キヤノン EOS R100 レビュー|風景写真を始めたい人にもおすすめのエントリーモデル

GOTO AKI
キヤノン EOS R100 レビュー|風景写真を始めたい人にもおすすめのエントリーモデル

はじめに

こんにちは、写真家のGOTO AKIです。今回はこれからミラーレス機で自然風景の撮影を楽しみたい皆様へ、キヤノンEOS Rシリーズのエントリーモデルである「EOS R100」をご紹介します。作例はキットレンズの「RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM」を中心に、単焦点、Lレンズとも組み合わせて撮影してきました。びっくりするほど軽くて小さい小型ミラーレス機を早速みていきましょう。

スペック・外観・操作性

EOS Rシリーズの中でも最軽量の入門機である「EOS R100」は、質量約356g(バッテリーとカード含む)、サイズは幅116.3×高さ85.5×奥行68.8mmの超軽量・超小型のミラーレスカメラです。

以前にご紹介した「EOS R10」も十分に軽いカメラでしたが、「EOS R100」は「えっ!?」っていうくらいふわっと軽い第一印象です。カメラバッグではない普段使いのトートバッグなどにもスポッと入るので、写真愛好家の皆さんが感じたことがある「重いから今日は持って行くのやめようかな~。」という感情からも解放されそうです。静止画から動画まで日常的によく使う機能をシンプルに揃えたカメラでありながら、価格は7万円台。買いやすいのも魅力です。

「EOS R100」ボディに「RF28mm F2.8 STM」を装着している状態。ガイドナンバー約6の内蔵ストロボは、旅行の記念写真などで便利な機能です。ストロボは手動ポップアップ式で、自然風景の撮影では花のクローズアップ撮影で使用することが多い機能です。シーンインテリジェントオートで撮影すると、カメラが近接撮影に適した設定をして自動的に調整してくれます。軽いカメラだとブレやすいかな?という先入観がありましたが、グリップは持ちやすく、手の小さい方でもホールドしやすい形状です。

背面の液晶モニターは固定式で、バリアングルやチルト機能は非搭載。カメラ上部のアクセサリーシューは旧来の形状で、サードパーティーのストロボなども使えます。エレクトリックビューファインダー(EVF)は約236万ドットで明るい屋外でも被写体の状況が確認しやすい設計です。撮影情報もEVF内でチェックできます。

バッテリーは「LP-E17」を使用。小さいのがメリットですが容量はやや少なめ。撮影旅行などへお出かけの際は予備として、もう一つ「LP-E17」を持っていきましょう。記録メディアはシングルスロットでSD/SDHC/SDXCメモリーカードが使用可能です。

ビジュアルガイドは、カメラの撮影モードなどをイラストで教えてくれる機能です。初心者の方にもわかりやすく、直感的な操作をサポートしてくれます。

撮影モードはダイヤルを回すだけの簡単な操作です。絞り優先、プログラムオート、動画などの他、撮影シーンに合わせて自動で調整してくれるシーンインテリジェンスオートなどをここで選びます。自然風景の撮影でも撮影シーンの変化や、撮影の意図に応じて設定を変えるなど、使用頻度の高いダイヤルです。それぞれの撮影モードに合わせるとビジュアルガイドによるわかりやすい説明が表示されるので。いきなり撮影を始めても大丈夫。説明書PDFは辞書がわりに使いましょう。

エントリー機でも高画質

大型CMOSセンサーと映像エンジンDIGIC 8の高い画像処理能力で、自然風景の光や色彩、被写体の細部を低ノイズで美しく捉えます。「EOS R100」も価格と画質や操作性のバランスがとても良い、高画質を楽しめるカメラです。ここから自然風景の作例をみていきましょう。

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F7.1 1/250秒 ISO400

透過光を利用して森の中から空を見上げて撮影した、光の明暗の差がある作例です。色のグラデーションや被写体の繊細な線を描く解像感の高い画質です。

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F5.6 1/200秒 ISO800

手持ち撮影で、ほぼ単色の輝度差の少ない静かな湖を焦点距離64mmで撮影(35mm換算で102mm相当)しました。AFの位置は画面中央で、瞬時にピントが合いサクサクとシャッターを切れます。

