キヤノン EOS R5 Mark IIレビュー|充実の機能と数値には表れない上質な操作性

GOTO AKI
キヤノン EOS R5 Mark IIレビュー|充実の機能と数値には表れない上質な操作性

はじめに

こんにちは!写真家のGOTO AKIです。今回は注目のカメラ、キヤノン「EOS R5 Mark II」を取り上げて、自然風景撮影における「EOS R5 Mark II」の表現力と主な機能についてレビューしていきたいと思います。

私自身は2020年からこの夏までは「EOS R5」をメインカメラとして撮影してきましたので、操作感などのレビューは、「EOS R5」との主観的な比較と思ってお読みいただけましたら幸いです。では早速始めましょう!

上質な操作性・スペックに表れない使いやすさ

自然風景の撮影では、右手の指にカメラを引っ掛けるような形で持ち運んだり撮影することがよくありますが、歩きながらのラフな使用環境では「EOS R5 Mark II」のグリップが持ちやすく、数値には表れない安心感があります。フットワークの良い撮影をサポートしてくれる形状です。

中央が押しやすい形状になったマルチコントローラー

親指で操作することが多いマルチコントローラーは、EOS R6 Mark IIとも同じ中央が押しやすい形状に改良。触り心地が滑らかです。

今回、本機を持ち出した撮影日は35度を超える気温の日も多く、カメラ自体は熱くなったものの、熱が原因で撮影を中断することはありませんでした。「EOS R5 Mark II」に搭載された冷却の吸気口と排気口の効果か、炎天下の撮影地でもフル稼働してくれました。人間の方が先にバテてしまうかも。

ボディ下面に吸気口、側面に排気口が新搭載された。(写真はボディ側面)

晴天の屋外での撮影でも見やすい約576万ドットのEVF(電子ビューファインダー)は、明るさの調整の幅も広がり、天気が快晴など高輝度環境での撮影がしやすくなっています。一眼レフを愛してやまないユーザーの方に試していただきたいのが「OVFビューアシスト機能」です。従来の光学ファインダーのような自然な見え方で被写体を観察することができます。あとでご紹介するアイカップを利用すると有害光がカットされるため、さらに見やすく感じました。

新たに発売されたバッテリー「LP-E6P」の持続時間は、体感的に従来のバッテリーよりも長くなり、撮影旅行やハイキングの途中でもバッテリー切れの心配が減りました。USB Type-Cを介して充電が可能なため、モバイルバッテリーを使っての充電も簡単に行えます。自然風景の撮影にとって、嬉しい進化がたくさん詰まっているカメラです。

自然風景の細部を撮る

自然風景撮影において、大事にしているのが自然風景のディテールを描写することです。「EOS R5 Mark II」は、45メガピクセルのフルサイズCMOSセンサーを搭載しており、高解像かつ広いダイナミックレンジでの撮影が可能です。これにより、山々の岩肌、遠くの木々の葉、海面に映る反射、そして空の雲など、自然風景の微細な表情や動きを鮮明に描写することができます。

撮影した写真はプリントをすることが多いのですが、日常的に使用しているプリンター「PRO-G1」で出力してみると、トーンの豊かさに驚きました。これは頭で理解したスペックではなく、見た時にパッと感じる直感的なものです。高輝度域のヌケがよく、細部に至るまで自然の表情を捉えてくれます。

ピントを合わせた箇所の描写が繊細です。F値のコントロールで表現の幅は広がるでしょう。作例はF2の設定です。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF28-70mm F2 L USM
■撮影環境:F2 1/8000秒 ISO125

「EOS R5 Mark II」のセンサーは、低照度下での撮影にも優れており、ISO感度の範囲が100~51200(拡張でISO50相当から102400まで)に対応しています。朝焼けや夕暮れのシーン、星空撮影など、自然の美しい瞬間を高感度でノイズを抑えながら撮影できる点は、風景を題材とする写真家にとって大きな利点です。JPEG画像が素晴らしいので、撮影の設定をしっかりしていれば、いわゆる撮って出しのままで満足のいく作品が仕上がります。

自然風景の撮影において重要なもう一つの要素は、色再現です。ホワイトバランスが良くて、自然の豊かな色彩を忠実に表現します。特に、朝焼けや夕日の鮮やかな赤、森林の緑、そして水面の色彩など、色彩が織りなす自然の風景をよりリアルに写し出します。

