キヤノン RF24-105mm F4-7.1 IS STM レビュー|持ち出しやすい軽量標準ズーム
はじめに
皆さん、こんにちは!写真家のGOTO AKIです。RFレンズのラインナップが益々増えて、どの組み合わせで撮影に行けばいいのか嬉しい悩みが増えてきましたね。
私の記事では今まで、標準ズームレンズとしては「RF28-70mm F2 L USM」と「RF24-105mm F4 L IS USM」を紹介してきました。
今回はRFレンズの標準ズームのラインナップで最も軽く、高画質でありながらお値段がリーズナブルな「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」をご紹介していきたいと思います。
デザイン
「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」のサイズは、全長約88.8mm、重量は約395g、フィルター径は67mmとRFレンズの標準ズームの中では一番サイズが小さいレンズです。小さい、軽いとなると日常のお散歩であったり、家族旅行などで連れ出しやすい大きさですね。
レビュー用の写真はEOS R5で撮影したものですが、650gのカメラと合わせても約1045gと取り回しのしやすい重量です。EOS Rとの組み合わせでは約975g、EOS RPとの組み合わせで使う場合は約880gとさらに軽量です。皆さんが使用しているカメラとの組み合わせではいかがでしょうか。
「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」には、RFレンズの特徴の一つであるコントロールリングが装備され、指先でコントロールしやすい質感です。レンズの横にはフォーカス・コントロールの切り替えスイッチと手ぶれ補正のスタビライザースイッチが付いています。
なぜ3本も標準ズームをもっているのか!?
先にご紹介した「RF28-70mm F2 L USM」と「RF24-105mm F4 L IS USM」があるのに、なぜ筆者は「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」も使っているのか?
一つは家族と一緒に出かける時の気軽な旅行や散歩用のカメラとしての日常ユース。もう一つの理由は動画撮影、特にジンバルにのせて使うために購入しました。
使用しているジンバルはDJIのRS2です。(現在は後継機のRS3が出ています。)
ジンバル自体の重量は約1300gほどあるため、カメラとレンズの重量を足すと2kgを超え、長時間の撮影では腕がプルプルしてきます。トータルの重量をなるべく減らして、動き回っての撮影がしやすくなるように小型軽量の「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」を導入しました。
レンズが小型軽量のためジンバルに乗せても安定しやすく、写真のようにぶら下がるようなスタイルでの使用も楽々可能です。このローアングルで歩いた動画のワンショットはこちらです。
動画撮影の時は、静止画の撮影よりも機材が多くなる傾向があるため、レンズが少しでも小さくて軽いというのは大事なポイントです。長距離を歩く時にも助かりますね。
RFレンズならではの高画質
24~105mmの広角から中望遠にかけての画角は、使用頻度が高く、一般的な撮影はほぼカバーできる範囲です。先に上げた2本のLレンズと比べても、解像感はやや低めかなという程度で、実際に「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」だけで撮影した画像を見たら、どれだけの人がその差に気づくかわからないレベルです。コストパフォーマンスで考えると十分合格点といえるでしょう。レンズの収差などはキヤノン純正のDPP(DIGITAL PHOTO PROFESSIONAL)を使えばほぼ解消されますのでレンズとDPPをセットで使用しましょう!
