SG-image 50mm F1.8 ファントムレンズ|ハート、雪、オーバル、星ボケを自由に変えられるユニークレンズ!
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はじめに
2024年10月に発売された、SG-image(エス・ジー・イメージ)のフルサイズ対応交換レンズ「50mm F1.8 ファントムレンズ」は、世界初(発売日時点)の、形状可変絞りを備えたMFのレンズです。
絞りプレートによって、物理的にボケの形を変えられるこのユニークなレンズを、ポートレートやスナップを交えてレビューいたします。
イルミネーション背景の王道ポートレート
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO6400 AWB
本レンズは普通のレンズにはある絞り羽根がなく、その代わりにハート、雪、オーバル(楕円)、星の4種類の絞りプレートが内蔵されています。鏡筒のリングを回すことによって、通常なら丸ボケで表現されるような被写体を、4種類の形のボケにすることができます。
フィルターや現像ソフトなどを使わず、レンズの前にハートや星などの切り抜きをかざすかのように、物理的にボケの形を変える思い切った構造はなかなか斬新で、撮影者として色々な被写体にチャレンジしたい欲を煽られました。
王道のイルミネーション背景のポートレートは、ハートと星の形がとても似合いました。よく見ると、ボケている奥の目や、左手の指のネイルの反射もハート型になっていて、「こんなところまでハートが!」と、モデルさんと盛り上がりました。
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO6400 AWB
MFのレンズなので、ピント位置は手動で調整します。ボケをなるべく大きくするには、ピントを合わせる被写体はなるべく近く、ボカしたいモノはそこから遠ざけるほうが効果が高いので、ピントを合わせたい被写体との距離は、最短撮影距離の0.5mから、離れても0.7mくらいを目安にするとちょうど良かったです。
こちらの星ボケの写真は、ピアスの反射のキラキラも星型になっています。そんなふうに、小さい星ボケを探すのも楽しかったです。
通常のポートレート撮影も楽しいレンズ
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO250 AWB
わかりやすいイルミネーション背景もいいのですが、ぜひ撮ってみていただきたいのが、普通のMFレンズとして撮影するポートレートです。35mm判換算で50mmの画角は、街なかでのポートレートで使いやすく、モデルさんと離れすぎることなく、全身の撮影も行えます。
本レンズのレンズ構成は、高屈折レンズ3枚を含む5群7枚で、絞りは羽根がないのでF1.8固定となっています。とてもシンプルな構成のため、カリカリしすぎない、優しい描写の画を生み出してくれます。オールドレンズ好きの方は、絞りが何型であろうとも楽しめると思いますよ。
でもこっそりと、遠くにあるお店の照明が星型にボケている・・・なんて、隠し味を加えることができるのが、このレンズの醍醐味でしょう。
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO160 AWB
ハート、星、雪の個性的な形状に押されがちなオーバルですが、この楕円の形状は、他の形状よりも多く光を取り込むことができるので、一番明るく撮影できます。逆光が強いシーンや、暗い空の下などでは、この絞りプレートの使用をお勧めします。
でも、こちらもこっそりと、奥に写っている木の葉の間が、楕円状にボケています。通常の絞り羽根では、ここまで沢山の丸ボケは作り出せません。
手のひらサイズでコンパクト!
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO100 AWB
街なかの日中ポートレート撮影でしたら、夜のイルミネーション撮影と違って、モデルさんの顔を明るくするためのストロボなども必要なく、69mm×48mmのコンパクトなサイズを活かした、フットワークの軽い撮影が行えます。
たとえ小さな明かりでも、通常のレンズよりも光のボケを作り出しやすいので、お店などを背景にすると賑やかな、でもちょっと不思議な画を生み出してくれます。このレンズでポートレートを撮りたい方は、夜撮影にこだわらなくても、ちょっとした明かり探しをすると、より魅力的なシチュエーションに出会えるかもしれませんね。
暗いシチュエーションで遊ぶポイント
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■撮影環境:f/1.8 1/400秒 ISO800 AWB
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■撮影環境:f/1.8 1/320秒 ISO2000 AWB
夜もしくは暗い場所での撮影は、このレンズが得意とするシチュエーションと言えるでしょう。この撮影で遊ぶポイントは、ピントをわざとずらしてボケを大きくするか、前後に物があったり、遠くに光がある場所で撮影すると、小さいボケと大きなボケの両方を作り出せます。
水族館の入口で撮影した写真は、ピント位置を最短撮影距離に設定して、一番大きなボケを作り出しておき、出入りする人がちょうど良い場所に来たときに、シャッターを押しました。光るものは何でもハートのボケにしてくれるので、人と人の間の光も、ハートで描いてくれます。
金属製で高級感のある鏡筒
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO200 AWB
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO200 AWB
歩き回りながらのスナップ撮影でも、リングを回すだけで簡単に絞りを変えられるので、気軽に色々なボケの形を試せました。筆者が今回のスナップで一番しっくり来た形状は、星の絞りプレートでした。街なかにあっても不自然ではない、光の形だからでしょうか。
これだけ遊び要素満載のレンズですが、鏡筒は金属製で、ひんやりと冷たい質感と高級感のある重みを感じられます。筆者の好み的に、ピントリングの操作が多いMFのレンズは、鏡筒を触る頻度が高いので、ぜひ金属製であってほしいと思っています。その点でも大満足でした。
こんな被写体も・・・
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■撮影環境:f/1.8 1/200秒 ISO640 AWB
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■撮影環境:f/1.8 1/400秒 ISO800 AWB
最後に、遊べるレンズですので、色々遊んでしまいましょう!
上の写真は、沖縄で食べた海ぶどう丼です。お味噌汁のキラキラはわかりやすいと思いますが、拡大して見ると、丼の中の海ぶどうも雪形にキラキラしています。
モノクロのスナップは、歩きながら前を行く二人の間に、ちらっと光が見える瞬間にシャッターを切りました。中央の二人に目が行くように、こちらの写真だけ、現像時に少し周辺光量を落としています。
本レンズは、今回使用したニコンZマウントの他に、ソニーE、富士フイルムX、キヤノンRF、ライカL、マイクロフォーサーズと、幅広いマウントのラインナップですので、みなさんがお持ちのカメラで使用できる可能性も高いと思います。お財布に優しいお値段ということもあり、ふらっとポチってしまっても、楽しいと思いますよ!
■モデル:大城優紀
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。