幻想的な冬の北海道で野生動物を撮る

坂井田富三

北海道の幻想的な雪景色と野生動物の写真.JPG

はじめに

 冬の北海道は幻想的な風景や野生動物を撮るのに、とても魅力的な場所であり季節です。筆者は毎年2月に撮影に行くことにしていて、行く場所は決まって北海道の道東地方で、タンチョウ・キタキツネ・エゾシカ・シマフクロウ・オジロワシ・オオワシなどを撮影しています。もちろん野生動物だけでなく、北海道ならではのとても魅力的な風景がとれるのも毎年撮影に訪れる理由の一つです。許されるなら長期滞在して撮影したいのですが、なかなかスケジュール的に難しく毎年釧路を拠点にして4~5日程度の撮影旅行で撮っているのが現状です。それでも、ある程度満足できる写真が撮れるのも北海道の自然の恩恵が大きいと感じています。だから毎年引き寄せられるように行ってしまいます。

冬の北海道のおすすめスポット

 今回、筆者がおすすめする撮影スポットは北海道の道東の定番的なスポットです。
あくまでも野生動物なので、天候や気象状況によって必ず居るとは限りませんのでご了承くださいね。

タンチョウを撮るおすすめスポット

・鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
・菊池農場
・音羽橋

【参考】鶴居村HPタンチョウ撮影ポイント
https://www.vill.tsurui.lg.jp/kankou/kankou/kankou_06.html

エゾシカ・キタキツネを撮るおすすめスポット

・野付半島

【参考】野付半島ネイチャーセンターHP
http://notsuke.jp/

シマフクロウ・オジロワシ・オオワシ

・知床、羅臼
・観光船で流氷のある場所から撮影

【参考】羅臼観光協会HP
http://www.rausu-shiretoko.com/

冬の撮影時の準備物・装備

 防寒対策はしっかりと!長時間マイナス温度の環境で撮影する事が多くなります。撮影者本人の防寒対策(ウェア・カイロ・手袋・帽子・スノーシューズ)をしっかりとすることはもちろん、機材もしっかりと保護しなければなりません。特に低温下ではバッテリーの低下も著しいので、予備のバッテリーを準備して撮影にのぞみましょう。

手袋の画像.jpg
■ハクバ フォトグローブプロ

 寒い場所と暖かい室内(車内)などを行き来する場合は、機材の結露にも注意しなけれなりません。急激な温度変化をさける対策が必要です。

 三脚を使用して撮影する場合、スノーシューなども用意すると良いかもしれません。
スノーシューは、三脚の石突部に固定して設置面積を増やすことで雪面への沈み込みを防ぎます。各三脚メーカーから発売されていますので一度チェックしてみてください。

スノーシューの画像.jpg
■ベルボン スノーシュー

冬の北海道のおすすめスポット別撮影事例

 幻想的なタンチョウを撮る撮影スポット音羽橋。この音羽橋はタンチョウ撮影では有名なスポットで観光バスも立ち寄り、海外からも多くの方々が撮影にくるスポットです。
この音羽橋はタンチョウの寝床になっていて、川沿いに広がる霧氷と陽の光の変化が幻想的な風景を演出してくれます。ここでの撮影は日の出前に撮影スタンバイし、日の出とともに刻々と景色が変わっていく様を撮影します。

北海道での撮影写真1.jpg
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF8 ISO200 焦点距離600mm(APS-Cモード撮影)

 太陽が上がってくると、タンチョウは寝床から餌を求めて飛び立ち始めます。飛び立つところまで撮影し、その後に鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに移動して撮影すると効率よく撮影ができます。

北海道での撮影写真2.jpg
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/6400秒 絞りF7.1 ISO1000 焦点距離312mm
北海道での撮影写真3.JPG
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/8000秒 絞りF7.1 ISO1000 焦点距離100mm

 音羽橋から移動して、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに。ここではタンチョウがたくさん集まっていて、比較的撮影のしやすいポイントです。

