Insta360 Ace Pro 2|ライカSUMMARITレンズを搭載した8Kアクションカメラ

はじめに
今回は2024年10月に発売されたアクションカメラ「Insta360 Ace Pro 2」を購入したので、早速いろいろなシチュエーションで撮影してみました。筆者がアクションカメラを使う主な用途は、プライベートでのバイクツーリングです。直近までは4年ほど前に購入したGoPro「HERO9 BLACK」を使用していましたが、そろそろ新しいのが欲しくなってきていろいろな機種を検討した結果、「Insta360 Ace Pro 2」を購入しました。購入の決め手になったのは「フリップ式の液晶」、「液晶の見やすさ」、「ライカSUMMARITレンズ」とバイクで撮影する際の「風切り音の軽減」です。実際にいろいろなシチュエーションで撮影をしてみたので、アクションカメラを検討している方の参考になればと思います。
Insta360 Ace Pro 2 のスペックと特徴

「Insta360 Ace Pro 2」を実際に手にしてみると、フリップ式の液晶の影響等もあると思いますがアクションカメラとしては少し大きいサイズだと感じました。しかしサイズ感以上にフリップ式の大きい液晶画面は見やすく、操作もしやすいのが大きなメリットです。

またマグネット式のマウントシステムなので、カメラを簡単に自撮り棒などにマウントしたり、アクセサリーをシームレスに交換したりすることができ、非常に利便性が高いシステムになっています。

そういった便利さや操作のしやすさに、ライカカメラ社と共同開発した「スーパー・ズマリット」レンズを搭載しているところに、一層興味をそそられます。

「Insta360 Ace Pro 2」の基本的なスペック
サイズ | 71.9×52.2×38mm |
重量 | 177.2g |
ディスプレイ | 2.5インチフリップ式、タッチスクリーン |
バッテリー容量 | 1800mAh |
動作可能時間 | 180分 ※室温25°Cのラボ環境にて、耐久モードでアクティブHDRオフの1080p24fps動画 バッテリーの持続時間は条件によって異なります。 |
充電時間 | 47分(30W急速充電アダプター使用時)、75分 (5V/3A) |
入出力ポート | 内蔵ストレージなし。最大1TBのmicroSDカードに対応 |
USB | USB Type-Cポート |
センサー | 1/1.3インチ 8Kセンサー |
レンズ | 焦点距離13mm(35mm判換算) |
画角 | 最大157度 |
F値 | F2.6 |
ISO感度 | 100-6400 |
電子シャッター速度 | 写真: 1/8000 – 120秒 動画: 1/8000 – フレームレートの逆数 |
カラープロファイル | I-Log、標準、鮮やか、Leicaビビッド、Leicaナチュラル、ポートレート、フィルム、ヴィンテージ、都会、夜景 |
最大静止画サイズ | 8192×6144pixel(約5000万画素) |
静止画撮影モード | 写真、HDR写真、インターバル撮影、バースト写真、スターラプス |
静止画フォーマット | JPG、DNG RAW |
動画撮影解像度 | ■動画 8K (16:9) : 7680×4320@30/25/24fps 8K (2.35:1) : 7680×3272@30/25/24fps 4K (4:3) : 3840×2880@60/50/48/30/25/24fps 4K (16:9) : 3840×2160@120/100/60/50/48/30/25/24fps 4K (2.35:1) : 3840×1632@120/100/60/50/48/30/25/24fps 2.7K (4:3) : 2688×2016@60/50/48/30/25/24fps 2.7K (16:9) : 2688×1520@120/100/60/50/48/30/25/24fps 1440p (4:3) : 1920×1440@60/50/48/30/25/24fps 1080p (16:9):1920×1080@240/200/120/100/60/50/48/30/25/24fps ■PureVideo ■FreeFrame動画 ■スローモーション |
動画撮影モード | 動画(カメラ内アクティブHDR)、FreeFrame動画、PureVideo、スローモーション、タイムラプス、タイムシフト、スターラプス、ループ録画、ダッシュカム、プリ録画 |
最大ビデオビットレート | 180Mbps |
動画フォーマット | H.264, H.265 |
音声フォーマット | 48 kHz, 16-bit, AAC |

