キヤノン RF24-105mm F4 L IS USM レビュー|最初の1本におすすめの定番レンズ
はじめに
こんにちは。写真家のGOTO AKIです。
「最初に一本だけ買うとしたらおすすめはどのRFレンズ?」
新しいRFレンズとミラーレスカメラが続々と発表される中、EFレンズからRFレンズへ乗り換えようとしているアマチュア写真家さんや、これから写真を始めようとする友人たちからよく聞かれる質問です。
私の答えは「RF24-105mm F4 L IS USM」。
今回は、発売から3年少し経った今も定番標準ズームレンズとして大人気の「RF24-105mm F4 L IS USM」を、作例をご覧いただきながらご紹介していきたいと思います。
デザイン
全長107.3mm、質量700gの大きすぎず、小さすぎず、太すぎず、重すぎず、万人向けの「ちょうどいい」サイズ感です。カメラバッグにも縦に入れられるサイズで、携帯性も良好です。
写真のレンズは私物で、2018年の発売当初から使い続けていますが、レンズのガタつきもなく、コントロールリングのカリッとしたクリック感は現在も変わらない快適な操作感。手から伝わるズームのトルク感も安定しています。数年使用して、あちこちぶつけたりしていますが、故障もなくメンテナンスが楽だったんだなぁと実感しています。
スイッチ類はシンプルな配置で、AF/MFの切り替えスイッチとイメージスタビライザーのON/OFFスイッチがついています。ズームのロックスイッチもついているので、持ち歩いている時に鏡筒が伸びないのも地味に嬉しいポイントです。
マウント部には防塵防滴のためのゴムのガスケットが配され、アウトドアでも砂やほこりが入りにくい仕様で、Lレンズらしい堅牢な作りです。
RFレンズらしいヌケのいい高解像感
「RF24-105mm F4 L IS USM」は、広角端24mmから望遠端105mmまで、開放F4からシャープな描写力です。レンズのレビュー記事で「開放F値で撮影すると周辺の描写が甘い。」ということがたまに書かれていますが、「そうかな!?」と感じる自分がいます。私が撮影している自然風景では、被写体が複雑な曲線で構成されていることもあり、周辺の描写力に甘さを感じることはありません。むしろシャープだなぁと感じることの方が多いです。開放はもちろんのこと、特に開放から2~3段絞ったF8~F11での撮影はヌケのいい質感描写に優れています。
伊豆の岩場にて、F11で撮影したこの一枚は、画面の隅々までシャープな描写。ピクチャースタイルはディテール重視に設定しています。
富士山周辺で撮影。こちらの作例もF11で新緑の色彩と葉の表情を繊細な線で捉えています。ピントは写真中央部です。
山梨県の沢で撮影。ピントは画面の上1/3ぐらいの水面に合わせています。ゴツゴツした岩の描写がシャープなだけでなく、水面の質感や色彩も細部豊かに再現されています。水の質感を描くときのポイントはシャッタースピードです。この作例は1/500秒の高速シャッターで撮影しました。
東京の植物園で撮影した一枚。絞りは開放F4、焦点距離は39mmで、葉の中央部にピントを合わせて撮影しています。中央部の描写はカリッと線を捉えた一方で、葉の周辺は開放F4で撮影したことでふわっと綺麗にぼけています。
ナノUSM駆動で高速&滑らかなAF
自然のフィールドを歩きながら、ふと見つけた気になる風景をすぐに撮れたら気持ち良いですよね。レンズは高解像であることは大事ですが、もう一つ重視しているポイントがあります。それは反応のスピードです。「RF24-105mm F4 L IS USM」のAFの反応は素早く、ナノUSM駆動で滑らかなフォーカシング。音も静かでスッと狙いの箇所に合うイメージです。
私は撮影の時にファインダー(EVF)を覗いたまま、液晶モニターで右手の親指をピントを合わせたい箇所に移動し、素早くフォーカスポイントを決めてシャッターを切っています。この動作はカメラメニューにあるタッチ&ドラッグの機能です。ナノUSM駆動の静かで高速なAF性能に、タッチ&ドラッグを併用するとより素早い撮影ができるでしょう。
EVFを覗きながら、親指で画面左下の雲へフォーカスポイントをタッチ&ドラッグでピントを合わせ、すぐにシャッターを切りました。雲は風が強いときはすぐに流れてしまうので素早いAFに助けられるシーンです。
