夏を楽しむ愛犬写真の撮り方|人気ペトグラファー夫婦がご紹介!
はじめに
夏はわんこにとってとても厳しい季節。日中のアスファルトは焼けるように暑く、肉球をやけどしてしまう恐れも。毎日のお散歩も日中の暑い時間を避けて早朝や夕方以降にする必要があります。でもそんな暑い夏だからこそ楽しめる遊びもあります。それは海や川での水遊び。人間同様わんこも水遊びが大好きです。水を見るとウズウズしたり、大喜びで水に入ったり、優雅に砂浜を走ったりと夏ならではの遊びのなかで様々な姿を見せくれる愛犬を写真に収めてみましょう!そこで今回は夏ならではの楽しみである「水遊び」と夏の花「ひまわり畑」での撮影のコツのお話をします。
川遊びを撮る
川遊びの準備
真夏でもキンキンに冷えている川は人間でも入るのをためらう程の冷たさ。夏の暑い時期だけ楽しめるスポットですね。水遊びはわんこにもカメラにも危険がいっぱいなので注意しながら撮影しましょう。私達が川で撮影する場合、まずは濡れても良い服装&マリンシューズ等なるべくしっかりした履物を履き、首にはタオルを巻いて撮影します。タオルは手が濡れた時にすぐに拭けるように用意しています。川は石がゴロゴロしているので履物がしっかりしていないとふらついてカメラを水没させてしまう危険があるので注意しましょう。流れが急な場所では無理に川に入らずに二人一組で一人はわんこのアテンド、もう一人は200mm前後の望遠レンズを使って岸から撮るのをおすすめします。
川の規模によっては犬用のライフジャケットがあるといいでしょう。また川遊びをしていると体が冷えてくるので温かい飲み物を用意しておくと心も体も温まります。
川遊びでのカメラの設定
まずはカメラの設定です。川遊の撮影で大事なのはシャッター速度です。泳いだり走っている瞬間を撮るのでブレないように速いシャッター速度に設定する必要があります。シャッター優先モード又はマニュアルモードでシャッター速度は1/2000秒以上に設定しましょう。また渓谷で撮る場合は日光があまり届かず意外と暗い場合があります。明るさに注意しながら必要であればIOS感度を上げて撮影しましょう。
こちらの写真はISO感度を1000まで上げて撮影しています。渓谷では充分に光が届かない事もありますが、木々に遮られまばらに差し込む光がいい雰囲気を演出してくれますよ。
ピントは追従モード(AF-C・C-AF・AIサーボ)に設定しAFエリアはワイドではなく少し狭いエリアで設定し、しっかりと被写体にピントを合わせるようにしましょう。川遊びでは飛び散った水しぶきがピント合わせの邪魔をするのでAFエリアが広いとピントが合いにくいのです。そのため私達はスポットAFや1点AFやゾーンで撮っています。
またホワイトバランスの設定も重要です。この設定次第で写真の雰囲気がぐんと変わりますので、余裕があればオートではなく色温度を微調整してみましょう。水シーンを撮る時には少し青味が強くなるように調整するとより爽やかな作品になります。
実際に撮ってみる
スイスイとこちらに向かって泳いで来る所を撮る時のカメラのアングルは犬の目線くらいがおすすめです。こうする事で表情が良く写ります。ただこの時の犬の目線の高さはほぼ水面です。あまり水面ギリギリのところで構えるとちょっとバランスを崩しただけでカメラが水没してしまうので、慣れるまでは少し高めに構えてみましょう。
また川から出た後のブルブルシーンもシャッターチャンスなので、ブルブルしそうになったら顔が見える位置に回り込んで撮りましょう。この時、犬との距離が近いとカメラが濡れてしまうので中望遠レンズか望遠レンズで撮るのがベスト。シャッター速度が遅いと、このブルブルシーンが流れて写ってしまうため、この時のシャッター速度は最低1/2000秒、出来たら1/4000秒くらい出せると、飛び散った水しぶきの一つ一つが鮮明にキレイに写ります。
海での撮影
撮影をはじめる前の注意点
夏のイメージと言えばやっぱり海です。暖かくなってくると海に遊びに行く愛犬家の方達も多いですよね。せっかく海に行くならその姿を写真に収めましょう。でも海は川よりもカメラの扱いに注意が必要です。まず海撮影での敵は潮風です。みなさんもご存知の通り海は風がとても強いです。その強い風に吹かれ、大量の砂が舞い上がります。海撮影では水はもちろん、この潮風と砂に十分注意しなければなりません。裸のままカメラを持っていくと一瞬でカメラが砂まみれになってしまいます。カメラの隙間から砂が侵入する事もあるので撮影前にバッテリー収納部の蓋やカードスロットカバーの隙間をマスキングテープ等でとめて砂の侵入を防ぐとよいです。またローアングル気味で砂浜近くで撮影する場合は少し動くだけでも砂が舞いますので、カメラをレインカバーやカメララップ、無い場合はタオルで包む等、砂からガードするようにして撮りましょう。この時ボディだけでなくレンズにも気を配りましょう。ズームリングやフォーカスリングを回した時にザラザラした感触がある場合は砂が入り込んでいる証拠です。使用後はブロアーやブラシなどで砂を吹き飛ばしましょう。当然砂浜でのレンズ交換は絶対にNG。レンズ交換をしたい時には必ず車内やどこか室内等の砂が入らない場所で行いましょう。また潮風に含まれる塩分でカメラがベタついたりサビの原因にもなるので、たとえ砂が舞っていないと感じたり短時間の撮影であったとしてもメンテナンスをするといいでしょう。