ホワイトバランスは、以前は太陽光を主軸としていましたが、オート(雰囲気重視)がとてもナチュラルな色に感じました。

岩場の細部の豊かな表現と水の透明感が感じられる描写です。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF28-70mm F2 L USM
■撮影環境:F5.6 1/800秒 ISO100
岩肌の質感も鮮明に、大伸ばしのプリントでも質感の繊細な描写が可能です。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F8 1/200秒 ISO400
MFで岩にピントを合わせ、スローシャッターで撮影した一枚です。ファインダーが見やすく、夜の撮影もより簡単になりました。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F14 1/30秒 ISO100

ニューラルネットワークノイズ低減

自然風景の撮影で高感度撮影となると、実際は上限ISO3200~6400ぐらいで撮る方が多いのではないでしょうか?「EOS R5 Mark II」では常用ISO51200の超高感度撮影でも、新しい「ニューラルネットワークノイズ低減」の機能で滑らかな画像が簡単に得られます。

森の撮影などは暗がりになっている場所も多いですが、この機能のおかげで撮影領域がさらに広がった印象です。もう撮影者は言い訳できませんね。笑

ISO51200で撮影した森の写真です。撮影後にカメラ内RAW現像で「ニューラルネットワークノイズ低減」をかけています。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF28-70mm F2 L USM
■撮影環境:F4.5 1/800秒 ISO51200

視線入力AFとアイカップ

ピントを合わせたい奥の被写体を見て、撮る。直感的でスムースな撮影の流れです。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F4 1/3200秒 ISO400

「EOS R5 Mark II」でとても気に入ったのは、視線入力AFです。普段はメガネをかけているため、効果があるのかな?と半信半疑でしたが、キャリブレーションを繰り返していると精度が上がり、見たところにAFが合うため、直感的かつ迅速な撮影が可能になりました。前ボケが大きい作品など、AFポインターを動かさなくて良いのでスナップ的な撮影が素早く楽しめます。AFのスピードも高速化しています。

別売りの大型のアイカップ「ER-kE」を装着

別売りの大型のアイカップ「ER-kE」はメガネを装着したまま使用可能です。ファインダーの像が見やすくなるだけでなく、ファインダーと目の間の空間に入り込む有害光を減らす効果があり、視線入力AFの精度もアップする印象です。これも数値化できないメリットですね。

キャリブレーションを複数回繰り返して視線入力AFで撮影対象を見ると、スッとピントが合うため、右手でポインターを動かす場面が減るでしょう。見る→撮るの流れが、とてもスムースになります。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F4 1/640秒 ISO100

強力な手ブレ補正

「EOS R5 Mark II」はレンズとの協調制御により画面中央部で最大8.5段分、周辺部で最大7.5段分の手ブレ補正効果を発揮します。私が愛用している「RF28-70mm F2 L USM」は手ブレ補正機能が非搭載のレンズですが、ボディ内手ブレ補正だけでも十分な補正効果。丁寧に撮影すれば手持ちで1秒前後のスローシャッターも楽しめますね。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF28-70mm F2 L USM
■撮影環境:F6.3 0.4秒 ISO100

ハイフレームレート撮影

自然風景の動画は、時間のコントロールで肉眼では捉えきれない世界をみせてくれます。「EOS R5 Mark II」はFHDで240P、4Kでも120Pのフレームレートで浮遊感溢れる撮影が可能です。静止画と動画のスイッチを切り変えるのが簡単になり、撮影がしやすくなりました。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM

まとめ

自然撮影のフィールドで2ヶ月半の間「EOS R5 Mark II」でテスト撮影をして感じたのが、スペックの数値ではわからない細部の使用感、操作感の素晴らしさです。純正レンズのほか、無料でダウンロードできる現像やプリントの純正アプリケーションEOS Utility、DPP、PPLなどと組み合わせると、色のコントロールがしやすく皆さんの作品制作がスムースになるでしょう。

今まで使用してきたカメラの中でナンバーワンと言える最高の機種で、これからはこのカメラとともに様々な自然風景を撮影していきたいと思います。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。

 

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