【オールドレンズ】タクマーの小さな広角レンズ アサヒペンタックス「Super takumar 35mm F3.5」
はじめに
今回のオールドレンズは、アサヒペンタックス 「Super takumar 35mm F3.5」です。タクマーシリーズのレビューはこれで3本目になります。
ご紹介済みのタクマーシリーズはこちら
・オールドレンズを手軽にはじめる最初の一本におすすめ!|ペンタックス Super Takumar 55mm F1.8
https://www.kitamura.jp/shasha/article/484936130/
・2本目のタクマーに!小さくお手頃な中望遠レンズ「アサヒペンタックス SMC Takumar 105mm F2.8」
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485967489/
標準レンズ、望遠レンズとレビューをしてきたので、タクマー3本目にピッタリの広角レンズ「Super takumar 35mm F3.5」をセレクトしてみました。
「Super takumar 35mm F3.5」は1960年代に発売されたレンズですが、同じ名称のレンズでも前期型と後期型と呼ばれるものが存在します。簡単に違いを見分けるポイントは、最小絞りの値を確認すればOKなので簡単です。最小絞りがF22まであるのが前期型で、後期型は最小絞りがF16までになっています。
今回、撮影したレンズの程度は並程度の個体で、筆者が約4,000円で購入した後期型の「Super takumar 35mm F3.5」になります。
Super takumar 35mm F3.5の魅力
アサヒペンタックス「Super takumar 35mm F3.5」の魅力はなんといっても小さく軽い事。それ以外は正直大きな特徴も無く、平凡なレンズです。「Super takumar」の焦点距離35mmには、開放F値がF2のレンズが上位機種として存在しており、今回の「Super takumar 35mm F3.5」は廉価版にあたるレンズです。
その為「Super Takumar 55mm F1.8」と同様に、お手頃な価格で入手することができます。ちなみに、上位の「Super takumar 35mm F2」は強いレンズ焼けを起こしたものが多く、まともな状態のレンズを探すのは困難と言われています。
アサヒペンタックス「Super takumar 35mm F3.5」の基本的なスペックは下記の通りです。
■焦点距離:35mm
■最短撮影距離:0.45m
■絞り開放:F3.5
■レンズ構成:4群5枚
■絞り羽根枚数:5枚
■フィルター径:49mm
■マウント:M42マウント
「Super takumar 35mm F3.5」の35mmという焦点距離は、フルサイズ機で使えば広角レンズ、APS-C機で使えば52mm相当の標準レンズとして使用できるレンズです。開放F値が3.5と単焦点レンズとしては暗いですが、その小さな筐体はとても魅力的な要素です。
また、サイズに関しては「Super Takumar 55mm F1.8」よりも全長が少し短いレンズです。フィルター径はどちらも49mmですので筐体の太さはほぼ同じです。
重量も152gと軽く、「Super Takumar 55mm F1.8」よりも50gほど軽いレンズです。F3.5という無理のないレンズ設計の採用により小型軽量化されているのがよく分かります。
今回「Super takumar 35mm F3.5」を使用して撮影するにあたって、カメラはソニーα7R IIIに焦点工房のマウントアダプター「K&F Concept KF-42E.P」(M42マウントレンズ → ソニーEマウント変換)を使っています。このマウントアダプターは実売価格で4,000円を切るお手頃な価格で入手できるマウントアダプターです。
また、α6400にはマウントアダプター「TECHART LM-EA7」と「K&F Concept KF-42M2」を合わせて使用し撮影をしています。
※オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、こちらの記事をご参照下さい。
「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」
https://www.kitamura.jp/shasha/article/483200571/
Super takumar 35mm F3.5で都内をスナップ
まずはフルサイズ機のα7R IIIに「Super takumar 35mm F3.5」を装着して、お散歩がてら都内を散策しながらスナップ撮影をしてみました。左上にゴーストが発生した写真になりますが、「Super takumar 35mm F3.5」は絞り羽根の枚数が5枚なので、その影響で五角形の形で発生しています。
きれいな花手水を見つけたので撮ってみましたが、ディテールもしっかりとしていて発色も豊かに撮れていて、とても50年も前のレンズで撮ったと思えないぐらいです。
普段こういったシーンで絞りを開放で撮ることはないのですが、周辺光量落ちがどの程度発生するか確認するために絞り開放で撮影をしてみました。かなり周辺光量落ちは激しく発生し、周辺の像も流れています。遠景を撮影する際には、しっかりと絞って撮影をした方がいいレンズです。
焦点距離35mmで開放絞りF3.5というレンズなので大きなボケを得る事はできませんが、近接撮影を活かした撮影では適度なボケを表現する事も可能です。ただ最短撮影距離が0.45mなので、今どきの焦点距離35mmのレンズに比べると寄れないレンズになります。
この写真は別の日に撮影したものですが、絞りF11で撮影したものになります。周辺光量落ちも解消され非常にシャープな描写をしています。
小さく軽量なレンズは、スナップ撮影においてはとても使いやすいレンズです。オールドレンズらしく絞りを開けて撮影すれば、周辺光量落ちやハレーションなど楽しむこともでき、絞れば現代のレンズにも劣らないシャープな解像をします。
「Super takumar 35mm F3.5」は、「Super Takumar 55mm F1.8」同等のコストパフォーマンスの高いレンズです。
Super takumar 35mm F3.5をAPS-Cカメラで撮影
「Super takumar 35mm F3.5」をAPS-C機のソニーα6400に装着して撮影してみました。APS-C機で使用することによって焦点距離が52mm相当になり、標準レンズ的な感じで使用できます。「Super Takumar 55mm F1.8」をAPS-C機で使用すると中望遠になってしまうので、APS-C機でオールドレンズを使用する方には「Super takumar 35mm F3.5」はスナップ撮影に使い勝手のいい焦点距離だと思います。
また、APS-C機で使用すればレンズの周辺光量落ちする部分を使用しない為、絞り開放で撮影して周辺光量落ちの影響が少なくなります。下の写真は、先に紹介したフルサイズ機で撮影した場所で同じ条件でAPS-C機で使用したものになります。周辺光量落ちがする部分がカットされているのが分かると思います。
気になったモノを切り取って撮影するには、ちょうど良い焦点距離です。
絞り開放で撮影しても周辺の光量落ちは目立たなくなり、前景もしっかりボケてくれます。
フルサイズ機に比べてAPS-C機ではレンズ周辺部を使っていないので、α6400で撮影した写真はフルサイズ機に比べて周辺部もシャープです。
まとめ
「Super takumar 35mm F3.5」は、フルサイズ機でもAPS-C機でも使いやすいオールドレンズです。レンズが非常に小型なので、メインで使用しても良いですし他のレンズのサブに持ち歩いても邪魔にならないレンズです。
今まで紹介した「Super Takumar 55mm F1.8」、「SMC Takumar 105mm F2.8」などのレンズと一緒に持ち歩いても苦にならない重さと大きさはスナップ撮影の強い味方です。
特にAPS-C機のユーザーでオールドレンズを楽しんでみたい方には、手頃な価格で始める事ができるオールドレンズではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
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