キヤノン RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM|被写体を引き寄せる守備範囲の広い超望遠ズームレンズ

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はじめに

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO100 F8 1/1800sec 焦点距離480mm

 キヤノン社のEOS Rシステムに待望の超望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」が加わりました。2020年8月に発売されたこのレンズは、長大な焦点距離を活かし被写体をグッと引き寄せる機会の多い野鳥や飛行機、スポーツ撮影などのファンから大きな注目を浴びています。

 2018年にスタートしたEOS Rシステムですが、これまで発売されてきたRFマウント専用のレンズは、短い焦点距離のレンズが中心。これは、ショートバックフォーカスなどEOS Rシステムのアドバンテージをより活かしやすいことや、一眼レフに対するミラーレス一眼の特性が風景などの静物寄りにあるためと考えられます。

 航空機…特に旅客機撮影の現場ではまだまだEFシステムの一眼レフカメラが大活躍していますが、キヤノン社の場合その中でも人気のあるレンズがEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM。テレ端の焦点距離や開放F値の違いはあれど、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMはこのレンズを意識して開発、発売されたのは明白です。

 どちらのレンズも日中の旅客機撮影においては汎用性が高く、機体真横を撮影するスポッティング撮影を中心に機体の一部を切り取る迫力のある画、美しい風景と機体を一緒に撮る情景的シーンなど、撮影場所によっては様々なシーンをこれ一本で撮影可能。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMに比べ望遠域が100mm伸びているため、さらに撮影シーンの幅が広がります。

外観と携行性

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO200 F8 1/250sec 焦点距離500mm

 このレンズの重さは三脚座抜きで約1370g。EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMは三脚座抜きで約1570gとなるため、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの方が約200g軽くなっています。比較的、手持ち撮影の多い旅客機撮影。少しでも軽いレンズは歩留まりの良さに寄与します。

 キヤノン社の望遠Lレンズらしく、高級感のある白い外観が特徴。EFレンズのそれとは違いマットな仕上がりですが、白い筐体部分は表面がやや滑りやすくなっているので持ち運びの際などには注意が必要です。ズームリングに加え、ズームリングの回転トルクを変えることができるリングを装備。機体の動きや撮り方に合わせてズームリングの軽重を選べるので重宝します。

画質

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■撮影機材:キヤノン EOS R5 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO100 F11 6sec 焦点距離500mm

 14群20枚構成となる本レンズ。UDレンズとスーパーUDレンズが惜しみなく奢られ、MTF特性も良好です。絞り羽根枚数は9枚の円形絞り。開放時のボケ味も柔らかく、お花やポートレート撮影にも十分にオススメできます。とはいえ、飛行機の撮影で重要視されるのはディテール部分の表現。作品にディテール部分の解像感があるかないかで出来が左右されます。

 写真は三脚にガッツリとカメラを固定して長秒時露光撮影をしたものですが、中心部分〜周辺部分に至るまで写りは非常にシャープ。5000万画素近いR5のセンサー性能に依るところもありますが、画像を拡大するとコクピットウインドウのフレームにあるリベット(鋲)のアタマがプラスドライバー規格であることまでハッキリとわかります。

 500mmのテレ端、絞り開放ともなりますと周辺部はやや緩く感じることもあるので、周辺部まで解像感を出したい場合は2〜3段ほど絞ることをオススメします。しかしながら、絞り開放でも中心部の解像感は秀逸。ワイド端〜テレ端まで全体的にヌケが良く、機体をカリッカリに描き出すポテンシャルを保持したレンズです。

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■撮影機材:キヤノン EOS R5 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO100 F16 1/4000sec 焦点距離320mm

 ASCコーティングによりフレアやゴーストを低減してくれ、逆光時の撮影でも神経質になりすぎることはありません。空背景で機体を撮影した際、開放付近で周辺光量落ちが気になることもありますが、これらも上手く低減。UDレンズにより色にじみの除去、スーパーUDレンズにより色収差の補正がされています。さらに、周辺部の像流れなど収差全般も最小限に抑制され、偽色も上手に抑え込まれています。

AF

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO25600 F7.1 1/100sec 焦点距離500mm

 飛行機撮影など動きモノの撮影で重要視されるのがオートフォーカス(以下AF)の合焦速度ですが、EOS R5やR6とこのレンズの組み合わせではかなり高速でAFが合焦。シャッターボタンを半押しにした瞬間、合焦していると感じるほど瞬時にフォーカスが合います。作例のような夜間での合焦速度も問題ありません。夜間はAF枠のチョイスに若干気を使う部分もありますが、コントラストのある部分などをしっかり狙うことにより日中と変わらぬ素早い合焦を実現してくれます。

