使いこなせれば貴方もプロ!? 12のカメラ基本構図|コムロミホ
はじめに
印象的な写真を撮るためには、カメラの設定だけでなく、被写体をどのように配置するのかも大切なポイントです。被写体をどう際立てたいのかを考えながら、構図を意識してみると、写真の印象ががらりと変わります。
ここでは12種類の構図をご紹介しながら、どんな効果が得られるのか、どんな被写体にマッチしやすいのかなどをご覧いただけます。被写体やシーンに合わせて、いろんな構図を試してみましょう。
二分割構図:二つの被写体を均等に引き立てる
二分割構図は上下または左右を均等に二分割した構図のことです。
水平線や地平線を分割した線上に配置することで、空と水面、もしくは空と陸といったように、一枚の写真で二つの被写体を均等に際立てることができます。そのときに水平線や地平線が傾かないように水準器を使用して、線が水平になるように意識してみましょう。そうすることで、安定感が出やすくなります。
また、光と影、壁と道のように二つの違った被写体を配置するのも面白いと思います。シンプルな構図なので、いろんな被写体にマッチしやすいのが特徴です。一枚の写真で二つの被写体を均等に際立てたいときは二分割構図を意識してみましょう。
三分割構図:被写体だけでなく雰囲気も引き立てる
三分割構図は縦と横を三分割した構図のことです。縦と横の線が交わった部分を交点といいます。
三分割構図は二つの使い方があります。まずは分割した線上に被写体を配置する方法です。一枚目の写真は空と柵を2:1の比率で配置しています。そうすることで、柵よりも空や雲のダイナミックさを際立てることができます。三分割構図は2:1で二つ被写体をフレーミングするため、どちらか一方が際立ちやすくなります。
そして、もう一つの写真は照明を三分割構図の線上に配置しています。真ん中ではなく、どちらかに寄せて配置することで、左側に余白が生まれます。それにより背景の空間を広く切り取ることができるため、雰囲気のある写真を撮ることができます。
そして、もう一つの方法は交点に被写体を配置する方法です。下の写真のように犬の顔を交点に配置することで、犬の表情だけでなく、その街の雰囲気が伝わりやすくなります。撮りたい被写体を交点に配置することで、背景とのバランスが安定し、ストーリー性のある写真を撮ることができます。被写体だけでなく、その場の雰囲気も一緒に際立てたいときは三分割構図を意識してみましょう。
日の丸構図:とにかく被写体を目立たせる
日の丸構図は被写体を真ん中に配置した構図のことになります。
とてもシンプルな構図ですが、真ん中に配置した被写体を目立たせて際立てることができます。面白味のない構図として、紹介されることもありますが、一つの被写体をどーんと真ん中に配置するため、インパクトがあり、ストレートにその被写体の美しさや力強さが伝わりやすくなります。
日の丸構図はただ被写体を真ん中に配置するだけでなく、被写体の大きさも意識してみましょう。被写体が小さくてもしっかりと目立たせることができるので、背景のバランスを見ながら、どのサイズ感で被写体を配置するのかを考えるのも大切です。それによって撮影する距離や使用するレンズを変えてみましょう。
三角構図:安定感や重厚感が欲しいときに
被写体を三角形になるように配置した構図になります。
建物などを下から撮影すると、上がすぼまり、三角形のような形になります。それが三角構図です。建物の高さや、道の奥行きを表現したいときに活用してみましょう。また安定感や重厚感なども表現しやすいのが三角構図の特徴です。
三角構図はレンズの選び方もポイントです。広角になればなるほど、遠近が強調されるので、三角構図が作りやすくなります。撮影する場所やアングルを考慮しながら、広角レンズを使用し、迫力のある三角構図を作ってみましょう。
対角線構図(斜線構図):写真に動きを
対角に線を引き、その線上に被写体を配置した構図を対角線構図といいます。また、被写体が斜めになるように配置した構図を斜線構図といいます。
カメラを斜めに傾けて撮影したり、被写体を斜めになるように配置したりすることで、対角線構図や斜線構図を作ることができます。斜めに被写体を配置することによって、写真に動きが出て、お洒落に表現することができます。ただし、中途半端に傾けると、水平が取れていないような不安定な写真になってしまうため、思い切って斜めに傾けるのがポイントです。まずは被写体が対角になるように意識してみましょう。
そして、正面ではなく被写体を斜めから撮影することで、手前から奥に向かってフレーミングすることができるため、奥行きを感じる写真を撮ることができます。写真に動きが出て、躍動感の生まれやすくなるのも特徴です。
放射線構図:奥行きといえばコレ
複数の線が一点(収束点)から放射状に伸びた構図のことをいいます。
写真に奥行きを表現したいときは放射線構図がおすすめです。手前から奥までずっと続いていくような臨場感と奥行きを表現することができます。放射線構図を作るコツは二つあります。まずは収束点を必ず配置すること。収束点が写っていないと放射線構図を活かした奥行きの表現ができないため、収束点は必ず配置しましょう。そして、二つ目は収束点の位置です。図のように収束点を真ん中に配置する必要はありません。その場の奥行き感をどう表現したいのかによって、収束点を配置する場所を決定してみましょう。
