ふたご座流星群2023 迫る!流星の撮影方法まとめ

成澤広幸
ふたご座流星群2023 迫る!流星の撮影方法まとめ

はじめに

一年を締めくくるイベントと言っても良いでしょう、毎年12月中旬に楽しむことができる天文現象「ふたご座流星群」。流星群と一言で言っても流星が多く見られるものとそうでないものがある中で、ふたご座流星群は最も外さない流星群のひとつだと言えます。

また、定量の流星が楽しめるわけではなく、毎回流星の数が変わってくるのですが、国立天文台の情報によると2023年は稀に見る当たり年であると発表がありました。今年はかなり流星の量に期待が持てるようです!この記事ではふたご座流星群に向けて、撮影方法をご紹介します。

ふたご座流星群を楽しめる時期

2023年のふたご座流星群の極大日は、12月15日4時。深夜なので時間を間違えないように注意しましょう。月明かりがあると観察できる流星群の数が減ってしまうのですが、月が一晩中昇ってこない新月にあたる日が12月13日ということで、条件は最良。

そして前述の通り、予想流星数はここ数年のうちでは最も多い予報。これはまさに絶好の観察条件と言えるでしょう!12月13~15日の3夜に渡り流星が楽しめる予報となっています。

さらに詳細を知りたい方はこちらの動画をご覧ください。

ふたご座はどこにある?目印となるオリオン座を見つけよう!

■撮影機材:FUJIFILM X-T3 + XF35mmF2 R WR
■撮影設定:ISO8000,f2,SS5.6秒
■フィルター:Kenko ハーフプロソフトンA
Photoshop CCで画像処理

流星の射出ポイント(放射点、輻射点)はふたご座付近にあります。ふたご座はオリオン座の左上にある、とざっくり覚えておきましょう。ふたご座の形はわからなくてもオリオン座の形はわかる人が多いはず!そして時間帯によってレンズを向ける方角が変わってくることも覚えておきましょう。

▼ふたご座の位置:20時-東

▼ふたご座の位置:23時-南東

▼ふたご座の位置:2時-南西

実際の星景写真に、ふたご座の位置と方角を記載しました。20時に東、23時に南東、2時に南西という感じです。ふたご座流星群の特徴は夜早い時間帯から放射点が高く上がってくるため、一晩中観察できることです。また、放射点の高度が非常に高い位置になるため、上から矢が降ってくるような流星が楽しめるのもポイントです。

ふたご座を中心に流れますが、空のどこを流れてもおかしくないのが流星群です。離れたところで流れる可能性もあるので、複数のカメラをいろいろな場所に設置して撮影ができると撮れ高があがります。

■撮影機材:RICOH GR + ワイドコンバージョンレンズ GW-1
■撮影設定:ISO3200,f2.8,SS8秒
17枚をSequatorで加算平均合成。流星部分を比較明合成処理
Photoshop CCで画像処理

星景写真の撮影方法をおさらい

撮影はMモードで、そして写真はピントと露出が命!その二つが正しく設定されていれば、まずは写真として成り立ちます。Don’t make a mistake!

1.ピント

液晶モニターで光源を拡大し、マニュアルフォーカスで無限遠にピントを合わせましょう。基本は星にピントを合わせますが、やりにくければ遠くの街灯でもOK。例えば超広角レンズであれば、10m先くらいにライトを置いてそこにピントを合わせても無限遠に合わせるのと同じことになります。マニュアルフォーカスの切り替えとピント合わせ、液晶モニターの拡大方法を予習しておきましょう。

ピント合わせ、モニター拡大の様子はこちらの動画を参考にしてみてください。

動画はLUMIX S5での例ですが、ソニーのブライトモニタリングやニコンのスターライトビュー、富士フイルムの低照度優先など、液晶モニターのブースト機能があるカメラであれば構図の確認もしやすくなるでしょう。Fn設定などに割り振って一発で呼び出せるようにしておくことをおすすめします。

2.露出

暗闇の中では、目が暗闇に慣れてしまうため昼間の感覚で明るさを感じることができません。そのため露出をミスしてしまうのが星空撮影の罠。一枚撮影したら、必ずカメラ内で撮影画像を撮影してヒストグラムを表示しましょう。ヒストグラムの表示の仕方はメーカーによって変わるので必ず予習をしておくこと!

