キヤノン EOS R6 Mark II レビュー|風景撮影での使い勝手をチェック

GOTO AKI
キヤノン EOS R6 Mark II レビュー|風景撮影での使い勝手をチェック

はじめに

こんにちは。写真家のGOTO AKIです。今回は2022年12月に発売されたキヤノン「EOS R6 Mark II」をご紹介します。飛行機、鉄道、モータースポーツの撮影が格段にしやすくなったと話題の「EOS R6 Mark II」ですが、自然風景の撮影ではどうでしょうか?新たな機能を試しながら海や滝を巡ってきましたので、作例をご覧いただきながら一緒に見ていきましょう。

デザインとスペック

「EOS R6 Mark II」は重量(バッテリーとカードを除く)が588g、先代の「EOS R6」と比べると10g軽くなっただけで、外観に大きな変更点はありません。「EOS R6」の操作性の良いところはそのまま継承しながらも、静止画と動画の撮影がシームレスにできるようにスイッチの位置が変更になっています。R6ユーザーの方は乗り換えても初日からすぐに使えるインターフェイスです。バッテリーは「EOS R6」と同じく「LP-E6NH」で、今までのバッテリーを使い回しできるのが嬉しいポイントです。

カメラを液晶モニター側から見た場合、「電源スイッチ」が左側上部から右側上部へ移動。元々電源スイッチがあった左側上部には「静止画撮影/動画撮影切り替えスイッチ」が配置されています。

いいなと思ったのは電源スイッチに「LOCK」機能が統合された点です。電子ダイヤルやマルチコントローラーを一時的に無効にする機能で、一例として、設定したはずの露出補正やシャッター速度が知らないうちに変わってしまうのを防いでくれます。自然のフィールドを歩きながら撮影する時などは、「ON-OFF」の間に「LOCK」機能が入ったことで、より正確な撮影ができるようになりました。

背面の操作性で言えば、マルチコントローラーは中央押しがしやすい形状に進化し誤動作が減少。そのほかはEOS R6と同じ形状です。

自然風景を連写で捉える

海、川、滝などの変化や動きが激しい動体を捉えたらどうだろうと、一番関心があったのが「高速連続撮影」です。肉眼で捉えきれない水の動きなどを連写で捉え、後から自宅でベストの作品を選ぶということが簡単にできるようになりました。電子シャッター時に「最高約40コマ/秒」、メカシャッター/電子先幕使用時に「最高約12コマ/秒」というスペックを撮影現場で体感してきましたのでチェックしてみましょう。

電子シャッターで1秒間に撮影した40枚のサムネイルデータです。

連続撮影した写真を動画にしてみました。すごい情報量ですね。

電子シャッターでは、中間コマ速(約20コマ/秒、約5コマ/秒)の設定も可能ですので、被写体のスピードや意図した表現に合わせて使い分けましょう。

ISO102400の世界

「EOS R6 Mark II」の常用最高感度はISO102400です。普段は自然風景の撮影でここまでの高感度を使うことはないのですが、足元がやわらかく三脚が使えない場面や、レンズの開放F値が暗くてISO感度をあげなくてはならないシーンで活躍してくれる高感度性能です。

加えて、新シャープネス処理によりEOS 5D Mark IV(約3040万画素)を凌ぐ解像性能を達成したとのことですが、カタログ的なことだけではピンとこないので実際ISO102400で撮影した2枚をみてみましょう。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF15-35mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F11 1/400秒 ISO102400

ジオグラフィカルな景観と森を一緒にフレーミングした一枚です。超高感度の撮影ですが、シャドウ部にも偽色がほぼ感じられず、まさに「常用」と呼ぶにふさわしい仕上がりです。シャープネスがかかるとギザギザしたノイズが画面にあらわれる先入観がありますが、そのイメージが消え去り階調は超高感度とは思えないほどに滑らか。一昔前でしたら、シャドウ部にノイズが多くて使えないなぁなんて思っていたものですが、機材の進化を実感します。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:F6.3 1/320秒 ISO102400