設定は川遊びの時と基本同じで大丈夫。海好きの子はテンションが上がって走りたくなるのでシャッタースピードを速めに設定するのが鉄則です。
こちらの写真は砂浜にあるヤシの木をバックに撮影したもの。何もない砂浜もいいですが、ヤシの木を入れる事で異国感が出ます。
貝殻を拾ってこちらに向かってくる瞬間を撮影。砂浜と海と青空に貝のアクセントで夏らしさを表現。犬の目線までカメラを下げて撮ると表情をしっかりと捉えることができます。ちなみに砂浜で遊ぶシーンだけを撮る場合は真夏の前後の少し涼しい時期の方が犬の負担が減るので撮影に適しています。それでもちゃんと「夏」を表現できるのでご安心を。
海の中を泳がなくても波打ち際を走るだけで絵になります。バシャバシャと水しぶきをあげながら走る姿を速いシャッタースピードで捉えましょう。
海撮影のおすすめシーン
海は青空も良いですが、夕暮れもキレイです。夕日が差し込む時間に撮影すれば、ドラマチックに写せます。この時のポイントは光の向き。逆光や半逆光気味で撮ると毛の輪郭もキラキラと輝いて写ります。夕暮れの赤味をより強く表現したい時にはホワイトバランスを曇りマークに設定したり、色温度を変えられるカメラであれば7000k以上に設定したりすると見た目よりも赤味を強く表現する事が出来ます。
ひまわり畑で撮る
夏の花と言えばひまわり!でもひまわりが咲く時期は一年で一番暑い時期、、、、。そのため夏のひまわり撮影はためらいます。私の場合、ひまわりの満開時期が分かったら、あとは天気予報とにらめっこしながらなるべく涼しい日を設定し早朝に超短時間撮影をしています。
準備するものは、高さ合わせ用の台と暑さ対策グッズ(保冷剤やミニ扇風機)、そして虫よけです。早朝のひまわり畑では蚊も多いので蚊よけをしていきましょう。そして早朝とはいえ真夏は暑いので短時間勝負。ひまわりが密集していてキレイなポイントを見つけたら、花の高さにわんこが来るように台やカートで高さを合わせ、時間をかけずにサクッと撮影します。高さ合わせをするとは言えあまり高い台を使用すると、万が一落ちてしまった時にわんこが怪我をする危険があります。なるべく背丈の低いひまわり畑を選んで撮影に行くと良いでしょう。また撮影に集中しすぎてわんこに負担をかけるのはNG。とにかくさっと撮影するのがひまわりと愛犬撮影の何よりのポイントです。普段からどこをどのように撮ったら良いかというフレーミング力をつけておくのが良いです。
ひまわりと言えば「夏」ですが、今は早咲きひまわりや遅咲きひまわりも各地で楽しめるようになってきました。早咲きひまわりや遅咲きひまわりスポットを探して暑い時期を避けてひまわり撮影に行くのも良いですね。
まとめ
水遊びは愛犬の動きも速く、飛び散った水しぶきもピント合わせの邪魔をするので難易度の高い撮影になります。さらに暑さという天敵がいますので人も犬も熱中症に注意しながら素早く撮影するように心がけましょう。また撮影をする事を目的にわんこを海などに連れていく場合は暑い夏は避けて涼しい季節に行くようにしましょう。
川や海ではペットOKの場所かどうかも確認し、ルールを守って周りの迷惑にならないように意識してください。くれぐれも撮影のために無理をさせず、楽しく遊んでいる姿を撮ってあげてくださいね。
■写真家:小川晃代・湯沢祐介
ペットやキッズの撮影を得意とする夫婦の「ペトグラファー」。トリマー、ドッグトレーナーの資格を持つ小川と、猫じゃらしを持たせたらピカ一!「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ湯沢の最強コンビで、これまでに撮影した頭数は7万頭以上。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。東京都世田谷区でペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーンSTUDIO」を運営。
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