屋外撮影で重要な光と構図を考えよう|人気ペトグラファー夫婦が解説!
はじめに
暑い夏が終わり気候も良くなってくるこの季節。暑くも寒くも無いこの時期は、屋外での愛犬の撮影を楽しめる時期でもあります。そこで今回はお外で撮影するためのポイント「写真の印象を左右する光と構図」についてお話します。
光の向きを意識しよう
一つ目のポイントは、写真を撮る上でとても重要な要素である「光」です。光が少ない事が原因で、ぶれてしまったり画質が悪くなったりするので、出来るだけ光の当たる明るい場所で撮る事が重要なのですが、ただ単に光が当たっていればいいというわけでもありません。重要なのは被写体に光がどのように当たっているかです。
光の当たり方によって写真の印象は大きく変わります。天気の良い日はまず太陽がどの位置にあるかをチェックし、被写体と太陽との位置関係を考えてみましょう。この位置関係によって光の当たり方が変わり、影の出方が変わってくるのです。光の方向は大きく分けると、順光、逆光、サイド光、斜光とあります。光の向きによって見た目にどんな違いがあるのか、ペット撮影ではどの光が向いているのか見ていきましょう。
ペット撮影ではどの光を使う?
まずは順光。順光とは被写体が真正面から受ける光です。顔や体全体にまんべんなく光が当たりますが、これによってストロボの光を直接当てたかのような、影のないペタッとした平面的な写真になってしまいます。また何よりも、正面から光が当たる事でわんこがまぶしい顔をしてしまい良い表情が撮れないので、ペット撮影において順光はなるべく避けた方が良いでしょう。
例外として走っているシーンを撮るときは順光がおすすめです。走りシーンの撮影ではピント合わせの精度が最も重要となります。せっかく撮ってもピンボケでは意味がないですからね。被写体に影の部分が多いとピント合わせが難しくなってしまいますが、順光で被写体にしっかりと光が当たっていればピントが合いやすくなります。ただでさえ難しい走るワンコの撮影では、順光でピントを合わせやすい状態を作ってあげましょう。
実は優秀な逆光
ペット写真ではふんわり優しい写真が好まれます。やわらかい写真を撮りたい場合は、被写体の後ろ側から光があたる逆光で撮ってみましょう。逆光と聞くと「被写体が暗くなって良くない」と思う方もいると思いますが、実はペット撮影においてもよく使う優秀な光なのです。
下の写真のように後ろからの光を受けて毛の輪郭がキラキラと輝き、とても美しく、神々しく仕上がります。ただそのまま撮ってしまうと被写体が暗くなってしまうので、プラス補正をして撮ると良いでしょう。露出補正は写真全体を明るくするので、元々明るい背景部分まで明るく補正してしまいます。その結果背景が白トビしてしまう事が多いです。
そんな時はレフ板やストロボを使って被写体だけを明るくして撮影しましょう。ストロボはハードルが高い、という方はレフ板がおすすめ。しかもプロ用のしっかりしたレフ板を使わなくても、白い厚紙で代用できます。小型犬であればA3サイズくらいの白い厚紙を用意しましょう。この厚紙に太陽光が当たるように構え、紙で反射した光がわんこの顔にあたるように紙の角度を調整します。こうする事でわんこの顔も明るく照らされ、目の中に白い光:キャッチライトも入るので一石二鳥です。
わんこの場合は特にこのキャッチライトの有無で表情が全く違って写ります。より可愛く生き生きとした表情に見せるために、キャッチライトは入っていた方が良いです。最初のうちは反射光をわんこの顔に当てるのが少し難しいと感じるかもしれませんが、厚紙を細かく動かしてわんこの顔が明るくなる角度を見つけましょう。1人で撮影する場合など、厚紙を持ちながらの撮影が難しいという方は、白い洋服を着てわんこの近くで撮影してみてください。白い服がレフ版代わりになってくれますよ。
次にかっこよく撮りたい時の光についてお話します。被写体の横から当たるサイド光は陰影がはっきりと出るので、ちょっとカッコよく撮りたい時におすすめです。コントラスト高めの印象的な作品を撮りたい時はサイド光に挑戦してみましょう。
オーソドックスで撮りやすい光は斜光です。順光とサイド光の間の位置の斜光はほどよい影が出来るので、写真に立体感が生まれます。また順光とは違い真正面より少しずれた位置から光があたるため、順光ほどまぶしそうな顔をせずに撮る事が可能です。