C字構図:美しさを引き立てる
円形の被写体を撮影する際に、被写体の左右どちらかを意図的に写さないようにして、Cの字のように被写体を配置する構図のことになります。
料理やお花を撮影するときに使いやすい構図になります。お皿全体を撮影すると、料理自体が小さく写り、美味しさが伝わりにくくなってしまうため、お皿の一部分を切るようにしてフレーミングすると料理が大きく写り、美味しさが伝わりやすい写真になります。そのときにアルファベットのCの文字を意識して、お皿の一部分をカットすると構図が安定しやすくなります。お花をC字構図で撮影すると、お花の一部分をクローズアップして撮影できるため、花びらのグラデーションの美しさや自然の神秘さを感じる一枚に仕上がります。
パターン構図:リズムを作る
模様のように同じような形を写真いっぱいに配置した構図のことになります。
同じような形や物が規則的に並ぶことによって、写真にリズムが生まれ、造形のおもしろさや被写体の色の美しさを引き出すことができます。街や自然風景など、いろんなところに目を向けながら撮影していると、パターン構図として表現できる被写体が溢れています。パターンの構図を生かすためには大胆にその部分だけを切り取ること。それによって、その被写体の形に目のいく面白みのある写真を撮ることができます。
額縁構図:被写体を引き締める
窓や建物などを利用しながら、写真の中に四角を作り、額の写真をいれたような構図のことをいいます。
奥の風景だけでなく、手前にある枠を生かしながら撮影すると、額縁構図を作ることができます。額縁の中に写真を入れ込んだような構図のため、自然と奥の風景に目線が誘導されます。また黒の枠により、見せたい被写体が引き締まり、重厚感が出ます。額縁構図を作るコツは奥の風景に露出を合わせること。枠の比率が多くなると、手前に露出を合わせる場合があるため(カメラ側が露出を決定している場合)、奥の風景が明るくなりすぎてしまいます。そういう場合は露出補正をマイナスに設定し、枠をシルエットにして、奥の景色に露出を合わせるようにしましょう。
トンネル構図:被写体へ視線誘導
トンネルから奥の景色を望むような構図のことになります。
明暗差や障害物を生かして、メインの被写体のまわりを囲うような構図になります。一枚目の写真は手前が日陰で、奥にだけ光が当たっていたため、露出をマイナスに補正にして、奥の被写体に露出を合わせました。明暗差を生かして、メインの被写体に視線誘導されています。もう一枚の写真はメインの被写体を囲うように手前の被写体をフレーミングし、トンネル構図を生かしました。メインの被写体にはピントを合わせて、手前の被写体を前ボケにしているため、ピントが合っている被写体に視線誘導されます。
サンドイッチ構図:被写体をドラマチック
上下、もしくは左右、被写体を挟むように何かを配置した構図のことになります。
壁や建物の隙間から奥の被写体へと視線誘導させる構図になります。額縁構図、トンネル構図同様に手前にある被写体や明暗差を生かして、奥の被写体を際立てることができます。写真に奥行きを表現したり、ドラマチックに表現できる構図になるので、ぜひ活用してみてください。撮りたいメインの被写体だけでなく、手前にあるものなども意識してみると、奥行きのある写真を撮ることができます。
シンメトリー構図:ユニークな写真表現
左右対称、上下対称になるように被写体を配置した構図のことになります。
シンメトリーで被写体を切り取ると、ユニークな写真表現を楽しむことができます。建物や壁などでシンメトリー構図を活かしたい場合は水平垂直になるように撮影してみましょう。線をまっすぐに表現することで安定感が出やすくなります。スナップでシンメトリー構図を活用する場合は被写体を対比しながら、撮影してみるのもおもしろいと思います。背景をシンメトリーになるように構図を決めて、人物と猫を左右対称になるように配置してみました。
また、水たまりや建物の写り込みを利用して、シンメトリー構図を活用してみるのもおもしろいです。もう一つの世界が映り込み、幻想的でドラマチックな写真を撮影することができます。
おわりに
12種類の構図をご紹介しましたが、構図を意識しながら撮影すると、被写体だけでなく、背景も考えながらフレーミングするようになるので、その場の雰囲気が伝わるような素敵な写真を撮影することができます。目の前の情景をどう表現したいのかに合わせて、フレーミングの仕方を変えれば、より見る人に伝わりやすい写真になります。
今回のこの内容は私のYouTubeチャンネル「カメラのコムロ」でもご紹介しています。ぜひ合わせてご覧いただけますと幸いです。
■写真家:コムロミホ
福島県出身。文化服装学院で学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。ニコン、パナソニック、オリンパスのカタログ撮影も担当する。ルミックスフォトスクール講師、オリンパスデジタルカレッジ講師、エプソンセミナー講師、ライカやリコーペンタックス、をはじめ多くのメーカーで講師を務める。
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