ネモフィラ・ポピーの撮り方|北村佑介
はじめに
こんにちは!北村です!この記事が公開される頃は桜に夢中になっている頃でしょうか。暖かい日も多くなり、いよいよ春本番です。最もたくさんの花が咲く季節の中で今回は、ネモフィラとポピーの撮り方を紹介させていただきます。
ネモフィラを撮る
もう少しで見頃になる所も多いのではないでしょうか。ネモフィラは、密集度が高いところが多く、前ボケ・後ろボケが作りやすいです。色と形が比較的はっきりしていて、サイズも可愛らしいのでとても撮りやすい花の一つと言えるでしょう。基本を学ぶのにぴったりな花なので、好きな方には勿論のこと、普段花を撮る機会が少ない方にもとてもおすすめです。
柔らかい夕陽に照らされたネモフィラ畑で
柔らかい夕陽に照らされたネモフィラ畑で、光の方へ向かって咲いているように見えた一本を撮りました。とてもとてもお気に入りの一枚なのですが、ミスが一つありました。ミスしたことはあまり言いたくありませんが、皆さんのお役に立つかもしれないので共有させていただきます。ISO200で撮影してしまいました…。シャッタースピードも充分に確保できているため、ISOは100が適したシーンです。
普段、ISOはオートで撮影しているのですが、この時は何かのタイミングでISOのダイヤルを触ってしまったのでしょう。幸いにもそこまで大事には至らないミスではありましたが、皆さんも設定には充分にご注意をしてください。良いシーンに出会った時は夢中で撮り続けてしまうこともあるかと思いますが、数十枚に一枚は設定が正しいか確認することをおすすめします。筆者も気を付けます。
主役には、光がより当たっている一本を選びました。そして主役の後ろには、そこまで光が当たっていない部分を選びました。そうすると、主役と後ろボケの色が被ってしまったとしても、このように光の明暗差でメリハリをつけることができ、主役を目立たせることができます。
夕暮れの強い光で照らされた一本
夕暮れの強い光で照らされた一本のネモフィラを逆光で撮りました。強い雨がやんだ直後だったので、ほとんどの花が倒れてしまっていたのですが、この一本は元気に上を向いて咲いていました。逆光で撮る際、特に光が強い朝や夕方は明暗差がとても大きいです。撮影時に、花の色と脈が残っているか、白とびさせてしまってはいないかをしっかりと確認しましょう。
また、明暗差が大きいシーンで撮影した写真は、可能であればハイライト部とシャドウ部だけでもレタッチすることをおすすめします。撮って出しだと、ハイライト部とシャドウ部の階調を両立させることが通常よりも難しいためです。そして、この時の光はオレンジ色を多く含んでいたため、ホワイトバランスをカスタムで4100ケルビンまで下げ、ネモフィラとその周りの色がイメージ通りになるように調整しました。それにしても雨上がりの夕暮れの中で撮る花は、また一段と綺麗ですよね。そう何度もあるシーンではありませんが、タイミングが合えば是非狙ってみてください。
満開のネモフィラ畑での1本
満開のネモフィラ畑で可愛らしい形をした一本を見つけました。前ボケの部分は元は青一色のネモフィラなのですが、主役とのメリハリをつけるために、青と相性の良い黄色をレタッチで足しました。青空の色もネモフィラととても似ていたため、レタッチで少し変えました。
青空の中で撮ったネモフィラの写真は青一色となりやすいです。一つの色で統一されて綺麗な反面、単調になってしまいやすいです。撮影時に他の色の花をボケに使ったり、レタッチで他の色を足したりしてみても面白いかもしれません。ちなみに青と黄色は補色に近く、メリハリが付きやすいのでおすすめです。青と黄色でメリハリをつける際は、お互いの色を強くしすぎないことがコツです。
引いて花畑を撮影