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F8 1/40秒 ISO800

「RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM」の焦点距離130mm(35mm換算で208mm相当)の望遠域で撮影した作例です。実際には距離が離れている木々を望遠ズームレンズの圧縮効果を利用し、距離が近いように描写しています。偽色もなく、被写体の色彩に忠実な描写力ですね。撮影は手持ちで、ピント位置は画面のほぼ中央に合わせています。

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F8 1/40秒 ISO800

夕方の日没の情景を逆光で捉えた一枚です。焦点距離は70mm(35mm換算で112mm相当)の中望遠域で撮影しています。

IS搭載レンズを使って手持ちスローシャッター撮影

「EOS R100」はカメラ内手ぶれ補正機構が非搭載ですが、最近続々と発表されているRF-Sレンズはすべて手ぶれ補正機構が搭載されているため、「EOS R100」に装着すれば気軽に手ぶれを気にせず、暗い時間帯や室内の撮影が楽しめますね。

自然風景のシーンでは、滝や雲、波などがスローシャッターでよく撮影される被写体ですが、NDフィルターなしで撮影した2枚の作例を比較してみましょう。

▼1/80秒

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F7.1 1/80秒 ISO400

シャッター速度1/80秒で撮影。肉眼で見る感覚に近い描写です。

▼1/4秒

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
■撮影環境:F29 1/4秒 ISO400

スローシャッターとしては速めの1/4秒の撮影でも、水流が速いため、流れて描写されます。

クリエイティブフィルターを使って撮影しよう

撮影モードダイヤルで丸が重なって見えるマークが「クリエイティブフィルターモード」です。

撮影時や撮影後に「ラフモノクロ/ソフトフォーカス/魚眼風/油彩風/水彩風/トイカメラ風/ジオラマ風」など10種類のフィルターから選び、普通に撮影しただけでは撮れない、遊びごころのきいた写真を作ることが可能です。筆者がよく使うのが「ジオラマ風」。寄りと引きで撮影した2枚の作例をみてみましょう。

▼寄り

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F5.6 1/25秒 ISO1600

近接で撮影した木の幹です。上下がボケてジオラマ風の距離感が面白い作品が簡単に撮影できました。AF方式は1点AFです。

▼引き

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F5.6 1/60秒 ISO100

森の遊歩道から見えた湖のある空間をジオラマ風で撮影した一枚です。ピントは必ずしも中央ではなく、上下の好きな場所で設定可能です。

フルサイズレンズは焦点距離×1.6倍で計算

「EOS R100」はAPS-Cカメラですが、フルサイズ用のRFレンズも装着することが可能です。

その際の焦点距離はレンズ表記の焦点距離×1.6倍の計算になります。フルサイズとAPS-Cのカメラを2台持ちの場合、同じレンズでも換算後の焦点距離が変わるので、撮影できる範囲が広がるのがメリットです。 

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:F8 1/640秒 ISO200

作例は「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の焦点距離324mm(換算距離518mm)で撮影。丘の上から見下ろした海岸を超望遠で遠方の海岸を切り取った一枚です。

4K動画も撮影可能

「EOS R100」はエントリーモデルながら4K(24p)の動画撮影が楽しめます。現実的にSNSなどへの投稿を考えると、フレームレートが24p、30p、60pから選べるFHDでの撮影が便利そうです。さらにカメラ位置を縦にして、動画に「縦位置情報の付加」を設定するとスマホやショート動画にアップしやすいデータが簡単に得られるのも魅力です。

■撮影機材:Canon EOS R100 + RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM

まとめ

自然風景を題材に「EOS R100」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。多機能なカメラが増える中、気軽に持ち運びシンプルに撮ることを楽しめる「EOS R100」は、初心者の皆さんだけでなく、フルサイズユーザーのサブ機としても十分楽しめるカメラです。

今回ご紹介した機能の他にもキヤノンのアプリ「Camera Connect」でスマホと連携させるなど、携帯電話のカメラに慣れた方が、本格的にカメラで写真を撮る第一歩としてもオススメです。機会がございましたら、小型軽量の「EOS R100」をぜひ手に取って触ってみてください。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。

 

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