物撮りのやり方|スマホで出来る物撮りのコツ!
はじめに
前回はデジタルカメラを使っての簡単なブツ撮り方法をお伝えしましたが、今回はそのスマートフォン編となります。「え?スマホでブツ撮りできるの?」と驚く方がいらっしゃるかもしれませんが、いくつかのツボを押さえれば、最近のスマートフォンならキレイに撮影できるのです。何といってもスマートフォンならば撮影した写真をSNS、ブログへのアップロードやシェアがカンタンですし、フリマアプリを使ってモノを売る際もとても便利ですね。さっそく試してみましょう。
ブツ撮りに必要なアイテム
ブツ撮りの心構えなどについては前回の記事 を参照していただくとして、まずはブツ撮りに必要なアイテムの紹介です。
スマートフォン
iOS、AndroidどちらでもOKです。できれば複数のカメラを搭載した最近のモデルがオススメです。特に「望遠カメラ」を搭載した端末がいいでしょう。なぜなら広角カメラで画面一杯に被写体を撮ると、パースがついて被写体が歪んで写ってしまうからです。望遠カメラであればそれが抑えられます。アップルの「iPhone 11 Pro」シリーズやグーグルの「Pixel 4」シリーズが最適でしょう。
LEDライト
明るい昼間に自然光で撮影するのもいいですが、ここは光量が安定して、夜間でも撮影ができる照明を用意しましょう。スマートフォン内蔵のLEDライトではなく外付けのものがオススメです。内蔵のものは照射範囲が狭いだけでなく、発光部がカメラすぐ横にあるため、被写体の影が強く出てしまうからです。光量を調節でき、ホワイトバランスを変えられる便利な製品もあるのでそちらを使ってみましょう。今回は近日登場予定のベルボン「VFL-12」 を使用しました。薄型軽量で、光量とホワイトバランスも可変、三脚穴も備え、いざというときはモバイルバッテリーにもなる優れものです。
三脚とスマホホルダー、ライトスタンド
撮影時にはスマートフォンを固定できると楽チンです。持ち運びと設置が簡単なマンフロットの「PIXI」シリーズが人気です。同社の「Twist Gripスマートフォンアダプター 」を使って端末を確実に固定できます。またクランプにもなるベルボン「パワークランプ・キングオブキングスエディション」も使いやすいでしょう。こちらはホルダーも付属しています。テーブルを挟んでスマートフォンやLEDライトを固定することが可能です。
三脚座を備えたホルダーがあれば手持ちのカメラ用三脚も使えます。今回もデジタルカメラ編と同様、ベルボン「UTC-63II AS」と「スマートライトスタンド」をチョイスしました。
背景紙(バックペーパー)
基本カラーは白色でしょう。撮影するものによってマッチした他カラーのものや、ウッド調パネルや布などを使うのもいいでしょう。大きさは被写体より大きいものが必須です。折り目や汚れがつかないように慎重に扱いたいものです。専用の背景紙が望ましいですが、100円ショップで売られている模造紙でも代用可能です。
レフ板
LEDライトの光を反射させて影を柔らかくするものです。今回は白いボードを二つ折りにして作ったものを使いました。もちろんカメラのキタムラで販売されている市販品を使うのもいいでしょう。
ディフューザー
LEDライトの光を拡散してやわらげるものです。専用のものも販売されていますが、今回は100円ショップで売られている乳白色のシートを加工して活用してみました。何枚も重ねることによって、光の透過量を変えることができます。
撮影場所を作る
まずはブツ撮りをする場所を確保しましょう。前回のデジタルカメラ編と同じく簡易撮影ブースを作ります。撮影する商品の大きさにもよりますが、だいたい1m四方の平らな場所があればいいでしょう。オススメは壁際のスペースです。そこにホームセンターなどで販売されている折り畳み式のテーブルを設置しましょう。代用できる台でも結構です。そして背景となる白い紙を貼りましょう。上端を壁にテープで貼り付けて、テーブル上でカーブさせます。こうすることによってスタジオっぽく仕上がります。今回は前回と方向を変えて撮影場所を確保しました。
実際に撮影してみよう!