ヒストグラムを確認して、左のような感じならどれだけ自分の目で適正露出に見えても家に帰ってからがっかりするパターンです。もっと明るく撮影して右のようなヒストグラムになるように設定しましょう。

また、f値は可能な限り明るいのがベター。f2.8よりはf1.8やf1.4のほうが有利です。流星は同じ明るさで流れるわけではなく、明るいものもあれば暗いものもあります。ですのでレンズの単純な集光力=f値が決め手となります。物理的に光をより多く届けられるよう、f値の明るいレンズを使用したいところですね。

3.焦点距離

どこに流れるかわからない流星群ですから、なるべく広く撮りたい。24mmよりもワイドな超広角レンズや魚眼レンズ、円周魚眼レンズで空全部を撮影するのも良いでしょう。

大きな流星が出現するのがベストですが、ワイドになればなるほど写る流星も小さくなります。標準レンズくらいになると小さな流星も大きく写すことができますが、構図内に捉えることが難しくなってきます。こりゃほんとにカメラが足りませんね…!!

流星群の撮影方法

流星はいつどこに流れるかわかりません。そのため、放射点を構図の中に入れたら、ただひたすら連写あるのみ!

連写方法:インターバル撮影

撮影間隔を最も短い設定にしましょう。カメラメーカーによって、露出をインターバルタイムに含む場合と、含まない場合があります。画面はニコンのインターバル撮影設定画面の例ですが(実際に流星群を撮影する目的での設定ではありません)、ニコンは露出をインターバルタイムに含むので、Mモードで露出を15秒、撮影間隔を17秒にすると2秒おきに撮影をすることになります。撮影から次の撮影に移るインターバルが1秒になるよう設定しましょう。

連写方法:連写モードにしてレリーズロック

これが最もインターバルタイムが短くなるので一番おすすめ。強制的にレリーズを切らせることで撮影間隔を最短にするので、いつ流星が流れても大丈夫!

撮影中にレリーズがぶらぶらしていると露出中にブレてしまう可能性があるため、撮影の際はレリーズをしっかりと固定しましょう。ケンコーから発売されている「三脚グリップ&レリーズホルダー」を使えばレリーズの収納が簡単(画像左)、100円ショップなどで販売されているマジックテープで固定しても良いですね(画像右)。

【左】レリーズホルダーで固定 【右】マジックテープで固定

撮影を開始したら、あとはカメラを放置。時間とメモリーカードの容量が許す限り撮影をしましょう。撮影画像のどれかに大きな流星が写り込むことを祈りましょう。

レンズヒーターは必ず用意しよう!!

カメラを長時間放置する流星群の撮影では、レンズの結露は絶対に防止したいところ。撮影時は必ずレンズヒーターを撒きましょう。ピント位置が変わらないよう、ピントを合わせたらテープで固定するなどしてフォーカスリングが動かないようにするのがおすすめです。

また、必ずレンズの前玉が温まるようにレンズヒーターはフード付近に巻きましょう。このとき、フードからレンズヒーターがはみ出してケラレが発生しないように注意すること。

▼失敗写真の例

流星の見分け方

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 20mm f/1.8 S
■撮影設定:ISO3200,f1.8,SS15秒
JPEG撮って出し

中央やや左の緑がかった線が流星、中央の二重の点線は飛行機、中央下の点線も飛行機です。前後の写真を見て、一枚にしか写ってなければ流星とみなしてよいでしょう。

撮影画像をチェックすると、意外にも流星っぽいのがたくさんあることに気づくでしょう。流星は細い線から太くなったり、色がついたりしています(長い流星は“ネギ”なんて言われてます)。点線は飛行機で、細さの変わらない直線は人工衛星です。撮影画像はタイムラプスにしたり、“流星雨”の表現に合成してみるのも良いでしょう。

私のYouTubeチャンネルでは流星雨の表現方法も解説しています(Part.2ではTOP画像の処理を解説しています)。


以上が流星群の撮影方法まとめになります。大きな流星をゲットできることを祈っております!

 

 

■写真家:成澤広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスクリエイター。全国各地で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで執筆を担当。写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしても活動している。
・著書「成澤広幸の星空撮影塾」「成澤広幸の星空撮影地105選」「プロが教えるタイムラプス撮影の教科書」「成澤広幸の星空撮影塾 決定版」「星空写真撮影ハンドブック」
・月刊「天文ガイド」にて「星空撮影QUCIKガイド」を連載中
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)正会員

 

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