「Insta360 Ace Pro 2」の1/1.3インチ8Kセンサーは、13.5段のダイナミックレンジ、2.4μm相当のピクセルサイズで、「4K60fpsのアクティブHDR」と「8K30fps」の動画をサポートします。実際には「8K30fps」で撮影する事は少ない人の方が多いと思いますが、「8K」まで対応している事によって「4K」撮影している時に画質を落とさない2倍にズーム「4Kクラリティズーム」が使え、撮影のバリエーションを広げてくれます。

上:通常 下:2倍ズーム「4Kクラリティズーム」
ライカSUMMARITレンズの画角は157度ですが、シチュエーションに応じて調整することができます。撮影するモードで一部選択できるモードが限られますが、アクション広角、ナチュラル広角(MEGA)、超広角(ULTRA)、デワープ、リニア、45度水平維持、360度水平維持など調整が可能になっていています。


アクション広角 | アクションビューは空間を圧縮して没入感のある一人称視点で撮影します。スキーやサイクリングなどに適しています。 |
ナチュラル広角(MEGA) | 街並みに最適で、広い視野で歪みを最小限に抑えた自然な景観を提供します。 |
超広角(ULTRA) | 超広角FOVは、登山やハイキングなどのアウトドアスポーツのように広角撮影が必要なシーンに適しています。 |
デワープ | デワープの広角FOVは歪みが極めて少ないので、スキーやVlogなどの撮影に適しています。 |
リニア | リニアは自然な広角ビューで歪みがないので、Vlog撮影に適しています。 |
45度水平維持 | カメラを左右に45度傾けても映像は水平を維持します。 |
360度水平維持 | カメラを左右に360度回転させても映像は水平を保ちます。 |
「Insta360 Ace Pro 2」には9個のカラープロファイルが装備されていますが、特に特徴的なものとして、「LEICA NAT」と「LEICA VIV」の専用ライカカラープロファイルが搭載されています。ライカレンズとこのカラープロファイルの組み合わせは、「Insta360 Ace Pro 2」の大きな魅力の一つです。また専用カラープロファイルのほかに「I-Log モード」も用意されているので、撮影後に色補正・カラーグレーディングなどの対応も可能です。


標準 | 中彩度で、日常的なシーンに適しています |
鮮やか | 豊かで鮮やかな色彩で、映画のようなシーンに適しています |
LEICA NAT | 低彩度と高コントラストで象徴的な美しさを表現します。都会での写真、建築物、光と影がはっきりしたシーンに適しています |
LEICA VIV | 彩度と輝度が高く、豊かでカラフルなショットでシーンの暖かさを引き立てます。家族、静物、カラフルなシーンに適しています |
ポートレート | 低コントラストのコールドホワイト調で、ポートレート撮影や日常生活のVlog撮影に適しています |
映画 | ブルーグリーンのクラシックな色調で、ストリート写真や日常生活のVlog撮影に適しています |
ヴィンテージ | イエローグリーンのレトロ調で、野外活動や日常生活のVlog撮影に適しています |
アーバン | 温かみのあるレトロな色調で、日常生活のVlog撮影に適しています |
ナイト | 高コントラストなグリーン・オレンジの色調で、ブルートーンのストリートシーンや野外でのナイトシーンに適しています |
「Insta360 Ace Pro 2」は様々な設定を簡単に液晶画面で変更できますが、大きな「2.5インチフリップ式液晶」のおかげでスムーズに設定変更が可能で非常に扱いやすくなっています。操作性においては申し分のないアクションカメラです。
Insta360 Ace Pro 2での静止画撮影