では次に画角を比較してみましょう。
焦点距離24mmで撮影した海岸の岩場の写真です。
同じ場所から焦点距離を105mmで捉えた一枚です。24mmから105mmまで、使いやすい焦点距離ですね。広角側が足りない時は少し下がって撮影。望遠が足りない時は少し近づいて撮影するなど、体の動きを加えると表現の幅が広がるでしょう。
冬の富士山を山の北西側にある本栖湖方面から捉えた写真です。撮影焦点距離は105mm。カリッとしていながらも素直な描写力が魅力です。
同じく焦点距離105mmで2メートルほど前の池の水面を撮影しました。
焦点距離105mmで目の前の水滴を撮影。細かな描写力もさることながら、開放F7.1でも意外と背景がボケるなぁと感じた一枚。
焦点距離48mmで撮影。緑の中にもいろんな緑がありますね。同系色の差異をストレートに描写してくれるレンズです。
焦点距離57mmで撮影。長い年月で刻まれた岩場の質感も解像感高く描写されています。
センターフォーカスマクロ
このレンズの最大の特徴の一つが「センターフォーカスマクロ」という近接撮影の機能です。AFでは焦点距離24mmでの最短撮影距離は0.2mですが、MFで撮影すると同じ焦点距離でも0.13mまで接近した撮影が可能です。ワイドマクロの効果で背景が大きくぼけた描写が特徴的です。
標準ズームレンズでありながら、広角マクロも楽しめるというお得な機能ですが、少々設定が必要なため、簡単にお伝えしておきたいと思います。
フォーカス・コントロール切り替えスイッチを「FOCUS」に設定します。
メニューからフォーカスモードをMFに変更します。
レンズ前面から2.5cmまで近寄り、迫力ある広角マクロで撮影した一枚。中央付近の画質は合格点ですが、周辺は像が流れて見えたり、収差が発生するため、撮影後には液晶モニターで拡大して確認しましょう。自然風景は不規則な形状の被写体が多いので、それほど気にならないことが多いです。規則性のある被写体では画質低下を感じることがあります。
また、2.5cmというかなり近くまで被写体に寄れるため、金属など、レンズを傷つける可能性がある被写体の場合はレンズ保護フィルターを装着してから撮影した方が安心かなと感じました。
MFでの近接撮影後にAFに戻そうとして、メニューをみると、上のメニュー画面にはあったはずの「フォーカスモード」が消えていてびっくりするかもしれません。下は消えているメニュー画面です。
AFで撮影ができるように戻す方法は簡単です。
MFでピントを合わせた時に回転させたフォーカスリングを手動でピント位置を無限遠方向に回転させるだけ。フォーカスリングの回転方向でいいますとカメラのボディ側から見て左側への回転、反時計回りの回転です。この作業は「MFでしかピントが合わない範囲」から「AFでピントが合う範囲」へピント位置を移動させる操作になります。「戻す時はカメラ側から見て左へ回す」と覚えておけばいいでしょう。
ボケのこと
「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」を躊躇する方の中には、「F4はいいけど、F7.1だとボケが……」と開放F値が気になる方もいらっしゃると思います。このボケ味の判断は被写体次第、距離感次第といった側面がありますので3枚の写真をみてみましょう。すべて焦点距離は105mmです。
これはセンターフォーカスマクロの作例と同じ被写体を、少しアングルを変えて焦点距離105mmで撮影した写真です。F値は開放7.1です。
こちらの作例もF値は開放7.1で撮影しました。この背景のボケ具合を筆者は綺麗だなぁと感じますが、皆さんのご感想はいかがでしょうか。大きなボケが好きな方には物足りないかもしれませんが、F値の明るいレンズはレンズの価格が高くなり、重量も重くなりますので、価格とのバランスでどう考えるかが判断のポイントになるかと思います。
絞り数値F8で撮影。背景はボケていますが、被写体の形状がわかる描写ですね。
手ぶれ補正
こちらは雨の暗い森の中で、ISO1600、シャッタースピード1/6秒、焦点距離70mmで撮影した一枚です。光学手ぶれ補正とデュアルセンシングISで、約5段分の手ぶれ補正でスローシャッターでも手持ち撮影が楽しめます。
まとめ
今回は「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」の特徴とインプレッションをお伝えしてきました。いかがでしたでしょうか?「小型軽量と「24~105mmの焦点距離」で旅スナップから日常までの幅広い状況や被写体をカバーできる取り回しのよさ、買いやすい「リーズナブルな価格」、遊び心のある「センターフォーカスマクロ」にピンときた方にはオススメのレンズです。
書かせていただいたレンズの記事も増えてきましたので、是非読み比べていただいて、皆さんにとってのベストのレンズをお選びいただけたら嬉しいです。それではまた次回にお会いしましょう。
■写真家:GOTO AKI
1972年、川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科・日本大学芸術学部写真学科 非常勤講師、キヤノンEOS学園東京校講師。