今度は満開のネモフィラ畑を、引いて花畑として撮ってみました。オレンジのカリフォルニアポピーの前ボケがいいアクセントとなってくれました。前ボケと後ろボケが青一色で単調だったため、周辺光量落ちの補正をオフにし、四隅を暗くしてムラを作りました。開放で撮った花の写真はボケの部分が多いため、単調になってしまうことがしばしばあります。そういう時、周辺光量をわざと落としてムラを作るとグラデーションが生まれるので、機会があれば是非やってみてください。撮影後、補正オンへの戻し忘れには注意です。
ポピーを撮る
咲いている場所も多く、種類ごと色ごとにそれぞれ良さがあるポピー。これから見頃のところも増えてくるのではないでしょうか。色々な撮り方ができるポピーですが、今回は少し寄って主役に注目した撮り方と、引いて主役以外も取り入れた撮り方の2パターンをご紹介したいと思います。
アイスランドポピー畑でこちらを向いている一本
アイスランドポピー畑でこちらを向いている一本を見つけました。ポピーは、横向きを撮っても後ろ向きを撮っても花の形の良さが伝わりますが、やはり正面が一番花の良さが伝わります。正面を撮ることができるシーンを見つけたら、積極的にチャレンジしてみてください。花は多くのシーンで太陽の方を向くので、花を撮るのに適している逆光で撮る、となるとなかなか正面を撮ることができません。ただこれだけ咲いていると中には正面を向いている花もあるので、根気よく探してみてください。
沈む前の夕陽を背にした黄色のアイスランドポピー
沈む前の夕陽を背にした黄色のアイスランドポピー。50mmの単焦点レンズ、開放のF1.4で撮りました。長い焦点距離のレンズと比べると、50mmや35mmといったレンズはボケが少なめで色々なものが画角に入ってくるため、主役を見つけづらく感じるかもしれません。この写真は地面付近から煽って撮影したのですが、そうすると背景が空となり、主役にしやすい背の高い花が見つけやすくなります。煽ることによって花の高さのバラつきが顕著になり、見つけやすくなるというのもあります。花畑で主役が見つかりづらい時は思いっきり煽って撮影してみましょう。普段と異なるアングルで撮ると、新たな発見があるかもしれません。
毎年訪れるポピー畑で
毎年訪れるポピー畑ですが、この写真を撮った日は咲き具合も天候もとても良く、未だに思い出深い一日となっています。この写真も、地面付近から煽って主役を見つけて撮りました。夕陽を背に逆光で撮影しましたが、太陽を入れると空に白とびする部分が出てきてしまいます。その撮り方が良くないというわけではありませんが、このように太陽の光の下の部分を、写真の一番上に入るか入らないかくらいの場所に配置して撮ると、強い光が差し込んでいる印象を保ちつつ白とびも最小限に抑えられます。カメラを構えた後にアングルの微調整を行い、お気に入りの光の入れ方を見つけてみてください。
満開のポピー畑の端っこで
満開のポピー畑の端っこで、つぼみと会話しているかのような一本を見つけました。花とつぼみが会話しているイメージを最優先にしたかったため、ベストなアングルやボケを少し犠牲にして、余計なものは入れない構図を選択しました。露出を大きく下げて、光が当たっている部分をわかりやすくし、ストーリー性を強調しました。露出を下げて花を撮る際は、光が当たっている部分以外は見えなくなってしまうくらいに下げるのがおすすめです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。ネモフィラとポピーの撮り方としてお伝えしましたが、この記事は足元に咲く色々な花にも応用できる内容がたくさんあります。是非お気に入りの花を撮る際に、この記事の内容を生かしていただけたら嬉しいです!今回もどうもありがとうございました!
■写真家:北村佑介
出版社勤務・埼玉県観光PRフォトグラファーを経て、ドリーミーフォトと呼ばれる花を撮るフォトグラファーとして独立。年間150回の写真教室や、書籍・雑誌・企業・メーカーへの写真提供、イベントでのトークショーをメインに全国で活動中。著書に「花をながめて大切なことに気づく100の言葉」(かんき出版)などがある。