 素早く静粛性に優れるAF性能には2つのナノUSMが寄与しているわけですが、AF以外にも最短撮影距離の短縮にも貢献。電子フローティングフォーカス制御により近距離撮影の画質も向上しています。100mmのワイド端で最短撮影距離は0.9m、500mmのテレ端は最短撮影距離1.2mで最大撮影倍率が0.33倍。ちょっとしたマクロ撮影にも使用可能となります。

手ブレ補正

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■撮影機材:キヤノン EOS R5 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO100 F11 1/5sec 焦点距離500mm

 手持ち撮影が多い飛行機撮影では、AFとともに手ブレ補正の性能も重視されます。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、レンズ単体でも5.0段分の補正効果を発揮。EOS R5やR6などIBIS(ボディ内手ブレ補正)搭載機との組み合わせでは最大6.0段分の効果を発揮します。

 その強力な効果をもっとも享受できるのが、飛行機撮影の場合は駐機している機体の撮影時。夜間など低露出下での手持ち撮影において、かなりのスローシャッターを切っても、歩留まりの良さを実感できます。ミラーレス一眼の一眼レフに対するアドバンテージ、ミラーショックレスの効果もありますが、シャッタースピードを下げられる分、絞りやISOに設定をまわせるのも利点。一眼レフからミラーレス一眼に移行された方は露出設定にかなりの違いを感じるでしょう。

 駐機している機体に対して、EOS R5やR6で動いている機体を追いかけながら手持ち撮影する場合。こちらについても強力な手ブレ補正効果を確認できますが、シャッタースピード1/1250程度でシャッターを切っていても、等倍で確認すると何枚かに一枚は微ブレが確認されたりします。このあたりはカメラ側の手ブレ補正とレンズ側の手ブレ補正の協調制御に何かあるのか。ファームアップなどで改善されることが望まれます。

 また、こちらは手ブレ補正が強力すぎる所以でしょうか、流し撮りをするため右から左へとレンズを振って連写した際、機体を止めて背景を流したいのに、機体が流れて背景がビタ止まりしていることが稀にあります。こちらについては緩みが無いよう一定のスピードでレンズを振ることで解決できますが、それでも撮影の際には注意が必要です。
※[2021年4月2日追記]これらの不具合は2021年3月30日と4月2日に公開したファームを更新する事で解消されます。
・EOS R5「ファームウエア Version 1.3.0
・EOS R6「ファームウエア Version 1.3.1
・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM「ファームウエア Version 1.0.9

 レンズに搭載された手ブレ補正にはモードが3つあります。モード1が主に動かない被写体の撮影に対応し、モード2は動く被写体の撮影でいわゆる流し撮りモード、モード3が不規則に動く被写体の撮影でスポーツなどの撮影に対応しています。撮影シーンに合わせて使い分けるといいと思います。

防塵防滴他

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO3200 F8 1/320sec 焦点距離400mm

 精密な作りの高性能レンズではありますが、Lレンズらしく防塵防滴仕様な点も特徴の一つ。飛行機撮影はほぼ屋外での使用となるため、水滴や埃の侵入を少しでも防いでくれるのは助かります。また、レンズ面にはフッ素コーティングが施されていますから、汚れを簡単に落とすことが可能。大雨などではさすがにレインカバーを使いますが、少々の雨ならタオルなどで拭きつつ撮影に集中できるのが嬉しいです。

まとめ

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■撮影機材:キヤノン EOS R5 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:ISO100 F13 1/60sec 焦点距離220mm

 100mm〜500mmと守備範囲が広く汎用性の高いレンズ。EOS R5など5000万画素近い高画素機で使用してもしっかり解像感のある画を描き出してくれる素晴らしいレンズです。高速なAF、強力な手ブレ補正など動きモノを大いに意識したレンズ。EFシステムで人気のEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMから乗り替えられる方も多いのではないかと予想します。

 スチル写真だけでなく、ムービー撮影にも使いやすいスペックです。フローティング機構を採用しているため、フォーカスブリージングが大幅に低減されているほか、ナノUSMを採用しているためAFの駆動も静かで滑らかです。望遠〜超望遠系のレンズをお探しの方に自信を持ってオススメできる一本。長く使い勝手の良い相棒になってくれるはずです。

■写真家:A☆50/Akira Igarashi
絶景ヒコーキ写真を求め全国を駆け巡る瞬撮系航空写真家。雑誌、WEB、TVなど各種メディアに出演、作品を提供するかたわら大手航空会社やカメラメーカーなどのオフィシャル撮影を担当。キヤノンEOS学園講師。公益社団法人 日本写真家協会会員。

■更新
・2021年4月2日:流し撮り時の不具合をファームアップで解消できる内容を追記しました。

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