撮影時間帯は冬の15時ごろです。この日は曇天で森の中はかなり暗い状況でした。速く動く水面の撮影では少しでもシャッタースピードを速くするため、感度を上げて撮影しています。

実際に自然風景を撮影する場合は、早朝や夕刻でもISO1600~ISO6400もあれば必要十分ですので、「EOS R6 Mark II」では高感度でノイズを気にせず撮影を楽しめます。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F4 1/800秒 ISO6400

ISO6400で撮影。色彩と白黒の明暗を含んだ被写体を探してシャッターを切りました。とても自然な描写です。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F5.6 1/60秒 ISO1600

ISO1600で撮影。枝振りの細かい箇所を切り取った一枚です。解像感のある心地よい仕上がりです。ISO1600はもはや高感度と呼べないぐらいに日常的に使うISO感度ですね。

AFがすぐ合う!

「EOS R6 Mark II」のAFシステムはデュアルピクセルCMOS AF II 。AFスピードは0.03秒とほぼ瞬間的な反応速度で、1点AF、ワンショットAFで撮影することが多い自然風景の撮影では、撮りたいと思ったまさにそのタイミングにAFが合う体感スピードです。

測距エリアは被写体非検出時に横が約90%、縦が約100%ですが実用上は全画面にAFが効くと考えてOK。馬や車などの被写体検出時には全画面、縦横約100%が測距エリアになります。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F1.8 1/1250秒 ISO400

画面下の岩のシルエットにピントを合わせて手持ちで撮影した一枚です。一眼レフを使っていた頃に比べると楽に速くピントが合いますね。

バリアングルのタッチシャッターも即反応。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F1.8 1/320秒 ISO100

風に揺れる葉にも瞬時にピントが合焦します。

強力な手ブレ補正効果

「EOS R6 Mark II」のボディ内手ブレ補正とレンズ内光学式手ブレ補正との協調制御は最大8段分の補正効果があり、実際の撮影現場では手持ちでのスローシャッター撮影が気楽に撮れるようになりました。自然風景の場合、滝などはシャッタースピード0.5秒や1秒で水の流れを滑らかに描写できるので、実用度の高い機能です。手持ちでどこまで撮れるか試してみましょう。

お使いのレンズに手ブレ補正機能がない場合でも、カメラボディ内手ブレ補正で手ブレが抑制されます。最大8段の効果は一部のレンズにタイプしておりますので、お使いのレンズが対応しているかはこちらのページでご確認ください。  

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F8 1/3秒 ISO400

シャッタースピードは0.3秒、手持ち撮影です。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F8 1/15秒 ISO100

イメージスタビライザーをOFFで撮影した手ブレした写真。

■撮影機材:Canon EOS R6 Mark II + RF135mm F1.8 L IS USM
■撮影環境:F8 1/13秒 ISO100

イメージスタビライザーをONにして、協調補正で被写体をシャープに捉えた一枚。

動画も高画質

自然風景の動画撮影で使用頻度が高いであろう「4K 59.94P」の解像感は、「EOS R6」の5.1Kオーバーサンプリングから、「EOS R6 Mark II」の6Kオーバーサンプリングプロセッシング採用でさらに進化。風景に手触りを感じる描写力で美しい自然の動きを詳細に描きます。

まとめ

今回は、自然風景の撮影を前提に「EOS R6 Mark II」をご案内してきました。いかがでしたでしょうか。

「EOS R6」の約2010万画素から「EOS R6 Mark II」は約2420万画素へ画素数が増え、写真展などでもより大きなプリントを作成することができるようになりました。手ブレ補正や高速AF、美しい高感度描写と動画性能の進化など、初心者から上級者まで高いレベルで自然風景の撮影を楽しめるカメラです。

ご紹介した機能以外にもRAWバースト、プリ撮影など、幅広い機能が搭載されていますので、是非お手にとって撮影をお楽しみください。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。

 

関連記事

人気記事