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144
本来は動画撮影をメインに扱うカメラだとは思いますが、静止画撮影がどの程度なのか非常に興味があるので撮影してみました。撮影はAUTOでカメラ任せにして撮影をしてみました。
静止画撮影のファイル設定は、「JPG」、「PureShot」、「PureShot+RAW」の3パターンの設定が可能です。「PureShot」は、AIを利用して写真のダイナミックレンジを拡張すると同時にノイズを低減してディテールを残すモードで拡張子はJPGになります。「PureShot+RAW」のRAWデータの拡張子は「DNG」形式になります。
撮影可能な解像度と使える機能の有無は下記のようになります。
5000万画素 (8192×6144) | 4:3 | X | X |
3700万画素 (8192×4608) | 16:9 | X | X |
1250万画素 (4096×3072) | 4:3 | 〇 | 〇 |
900万画素 (4096×2304) | 16:9 | 〇 | 〇 |
設定する解像度で使える機能が少し変わります。5000万画素・3700万画素の高画素設定の場合には、HDR機能と2倍ズームになる「クラリティズーム」を使用することができません。
HDR機能や2倍ズームなどを使用して、「JPG」で気軽にスナップ撮影したい場合には1250万画素の設定がおすすめになります。RAWで撮影するユーザーであれば、5000万画素での撮影をして現像ソフトを活用してRAW現像した方が、好みの仕上がりに調整できるのでおすすめです。
AUTO撮影以外にマニュアル設定も可能ですが、基本はAUTO設定で十分に撮影できます。
下の2枚の写真は「PureShot+RAW」で撮影したもので、1枚目は「PureShot」・2枚目は「RAW」を自分好みに調整したものになります。

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※PureShot

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※RAW現像
気楽に撮ってだしのJPGで楽しむ事も出来ますが、全体的にアクションカメラ特有の描写が強い傾向にあります。一方、RAWデータ撮影ではアクションカメラの機動性を損なわずに撮影でき自分ごのみに仕上げることができます。

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※PureShot

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※PureShot

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※PureShot

焦点距離4mm(35mm判換算13mm)ピクセル数 8192×6144 ※PureShot
普段のミラーレスカメラの標準レンズでは味わえない35mm換算13mmの超広角撮影は、非常に新鮮で普段使いのカメラのサブ機にワイド撮影専用として使用すると撮影の幅が広がるのではないでしょうか。
ただシャッターボタンはアクションカメラなので押し込まないとシャッター操作ができません。ですので、液晶画面上のシャッターボタンを活用する方がブレ防止の観点でも有効です。
「Insta360 Ace Pro 2」でできる様々な動画撮影

ここからは本命の動画撮影です。筆者の場合、目的がバイクにアクションカメラを搭載してツーリングでの撮影がメインです。特に今回の購入のポイントにもなった風切り音の軽減ですが、非常に満足度が高く、以前に使用していた他のアクションカメラとは一線を画すレベルです。
下の動画は「Insta360 Ace Pro 2」をバイクのハンドルに装着して、風の強い日にレインボーブリッジを走行したものになります。風切り音は抑えられており、まるで車の車内から撮影をしているかのように感じます。

