未だ現役の一眼レフ機 キヤノン EOS 5D Mark IVの魅力

杉本優也
未だ現役の一眼レフ機 キヤノン EOS 5D Mark IVの魅力

はじめに

2016年の夏にキヤノンからEOS 5D Mark IVが発売されました。当時の記憶を遡ると秋にはすでに購入し手元にあったので、ほとんど発売と同時に手に入れたと言っていいと思います。

調べてみたところ2016年の9月8日に販売開始と書いてありました。十年一昔とはよく言ったもので、2025年ともなると市場はミラーレス機で溢れかえり、昔ながらの一眼レフカメラは販売店でも主役の座を奪われた印象です。しかし、日本が誇る技術力の素晴らしさはさすがです。購入してから一度も壊れることなく、未だに僕の現場を支える大切なカメラであり続けてくれています。

また、中古市場を見渡してもカメラとしては健康に機能するものが多く、充実したレンズ数と完成されたシステムで未だに高い人気を誇ります。友人からも、今だからこそレフ機を導入したいと言われて相談に乗ったりしていますので、今回その魅力を見直してみようかと思います。

中望遠レンズで撮影。変わった岩場の形と凪に近い海面と妻の写真。風景に馴染んでほしい撮影では自然に動いてもらってその中でシャッターを切る。ポージングや細かい指示を出すことはほとんどない。歩いてとか振り返ってと声をかけるくらい。
■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF135mm f/2L USM
■撮影環境:F2.0 1/1250秒 ISO100 WB 4800K

素通しで世界を見ることができるカメラ

僕は「現実の世界を見ながら写真を撮ること」が好きです。これはミラーレスのEVFにはない特徴です。最も違う点と言ってもいいと思っています。ファインダーを通してリアルな世界を見ることはEVFで撮影するよりも操作の面では手間が大きくなります。タッチパネルのように瞬間的にAFポイントを操作することもできないですし、EVFのように設定値をモニターに反映することもできません。しかし、それゆえにシャッターを切った瞬間、背面液晶に映しだされる世界にワクワクできるのが良いところだなと感じています。背面液晶を使えば設定を反映した画面も見ることができるので、使い分けができるのも便利なポイントです。

咄嗟に撮影したので設定が特殊。普段ならシャッタースピードを落としてISOを下げるが、この時は振り返った時に反応して撮影している。水平も出ていないが咄嗟感というのは整いすぎると薄れていくと思うので直さずそのまま。
■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF50mm f1.8 II
■撮影環境:F5.6 1/8000秒 ISO800 WB 5000K

実は高性能な一眼レフ

最近では一億画素というカメラも登場しています。その最新の画素と比べると10年も前のカメラは画素数が低いのでは?と思う方もいるかもしれませんが、このカメラは有効画素数がなんと約3040万画素です。またISOも割とガンガンあげることができます。解像感も良く、十分な性能を誇っています。この時代のカメラはもうすでに高性能でした。昔から写真を撮っている方はご存知かと思いますが、最初からカメラはミラーレスだったという方はもしかすると驚きかもしれません。今もプロが現場で使うカメラですから、性能や堅牢性については非常に安心感が持てます。

■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF40mm f/2.8 STM
■撮影環境:F8.0 1/320秒 ISO100 WB 5000K
ここまでトリミングしても線が綺麗。繊細な写りと諧調はすでに高水準で、今のカメラと比べても決して劣らない性能。画素数の高さもあり撮影後の自由度がとても高い。

背面液晶の色が抜群に良い

このカメラの最も気に入っている点です。現場で良い写真が撮れているという感触は何にも変え難いものです。この背面液晶の出力具合が絶妙に良く、テンションを上げてくれます。良い感じだと思って撮影に没頭できるので、結果として良い写真が撮れるんだと思っています。モニターの発色が良く肌も綺麗に見えるのでモデルに見せた時に喜んでもらいやすく、ポートレートにおいては非常に重要な要素になっていると感じています。

おすすめは背面液晶の輝度を最大にしておくことです。これは文章だととっても伝わりにくいのですが、本当に良い色と明るさでテンションが上がるので是非一度手に取ってみてください。手放せなくなります。撮影モードの調整などで細かく色味や色の濃さを調整できるので、自分の好みの背面液晶にしておけば楽しく撮影ができます。