フレーミングのコツ
同じ景色でもどこをどう切り取るかによって写真の印象は大きく変わります。これをフレーミングと言いますが、慣れないとなかなか難しいものです。愛犬を美しい景色の中で撮影する時、主役の愛犬が引き立つように、そして背景がキレイに入るようにと考える事がいっぱいなので、いざ愛犬を素敵なフレーミングで撮影しようと思っても慌ててしまって上手く撮れなかった……なんて事も多いと思います。
上手なフレーミングのポイントは余計な物を入れない事。あれもこれもと欲張っていろいろ入れ込んでしまうと、写真を見る人があれこれと目を奪われてしまうので、主役のわんこがかすんでしまいます。なるべく余計な物は入れないように背景に目を配りながら、且つわんこが小さすぎにならないように意識してフレーミングしてみましょう。
またカメラを構える位置も重要です。下から見上げるように撮るのか、上から見下ろすように撮るのか等、写したい背景とのバランスでカメラアングルを調整します。ですがペット撮影では愛犬の表情をしっかりと写すためにペットの目の高さで撮るのが基本です。まずペットの目の高さに構え、背景とのバランスを見ながらカメラの向きを調整して撮影しています。
おすすめの構図
構図はその場の状況に合わせた選択が必要になりますが、構図を全部覚えようとする必要はありません。私たちがペット撮影でよく使うのは「日の丸構図」「二分割構図」「三分割構図」、たまに「S字構図」「放射線構図」と「シンメトリー構図」です。
日の丸構図は主役を真ん中にどんと配置する構図です。なんとなく単調に見えるこの構図は嫌われることもありますが、主役の表情を目立たせたい時には一番ベストな構図です。
美しい背景をできるだけ多く入れ込みたい場合は、二分割構図や三分割構図を使ってみましょう。画面を二分割してその1/2に主役を配置する二分割構図はとても簡単で、主役を右寄せか左寄せ、または上半分か下半分に配置して撮るだけです。こうする事で写真の中に余白が生まれるのでまとまりのよい写真になります。主役を配置するポイントは写真に入れ込みたい背景と、ペットの顔の向きで判断すると良いでしょう。ペットが左右どちらかを向いていたら、ペットの向いている先に空間があるようにして撮ります。これだけで写真の印象はぐっと良くなりますので実践してみてください。
また、三分割構図は縦と横がそれぞれ三分割になるように線を入れ、線と線が交わった4つの点(交点)のどこかに主役を配置する構図。二分割構図よりも大きな空間が撮れるので、景色を多めに入れたい時におすすめの構図です。実はこの三分割構図、スマホでも構図のアシスト線を普段から出しておけます。スマホの機種によって設定方法は多少異なりますが、設定→カメラ→グリッド線→9分割→ONのように設定すると、カメラを立ちあげた時に画面に線が表示されるようになります。普段からスマホでこの構図を意識して撮っていれば、カメラで撮影する時にも自然と三分割構図で撮れるようになるのでおすすめです。
まとめ
今回は屋外で撮影するためのポイントについてまとめてみました。これからのおでかけシーズン、光と構図を意識してワンランク上の写真撮影を楽しんでみてくださいね。
■写真家:小川晃代・湯沢祐介
ペットやキッズの撮影を得意とする夫婦の「ペトグラファー」。トリマー、ドッグトレーナーの資格を持つ小川と、猫じゃらしを持たせたらピカ一!「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ湯沢の最強コンビで、これまでに撮影した頭数は7万頭以上。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。東京都世田谷区でペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーンSTUDIO」を運営。
関連記事はこちら
■夏を楽しむ愛犬写真の撮り方|人気ペトグラファー夫婦がご紹介!
https://www.kitamura.jp/shasha/article/482492525/
■ナイトズー&夜の水族館写真の楽しみ方|人気ペトグラファー夫婦がご紹介!
https://www.kitamura.jp/shasha/article/482776839/