【オールドレンズ】ニコンおもしろレンズ工房「ぎょぎょっと20」で楽しい魚眼風撮影

坂井田富三
【オールドレンズ】ニコンおもしろレンズ工房「ぎょぎょっと20」で楽しい魚眼風撮影

はじめに

今回紹介するのは、ちょっと風変りなレンズ「AMUSING LENSES ニコンおもしろレンズ工房ー体験レンズセット」です。1995年にニコンから発売されたこのレンズセットは、「ぎょぎょっと20」・「ぐぐっとマクロ / ふわっとソフト」・「どどっと400」の3本セットで構成されています。ネーミングも遊び心満載のレンズセットですが、魚眼風の超広角、1本で2役のマクロとソフトフォーカス、そして迫力の望遠の3本は発売当時の2万円弱の価格を考えるとそのコストパフォーマンスも高く、当時とても人気があったレンズです。当初は5000セット限定で発売されたようですが、2000年に外観の一部を変更して再販されています。

今回は、ニコン「おもしろレンズ工房」の中の「ぎょぎょっと20」をピックアップして特徴とその写りをご紹介します。

 

発売当時のカタログ

ニコン「おもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20」の魅力

今回、ニコン「おもしろレンズ工房」からピックアップした「ぎょぎょっと20」は魚眼風の超広角レンズ。魚眼風と言っているのは、画角が対角線180°には及ばず153°になっているからです。とは言え画角153°はとても魅力ある画角です。このレンズの特徴である魚眼風な大きな歪みを低価格で楽しめる面白いレンズになっています。

ただ低価格にする為に通常のレンズにはあるものが無かったりします。一つは絞りリング。このレンズには絞りリングは無く、F8固定になります。フイルムカメラでは少々扱いにくかったかも知れませんが、デジタルカメラで使用する分には、ISO感度を変えることでシャッター速度の調整も可能なので、それほど大きな問題にはなりません。もう一つはピント。このレンズにはピントリングもないのです。したがって「ぎょぎょっと20」はカメラに装着して撮影する際に絞り操作もピント合わせ操作もできないレンズなんです。

最短撮影距離が約1m(ピント位置1.6m)の固定なので、魚眼レンズの特徴でもある寄って撮る事ができないのは残念ですが、1m以上被写体から離れて撮る事さえ気をつければ歪みを存分に楽しめるレンズです。

▼ニコン「おもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)」の基本的なスペック

焦点距離 20mm
最短撮影距離 約1m(ピント位置1.6m)固定
絞り F8固定
レンズ構成 2群3枚
画角 約153°
マウント ニコンFマウント
重量 約235g
大きさ 約65mm(最大径)x約68m(長さ)
発売 1995年
レンズの筐体は金属製でしっかりとした造り、絞りリングもピントリングも無し
筐体は金属製だが、マウント部はプラスチック製

ニコン「ぎょぎょっと20」は、Fマウントで発売されていました。今回はソニーα7R IVに、焦点工房のマウントアダプター「K&F Concept Nikon-NEX」(ニコンFマウントレンズ → ソニーEマウント変換)を使用して撮影をしました。このマウントアダプターは実売価格で4,000円程度で入手できる商品です。

オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、基本的にはこちらの記事をご参照してみてください。

ニコン「おもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20」で小江戸川越をスナップ撮影

■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用

「ぎょぎょっと20」を持って小江戸情緒溢れる川越の町並みを散策しながら撮影をしてみました。ソニーα7R IVに装着しての撮影ですが、絞りリングもピントリングも無いのがとても違和感を感じてしまい、当初は撮影に戸惑うことも(笑)。気持ち的には「写ルンです」で撮影している感じに近いです。

歪みを楽しむために試行錯誤しながら被写体探しをするのは、少し新鮮な感じです。中心部は非常にシャープですが、やはり周辺部は解像度の低下がみられます。絞りのコントロールもできないレンズなので、フルサイズのカメラで使用する場合は、この周辺部の甘さは受け入れるしかないようです。APS-C機で使用した場合は画角が変わってきますが、周辺部はカットされるので解像度の低下は気にならない範囲になるかもしれません。

■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/800 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/800 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF8 ISO800 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用

撮影していて感じた事は、やはり最短撮影距離の長さが一番気になりました。もっと寄って撮影できたらな~と感じる事がとても多くありました。この問題点を解決するには、ヘリコイド機能付きのマウントアダプターを用意すれば対応は可能だと思います。少しマウントアダプターとしては高価になりますが、対応できるマウントアダプター「KIPON N/G-S/E M (N/G-NEX M)」はあるようです。

ニコン「おもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20」で屋内撮影

次に電車で移動し、撮影場所を屋内に移して撮影をしてみました。発売された当初(1995年)はフイルムカメラでの使用が前提になるので、フィルムカメラではこの「ぎょぎょっと20」レンズで室内撮影は難しかったと思います。デジタルカメラを使うことで、「ぎょぎょっと20」も室内撮影などの暗いシーンでもISO感度を上げる事とカメラボディの手ブレ補正効果もあって、気兼ねなく撮影が楽しめるアイテムに変わっています。

■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R IV + ぎょぎょっと20(Fisheye Type 20mm F8)
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF8 ISO6400 焦点距離20mm
※マウントアダプター焦点工房使用

ISO感度を上げられる事とボディ内手ブレ補正効果もあって、室内撮影も十分に楽しむ事ができる事できます。直線的なモノが多い室内の撮影は、「ぎょぎょっと20」の魚眼風歪みを楽しむのにピッタリの被写体になります。

まとめ

今回は「ぎょぎょっと20」を紹介しましたが、ニコン「AMUSING LENSES ニコンおもしろレンズ工房ー体験レンズセット」は中古市場では、セットでおおよそ1万円程度で取引されているものが多いようです。4つの画角や効果が楽しめるユニークなレンズセットなので、とってもお得に写真を楽しめるのではないでしょうか。見つけたらぜひ手に入れて欲しいアイテムです。

機会があれば、他のレンズ「ぐぐっとマクロ/ふわっとソフト」、「どどっと400」の写りなども紹介したいと思います。それにしても遊び心のあるネーミングですね。

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師

 

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