる高層ビルの暗部ディテールまでパッと撮影したとは思えない仕上がりだ。デジタルカメラのサブとして大いに役立つ機能だろう
Google Pixel4の作例
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ポートレートモードや夜間モード「Night Sight」が注目の「Pixel 4」だが、通常撮影で得られる写真も素晴らしい。あらゆるシーンで最上の撮影結果を得られる最新型スマートフォンだということを実感できた
紅葉が近づく都市公園を散策した。木漏れ日と顔をのぞかせる太陽がいい雰囲気である。「Pixel 4」は木々の葉をしっかりと解像しつつ、ハイライト部からシャドウ部までヒトの見た目に近い美しい写真を捉えてくれた
「Pixel 4」に搭載されているデュアルカメラのレンズも優秀だ。収差などの補正はおそらくデジタル処理も活用されていると予想するが、実にシャープでクセのない写りをしてくれる。強い光源が入ってもゴーストやフレアも少なく、このようなビルのテクスチャーもしっかりと捉えてくれる
「Pixel 4」は使っていて快適だ。まず顔認証のロック解除が高速なのでメッセージなどの確認も素早く行えるのがいい。また動作スピードもキビキビしていてクイックなので全ての動作が俊敏で心地いい。このシーンでは鳴くカラスを発見して最大まで超解像ズームしてシャッターを切るまでの流れが滞りなく行えた。シャッターチャンスに強いスマートフォンと言えるだろう
太陽の前に吹き上がる噴水。きらめく飛沫を「Pixel 4」は美しく捉えることができた。新搭載の「デュアル露出補正」はリアルタイムにHDR効果を確認しながら、全体の明るさや暗部の持ち上げコントロールができる。撮影者が意図したとおりのカットを撮れる機能だ。「Pixel 4」任せでもOKだが、より自分なりに写真表現をしたいフォトグラファーにもオススメの端末だ
まとめ
「Pixel 4」は全方位的にスキがない撮影に強いAndroidスマートフォンに仕上がっている。端末自体もスリムかつ軽量で持ちやすく、おサイフケータイやeSIM、防塵防滴対応など撮影旅行にもピッタリな機能を積んでいるので、デジタルカメラの相棒として非常に心強い存在になると感じた。写りは誰が撮っても素晴らしい仕上がりになるので、これからスマートフォンフォトグラフィーに挑戦する人にもオススメできる1台になっている。ぜひスマートフォンの取り扱いのあるカメラのキタムラ店頭でそのカメラ性能を実感していただければ幸いだ。