桜と妻。なぜか風船を撮りたいというので買ってきて撮影。現像耐性も高いのでLightroomなどで好きな世界観を表現できる。
■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF50mm f1.8 II
■撮影環境:F1.8 1/2000秒 ISO100 WB 4700K

圧倒的な堅牢性

公式のページにもありますが、非常に高い防塵防滴性能を誇ります。
10年も使っているとそれなりに過酷なシーンも体験してきたのですが、今の所不調になったことは一度もありません。今のミラーレス機も高い堅牢性を持っていると思うのですが、どうしてもこの時代のカメラの方が丈夫だろうという思いが抜けないので僕は未だに雨の日や風の強い日、雪での撮影などではこのカメラを持ち出してしまいます。実際に防塵防滴性能を数字化して測定するのはとても難しいと思うのであくまで主観ですが、こういった信頼性も僕がこのカメラを好む理由の一つです。

カメラ然とした見た目

なんと言ってもこの見た目です。かっこいいんですよね。これだけでテンションが上がってきます。いかにもカメラといった印象です。個人的にミラーレスのデザインが嫌いと思ったことは一度も無いのですが、やはりこの世代のカメラはかっこいいなと思います。長年の愛用で塗装が剥げている箇所や傷も多いのですが、今回紹介するにあたりなるべく綺麗に見えるようにしました。まだまだ現役です。

重さと大きさはある

これはもうミラーレス機には敵わないです。大きいし重いです。
昨今のカメラ機材の進化は小型軽量化に重きを置かれてきました。このカメラに求めるものはそれではありません。ただ、こちらの写真でもわかるように小型のレンズを使えば総重量はそこまで増えないですから、持ってみたら意外と気にならない人が多いんじゃないかと思います。40mmでf2.8のパンケーキレンズがあるのですが、そのレンズもよく使っています。

ちなみにこのカメラは記録媒体が2枚入ります。一方がSDカード、もう一方がCFカードです。CFカードはSDカードリーダーでは読み込めないのでそこが少し面倒なポイントです。一応差し込んでありますが基本的にSDカードで運用しています。参考までにデータが飛んでしまったことはないです。

中望遠レンズで撮影。ファインダー撮影時のAFはとても早い。妻の趣味も写真。フィルムが好きです。
■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF85mm f/1.2L II USM
■撮影環境:F1.2 1/8000秒 ISO100 WB 5000K

レンズが豊富で値段も落ち着いている

EFマウントはキヤノンの一眼レフ用のマウントです。フィルム時代にはFDマウント、ミラーレス機にはRFマウントが搭載されています。アダプターを使えばミラーレス機でもEFマウントのレンズを使うことができますが、RFマウントにも素晴らしいレンズが登場しています。現在はかなりラインナップが整いました。ゆえに現在EFマウントの中古市場は非常に安定しています。元々の玉数が多い上、大切に使ってくれる方が多いので安定した値段でレンズが選べます。

レンズ交換式のカメラを使う以上は絶対にレンズも合わせて購入する必要があるのですが、バリエーションが豊富で性能も高いのでこれからカメラとレンズを揃えたいという方も無理のない範囲で撮影の準備が整うと思います。サードパーティも良いレンズが多いのでおすすめです。

■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + SIGMA 35mm f1.4 DG HSM Art
■撮影環境:F1.4 1/3200秒 ISO100 WB 5000K

おわりに

いかがでしたでしょうか。僕のお気に入りのカメラ、キヤノンEOS 5D Mark IVの紹介でした。時代はミラーレス機です。ですが、昔ながらのデジタル一眼レフもまだまだ現役で活躍してくれます。シャッターの音や手触り、撮影体験、素通しのファインダーと魅力がいっぱいのカメラがたくさんあるので、是非みなさん使ってみてください。
サブ機にもおすすめです。

■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD F045
■撮影環境:F2.0 1/125秒 ISO200 WB 5000K
■撮影機材:CANON EOS 5D Mark IV + EF135mm f/2L USM
■撮影環境:F5.6 1/640秒 ISO100 WB 4900K

 

 

■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。

 

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