強力な手ブレ補正
「RF24-105mm F4 L IS USM」は、レンズ単体で最大5段、EOS R5やEOS R6などのボディ内手ブレ補正機構と合わせると約8段分の強力な手ブレ補正効果を発揮してくれ、早朝や夕方の光量が少ない時間帯や渓谷などの暗がりでも手持ちでの撮影が簡単に楽しめます。基本に忠実に脇を締めて優しくシャッターを切れば、まずブレることはありません。
機能が素晴らしいからと言って、わざと1/4秒などの低速シャッターで手持ちで撮影する必要はないので、私自身は「暗い!三脚ない!」というシーンで手持ちで撮れるという「安心材料」、いざという時の「保険」として考えています。
鹿児島県・宮崎県の県境、早朝の韓国岳から桜島方面を捉えた一枚。手持ち撮影。
ボケの描写
「RF24-105mm F4 L IS USM」はズーム全域F4通しのレンズです。よくF4という数値だけをみて「ボケない。」という声を聞きますが、ボケは焦点距離や被写体との距離で変わるもの。「RF24-105mm F4 L IS USM」のボケも実用上、十分綺麗なボケ味を発揮してくれます。
最短撮影距離
「RF24-105mm F4 L IS USM」の最短撮影距離は0.45mです。普通に撮る分には気持ちよく撮影できますが、被写体に近寄って撮影をしようと思うと、もう少し寄りたいのになぁという場面があるかもしれません。マクロレンズを持っていない場合は、クローズアップレンズを付けて被写体に寄って撮影すると「RF24-105mm F4 L IS USM」の高解像はそのままに近接撮影が楽しめます。
レンズの前にフィルターのように装着します。写真はNiSiフィルターのクローズアップレンズ(77mm径)です。
■クローズアップレンズなしの場合
■クローズアップレンズありの場合(AFで撮影しました)
携帯性とカメラバッグ
「RF24-105mm F4 L IS USM」は、焦点距離がとても使いやすい範囲のレンズのため、自然風景の撮影に限らず、カメラマンとしての仕事の撮影にも必ず持ち出すレンズです。本レンズのサイズや携帯性の良さを冒頭で書きましたが、カメラやレンズを運んでくれるカメラバッグも大事な撮影アイテムです。
これからのアウトドアシーズン、トレッキング、登山では機材だけでなく、テント、食料なども運ぶため、荷物を減らしたとしても、容量の大きなカメラバッグが必要になってきます。荷物が入って、取り出ししやすいバッグはたくさんあるのですが、「身体にフィットする」バッグにはなかなか出会えずずっと探している状態でした。最近、ロングトレイル用の新しいカメラバッグを使い始めて、身体へのフィット感が調整できてとてもよかったので、ご紹介します。
モデルは写真のロープロ「フォトスポーツ PRO70L AW III」
70リットルの大容量スペースと身体に合わせてショルダーストラップの位置の調整ができるのと、ウエストベルトが本格的な登山バッグのように頑丈で荷重を分散してくれるため、長距離走行の後の肩がとっても楽。内部には取り外しできるインナーバッグがあり、撮影に合わせて自由にカスタムできるのもお気に入りポイントです。バッグ最下部のエクストラの荷室には雨具やテントがすっぽり入るため、山でよく撮るよ、テントや食料も持っていくよ、という方にお勧めのバックパックです。
動画でも大活躍
動画ではレンズ交換でホコリなどが入ると修正する時間が膨大になるため、なるべくレンズ交換をしないことが大事になってきます。「RF24-105mm F4 L IS USM」は、広角から中望遠まで一本でカバーできるので動画撮影でも大活躍です。
まとめ
「RF24-105mm F4 L IS USM」は広角から中望遠までの、使用頻度の高い焦点距離を網羅したとても使いやすいレンズです。サイズや重量、高画質、そしてLレンズとしてはお手頃なお値段も考慮すると、全方向にバランスがよく、最初の一本としても大推薦のレンズです。「これからRFレンズを使ってみたい!」「自然風景も、旅のスナップも撮る!」といった守備範囲の広さを是非皆様も体験してみてください!
■写真家:GOTO AKI
1972年、川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科・日本大学芸術学部写真学科 非常勤講師、キヤノンEOS学園東京校講師。