ここまでは事前準備について解説してきました。次はいよいよ実際に撮影するうえでのコツを解説していきます。
基本的なライティング
さて次はライティングです。今回は小型軽量のLEDライトを使っているので、ライトボックスなどのアクセサリーの装着、使用ができません。ですので直接照射か天井バウンスが基本となります。直接照射の場合は影が強く出てしまうので、前述のように100円ショップで購入した乳白色のシートをLEDライトサイズに切り、お手製のディフューザーとしました。枚数を重ねることにより影の出方をコントロール可能です。また天井バウンスの場合も、ライトスタンドを伸縮させて天井までの距離を変えることにより光の質が調整できます。撮影しながらいろいろと試してみるといいでしょう。
グリッド線を表示して水平に気を配る
撮影台にブツを、LEDライトをスタンドに、三脚にスマートフォンを据えたらいよいよ撮影です。ここで気をつけたいのが「水平」です。画面が傾いてブツが斜めにならないように構図を決定しましょう。この時に便利なのが「グリッド線」です。お使いのスマートフォンによって表示する方法が異なりますが、iPhoneの場合は「設定→カメラ→グリッド」でディスプレイ上に現れるようになります。
望遠は5倍程度まで
被写体が小さい場合、望遠レンズを使っても画面一杯に捉えられない場合があります。その場合はデジタルズームを使いましょう。iPhone 11 Proシリーズの場合は最大10倍まで拡大できますが、画質が気になる場合は5倍程度にとどめておくことオススメします。Pixel 4シリーズの場合は超解像ズームの効果で最大の8倍まで拡大してもまずまずキレイな仕上がりになります。
AE/AFロックと露出補正を使おう
水平が取れ、画面内にしっかりと被写体を配置したら次は「ピント」と「露出」です。基本的にスマートフォンはシャッタースピードとISO感度の組み合わせで明るさを決定します。
まずiPhoneの場合です。画面内のピントを合わせたい位置をを長押ししましょう。すると「AE/AFロック」という表示が画面上部に現れます。この状態ではiPhoneと被写体との距離(ピント)と露出(明るさ)が固定されたことを意味します。この時に太陽アイコンを指先で上にスライドさせると明るくなります。逆に下にスライドされると暗くなります。これを使って露出を調整して、気に入ったらシャッターを押しましょう。きっと美しい写真になるはずです。
Pixel 4シリーズの場合は、被写体をタップすればピントが固定されます。明るさは画面右側に表示される「デュアル露出補正」のスライダーを操作して明るさを決定するだけです。
ディフューザーを使って光をやわらげる
画面の明るさはいいが、影の質をコントロールしたい場合はディフューザーを使いましょう。今回は100円ショップで売られている乳白色のシートを、LEDライトのサイズに合わせてカット加工したものを使いました。これを重ねてテープでLEDライトに装着すれば、枚数に応じて影がソフトになるというわけです。
まずはLEDライトをダイレクトに照射しました。明るいですが影が濃く出てしまいます。
お手製のディフューザーを2枚テープでLEDライトに貼りました。画面がやや暗くなりましたが、影がソフトになったのがわかるでしょうか。
さらにお手製のディフューザーを4枚重ねて装着しました。グッと暗くなりましたが、影がより柔らかくなったのが確認できます。影がこれでOKであれば、あとは前述の露出補正を明るめにかけてやり、好みの明るさに仕上げれば一丁上がりです。
このようにスマートフォンでも簡単なグッズを使ってキレイにブツ撮りが可能です。SNSやブログ、オークションやフリマサイトに投稿する写真をグレードアップしてみましょう。ライトの位置を変えることや、背景紙をチェンジするなど工夫してオリジナルの1枚を目指しましょう。