次の動画は、「Insta360 Ace Pro 2」を自撮り棒スティックに装着して砂浜を歩いて撮影したものになります。ジンバルを搭載したカメラに比べてしまうと上下のブレの動きが少し気になってしまいますが、それでも非常によくコントロールされており満足度は高いと思います。
次は自撮り棒を伸ばして、カメラを逆さまにした状態で地面近くのアングルにして走って撮影をしてみました。「Insta360 Ace Pro 2」はカメラを逆さますると自動的に撮影映像も反転してくれるので、撮影の自由度が高くローアングルでの撮影も簡単に行えます。
「Insta360 Ace Pro 2」は、スローモーション撮影も可能です。4K・2.7Kであれば4倍スローモーション、1080Pであれば8倍のスローモーション撮影が可能になっています。スローモーション撮影の場合には音声は記録されませんが、印象的な映像撮影を楽しむ事ができます。
次の動画は個人的に一番好きなモードの「タイムシフト」です。「タイムシフト」モードはコマ撮りしたものが動画になるモードです。「Insta360 Ace Pro 2」では、4K30fpsの動画になりコマ撮りの間隔とかの細かい設定変更はありません。何気ない移動のタイミングや長時間の移動をするタイミングなどに使用すると面白い映像を撮ることができます。
「Insta360 Ace Pro 2」が、従来の「Insta360 Ace Pro」から進化したポイントの一つとして低照度撮影「PureVideo」モードの搭載による暗所での撮影映像が非常に良くなったポイントとしてあげられます。実際に夜の丸の内を自撮り棒に装着して歩いて撮影してみましたが、明るく撮影することができています。またフリップ式の大型液晶画面で撮影範囲全体を確認しながら自撮り撮影できるのは「Insta360 Ace Pro」のもう一つの魅力だと感じています。
その他の撮影モードとしては「タイムラプス」や「スターラプス」などのモードもあり、長時間のコマ撮り撮影が可能なモードも搭載。
「タイムラプス」モードでは、インターバル撮影間隔を「0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、30秒、60秒、120秒」の設定変更が可能になっています。
「スターラプス」モードは、出来上がった映像がタイムラプスと近いものになりますが、こちらは複数枚の写真を撮影して自動的に統合してスターラプス効果を作りあげる手法で、撮影後コマ撮りした「静止画」とそれを統合した「動画」の両方が保存されます。

長時間インターバル撮影をする際には、バッテリーの使用時間が気になるところですが今回の撮影ではおおむね90分ほどバッテリーで撮影が可能でした。それ以上の長時間撮影する際には、モバイルバッテリーをUSB接続して外部バッテリーとして使用することで長時間撮影が可能になります。
様々な撮影方法がメニューの切り替えだけで簡単に可能なので、誰でも直感的な操作で撮影を楽しむ事ができるアクションカメラで非常に満足度の高いカメラです。
Insta360スマホアプリで簡単編集

「Insta360 Ace Pro 2」で撮影したデータをより楽しむのには、「Insta360」のスマホアプリを活用します。パソコン用アプリも用意されていますが、スマホアプリのAiを使用した自動編集を活用することで誰でも簡単にクリエイティブな動画編集が可能です。
1、専用スマホアプリと「Insta360 Ace Pro 2」
2、自動編集をタップ
3、編集したい画像をピックアップするとAiで内容を解析して自動編集
4、テンプレートをセレクトして大まかな編集調整
5、編集を選んでタイトルやエフェクト、順番や採用する映像部分の調整
6、編集完了した映像をスマホに書き出し
こんな手順で撮影後にスマホで簡単にショートムービーを作成して素早くSNSなどにアップする事が可能です。
下の3つの動画は、実際にスマホアプリでテンプレートを使用して簡単に編集した動画になります。
編集した動画の出力は、ある程度のカスタムが可能になっています。デフォルトでは出力解像度が1080P/30FPSになっていますが、4K出力に変更することもできます。
また今回の作った動画にInsta360のウォーターマークを入れていますが、ウォーターマークを入れない設定も可能です。
まとめ
「Insta360 Ace Pro 2」は動画アクションカメラですが、ライカレンズを搭載した日常のスナップ撮影もこなせる優秀なカメラです。小型なのでバックに入れておいてもかさばらないのが大きな魅力です。最近では筆者も「Insta360 Ace Pro 2」を必ず持ち歩くようになっていて欠かせないアイテムの一つになっています。今回の動画撮影にはありませんが、スマホ動画のような縦位置動画撮影も簡単にできるので、縦位置動画撮影ユーザーも快適に扱えるカメラです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師