北海道での撮影写真4.JPG
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF7.1 ISO100 焦点距離582mm(APS-Cクロップ)

 音羽橋、伊藤サンクチュアリでタンチョウを撮影する際には、レンズは35mm換算で600mm程度あると撮影しやすくなります。

 夕方に撮影する場合は、餌場から寝床の音羽橋に向かって飛んでいくポイント菊池農場で撮影するのがおすすめです。

北海道での撮影写真5.jpg
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF10 ISO400 焦点距離215mm

 この下の写真はちょっとレアな写真になります。パッと見は分かりにくいですが、撮影したのが、2018年2月21日になります。ちょうどこの年は、鶴居村にタンチョウに交じりクロヅルが一羽交じって飛来してきていました。鶴居村でクロヅルが見られたのは32年ぶりだったそうです。左から4羽目がクロツルです。

北海道での撮影写真6.JPG
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/400秒 絞りF10 ISO400 焦点距離259mm

 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリで見たクロツル、はっきりと分かります。

北海道での撮影写真7.jpg
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/1600秒 絞りF7.1 IS0 200 焦点距離400mm

 次は野付半島です。野付半島の凍った野付湾でエゾシカやキタキツネに出逢えたりします。ここでは特に一面真っ白な世界で撮影する事が出来ます。そんな中で野生動物に出逢えるととてもワクワクして夢中で撮影しちゃいますね。

北海道での撮影写真8.jpg
■使用機材:SONY α7RIII + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/2500秒 絞りF10 ISO400 焦点距離400mm
北海道での撮影写真9.JPG
■使用機材:SONY α9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/3200秒 絞りF5 ISO400 焦点距離119mm

 次はさらに北に移動して知床半島の羅臼です。ここでは、夜にシマフクロウが観察できる施設を利用して撮影することができます。観察施設にはシマフクロウに優しく、本格的写真撮影が可能な特別製の照明が設置してあり、暗い中でも撮影することができるようになっています。
※撮影するにあたっては、いろいろな注意点がありますのでルールを守って撮影しましょう。

北海道での撮影写真10.jpg
■使用機材:SONY α9 + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
■撮影環境:シャッター速度1/80秒 絞りF6.3 ISO12800 焦点距離531mm

 夜の撮影が終わったら、そのまま早朝の撮影に突入です。かなりハードですが、いい写真を撮るには努力も必要です(笑)。羅臼から日の出前の観光船に乗って、流氷のあるポイントへ移動します。太陽が出始めたら撮影開始。オオワシやオジロワシと太陽と流氷のコラボレーションをフレームにおさめましょう。

北海道での撮影写真11.jpg
■使用機材:SONY α7RⅢ + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF6.3 ISO400 焦点距離499mm
北海道での撮影写真12.JPG
■使用機材:SONY α7RIII + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports
■撮影環境:シャッター速度1/1600秒 絞りF6.3 ISO400 焦点距離600mm
北海道での撮影写真13.jpg
■使用機材:SONY α9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF5.6 ISO200 焦点距離400mm
北海道での撮影写真15.jpg
■使用機材:SONY α7RIII +SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF6.3 ISO400 焦点距離569mm

 流氷ポイントの船の上での撮影はとても寒くて厳しい環境ですが、それゆえ撮れた写真は特別なものとなります。オオワシの息遣いまでも撮ることができました。

まとめ

 広大な北海道で、タンチョウをはじめ野生動物を撮影するには望遠レンズは必需品です。できれば、フルサイズ換算で600mmぐらいまでは欲しいところです。とても寒い中での移動もあり、そんな環境でレンズ交換もなかなか難しくなってきます。150-600mmや100-400mmなどの望遠ズームレンズを使用してレンズを交換しなくても撮影をこなせるようにしておくのがベストな選択です。それから寒さ対策、防水対策を忘れないように!

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